第二話
「ふむ、苦しゅうない。」
「いや、それを言うとしたら、俺の台詞だ。」
「で、ご飯は?」
「あるわけねーだろ。てか、さっき食べただろ。」
「けち...。」
俺は学校からの帰り道、少女を拾った。
厳密に言うと、ついて来やがったという方が正しいだろう。警察に通報しようにも何故かできないし、連絡手段がことごとく使用不可になっている。
ちなみに携帯の画面はつかない。
そして、1番の問題は、食料...食費...がともに飛んだことである。
金ならあるって言ってたのに...
「あれ、金塊しか入ってなかった。」
だそうだ。
俺はまだ未成年だから換金できないのよ。
いっそのこと、先生に頼むか?いや、手数料とられそう。
「んで、お金はいつ返してくれるの?特に、食費。」
「だから、これを渡すと言っている。」
「だから、それ金塊だろ?俺じゃあ金に変換できないんだよ。」
「よく分からない。どちらも感じで書けば金なのに、それに銀行に行けば...。」
「?」
「まあ、いい。それよりもこれ。」
少女が俺にあるものをつきだす。
刀である。
本来であれば、銃刀法違反で取り締まられる代物。しかしながら、この現代においては刀を持っていても問題がない、というより帯刀して街を歩いている人間が多い。
理由は、単純で正当な理由が存在するから。
この世界には、”魔術師”が存在する。日本では“陰陽師”とも呼んだり、正式には、“占星術師”だったりする。
理由はなんだったけ?確か...
『第一次世界大戦の後の聖都“コンスタンティノープル”での...』
ん?第二次世界大戦終結による国家秩序の安定ではなかったっけ?
『へぇ~。最近の子にはそうやって教えてるんだ。』
「はぁ?」
俺は思わず声を上げる。
目の前にいる少女のとは違う声。
「どうかした?早く、これを手に取って欲しい...。」
いつもの俺であれば、それを受け取ることはなかっただろう。
だが、いつもと違う状況でありすぎて俺は少女のつきだす刀を受け取ってしまった。
「―っ。」
気づけば俺は雪が一面に舞う場所に立っていた。
『やあ、初めましてだね。
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西暦1945年、日本のポツダム宣言受諾により戦争は終了した。
それと、同時に日本はドイツと同じ分割統治が行われるはずだった。
もし、占星術という新たな戦争の火種が見つかることがなければ...
西暦1946年4月5日、対日理事会はある決定を下す。
占星術の存在を世界に公表
それを国家が管理するという方針にするため、日本の分割統治案を事実上凍結
西暦1946年5月3日、国際連合安全保障理事会は対日理事会の決定に支持の立場をとる。
これ以降、戦争という戦争は発生することがなく国際秩序はこれまでに類を見ないほど安定することになる。
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作者のもきゅ太郎です。死にかけ、大学の単位を落としかけ...くずし字なんて読めず...。まあそれはおいておいて、この話は、戦後のifルートをたどった世界だと思ってください。歴史の用語死ぬほど出てきますけど史実とは一切関係がないので知らなくても大丈夫なようにしてます。日時は何か本来出来事があったようにしていますね。多分ですけど...ね。
兎は雪に隠れる モきゅ太郎 @mokyun
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