第3話

 はっ!!私いつの間に寝ていた!?睡魔め、なかなか恐ろしいやつだ。けど寝るのってこんなに気持ちがいいのか。ずっと寝ていたい気分。

 でもそろそろお腹が減ってきたよー。実を言うとかなりしんどい。食料の為にも、街へ急がなきゃ。街には食料があるはず!多分!!

 空腹とまだ残る睡魔に抗いながら、世界の歩き方を使い、トホトホと行っていない方向へと向かった。







 僕の名前は笹木野冬弥。いや、今の名前はトーヤ・クレイトン。

 およそ三カ月前創造神によって転生を果たした。そこには物語のような世界が広がっていて、僕は心躍らせていた。しかし、衣食住の内、食と住がない。衣もこの服一枚だけである。

 だが僕は心躍らせたまま、ある場所へと向かった。そう、冒険者ギルドである。

 聞き込みをして十五分ぐらいだろうか?僕は冒険者ギルドに入る扉を開けた。

 そこで手に入れたのは冒険者カードや依頼だけではなく、少しお調子者だが疲れた時は一緒に飲み明かす冒険者たちとの仲、冒険者の命を大事にしてくれるギルド職員たち。一人めんどくさい奴もいるが……

 依頼も順調に進み、転生特典であろうスキルのおかげで成長していき、なんと今では冒険ランクがFからCまで上り詰めた。

 まあ、自画自賛はしないが、僕はものすごく恵まれているのだと思った。今を除いて。


「聞いてねえーー!!」

 僕は今、ゴブリンの集落を偵察するという依頼を受けた。だがそこで待ち構えていたのは、ウルフと陣地を分かち合い、協力するという異例の事態が発生していた。

 僕は迷わず逃げた。だが後ろからゴブリンがウルフの上に乗って、追ってきた。足音立ててしまっていたのだろう。あの時は驚いて、急いで逃げたから。

 そして今である。

「ハウリン!!許さねえからな―!!」

 大声でこの仕事を紹介した人を恨むが、意味もなく追いつかれそうになった。その時、

 ドゴーン!!という大きな音が森中に響かせた。俺は無意識に閉じていた目を、開かせ驚愕する。自分のとこから、まっすぐにづづく、黒焦げになった森を見てしまったからである。

 よこには女性が立っていた。すらっとした体形に白銀の髪は光で輝いている。いや、気づきにくいが少しやせ細っている。

 この人がやったのか?

 女性はあまり感情を顔にださないのか、平然と立っているようだったが、顔をまじまじ見たら女性も困惑しているようだった。

 だが女性は、体の前に出した手から煙が少しでているのが決定的な証拠だ。あれは火属性魔法を使った時に出る煙。

 本能だろうか?多分本能で動いたのだと思う。

 僕は感謝の言葉を伝えるよりも先に発した。

「弟子にしてください!!」

 土下座を人生初してしまった。

 女性の顔は、さっきよりもより困惑した顔になった。

 でも僕は後悔なんて一つもない。僕はこの人についていく。







 拝啓、私の制作者様。

 私は今、人の姿で森の中にいます。

 一度休憩してから一日と四時間がたとうとしています。未だに街どころか人ひとりも見つかりません。

 もしかしたら人はいない世界なのかもしれません。

 私はアダムとイブのイブだったのかもしれません。

 早くアダム出て来んかい!!

 はぁ……こんな物語ある?転生してから三日目まで何も起こらないの。意味わかんねないって。

 でもいいこともあったから今をしのげる。

 それは、火属性の中級上級を覚えたこと!!

 やっぱりね、あってた。試しに火に関することを調べてみたら、なんと!理解するうちに中級、上級と覚えていったのだ!!まだ怖くて使えてないけど……

 正直、超級、極級とかあるかもしれないし、どこまで強いのかはわからないんだよね。私の知っている知識を全部覚えてもとりあえず上級までらしい。

 あともう一つ、火属性下級は心の中で唱えても使えるってことよ!!これは便利だねー。そして火を飛ばすようにイメージしたらなんか飛んでった。いやまさか自分でもできるとは思わなかったよ。

 でも今は平和すぎて、中級以上を使う相手がいるかどうかもわかんない。


サササ


 お!物音!!もしかして人間!?いやまて、私はこれに何回も引っかかったんだよ。どうせウサギだろ。

 近づいてみるか。


 って人間やん!!えっ、どうしよう。初人間だけど、上手く喋れるかな?いやいや絶対無理!!ちょっと観察してから話しかけよう。

 あれ、まだ違う足音もするぞ?仲間か?いやあれは……ゴブリンだ。三日目で、この世界を平和認定してしまっていたよ。運が良かっただけ?それとも少ないのかな?しかもその下にはウルフ付き。助けないとだよね?いや助けるにしたってどうやって助けるの?戦ったことないよ。あっ、私には上級あんじゃん。上級!!

 私は人間のところまで走った。

 フフフ、我が炎で焼け散るがいい!!

『火属性上級!!』

 それは一瞬だった。半径5mほどの火球は木や草を燃やし尽くしながら、前へ進む。

 えー……我ながら恐ろしい力を手に入れてしまった。

 距離100mぐらいは飛んで行ったが、そこで火球は見えなくなった。

 なんでこんなに威力高いの?おかしいでしょ。私生まれて3日目よ?

 しかも中級試しにくくなったよ!!下級と上級の差ありすぎ!!

 人間がずっとみてくるしー。なにがどうするべきかわからない。

 そうすると、人間は土下座し始めた。

 えっ、どした?急に土下座させられるこっちの身にもなって?これは感謝の意?

「弟子にしてください!!」

まじでなにいってんの!?弟子!?もうどうしたらいいのかわかんないーーーー!!

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