第111話 王都脱出準備と錬金術式
「じゃあ、王都を出て、コテージを建てる訓練をするぞ。」
「うん。特訓だ。」
フロルと僕は、王都を出るとマウンテンバイクに乗って王都を離れた。
30分程走れば、王都から50kmは離れられる。昨日とは違う場所に到着してサーチで人の気配が近くにないことを確認した後、フロルのコテージ設置訓練を始めた。
枠を地面の上に出すとフロルは、昨日と同じように地面を右手側と左手側半分ずつ収納してコテージを設置する穴を作った。枠をもう一度僕のアイテムボックスに戻すとアイテムボックスの中で完全なコテージとして組み立て穴にセットした。いつもの手順だからスムーズにできる。
「じゃあ、フロルのストレージにコテージを収納して。」
「分かったぞ。」
フロルは、コテージに手を触れるとストレージに収納した。
「収納は簡単だったぞ。」
「次は、収納したコテージから、スケールの枠だけを取り出すんだよ。」
「あれ?枠ってどこにあるんだぞ。」
暫くストレージを操作しようと四苦八苦していたけど、ため息と一緒に取り出すことを諦めてしまった。
「枠だけ出すのって難しいぞ。バラバラにしてあるなら大丈夫だぞ。でも、組み立てたままの中から枠だけ出すのって…。無理だぞ。凛、枠だけ作って欲しいぞ。」
「フロル、頭良い!枠をもう一つ作っておけば良いんだ。」
僕は、ついさっきフロルが作った穴にコテージを戻してもらって収納した。次に枠だけ出すと、枠をアナライズ。それからコンストラクションして、枠をもう一つ作った。
「フロル、できたぞ。」
「サンキューだぞ。これで、地下室付きのコテージを設置することができるぞ。」
「フロル用にコテージももう一つ錬金しておこうか?でも、魔石がないか…。」
「今は、パーティーに1棟あればなんとかなる。だから、錬金はしなくても大丈夫だぞ。シモンさんたちが合流したら考えれば良いぞ。」
「そうだね。じゃあ、特訓はもう大丈夫かな。」
「大丈夫だぞ。もう、王都に戻るぞ。」
僕たちは、穴を埋めるとマウンテンバイクで王都に戻った。王門に近づき、人の気配が感じられるようなる前に自転車を収納して歩くことにする。
「フロル、王都につく前に泊った場所って覚えている?」
「覚えているぞ。街道沿いだから分かりやすいけど、もしも追手が来たらちょっと心配な場所だぞ。」
「でも、街道には馬車のわだちもたくさんあるからね。道以外を逃げるより、自転車を使ったり歩いたりしたら後を追いにくいかもしれないな。」
「後を追わせたくない時は、わざと違う方向に自転車で走って轍を消したり走ったりして後を追わせないようにした後に打ち合わせの場所に向かうぞ。」
「マウンテンバイクを使えば、歩きや馬車の数倍のスピードで移動できるから、そんなことも楽にできるよね。」
話をしながら、王都の門をくぐって宿に戻った。明日にはクーンとマルコが町に戻ってくる。朝から面会を申し込まないといけない。その返事は、冒険者ギルドにしてもらうようにする予定だ。
今日の内にマウンテンバイクを4台錬金しておこう。フロルが居るから4台とも収納はできるだろうけど、それぞれのマジックバッグにも収納できるから歩く時も邪魔にならない。
歩きながらの錬金はまだ危ないから宿に戻って錬金をすることにした。宿に戻るとリンジーたちが戻って来ていて自転車の錬金をする前に錬金を頼まれてしまった。
「凛、頼む。干し肉以外で日持ちする食い物を作ってくれ。」
「え?フロルと俺とクーンとマルコの4人でコテージ暮らしをするのに食い物が干し肉だけだったら辛すぎる。」
「果物も買ってきたんだろう。小麦粉があるなら、ピザ何かを作ったらどうだ?チーズも買っておけば、なかなか美味しい者ができると思うよ。」
「お好み焼きもおいしいと思うけど、ソースがねぇ…。お好み焼きソースの錬金術式を送ってもらおうかな…。」
「なんだ。そのお好み焼きって言うの。上手いのか?簡単なのか?」
「材料があれば簡単なんだけど、材料が見つかるかどうかだな。似たような野菜があれば魔道コンロと鉄板かフライパンで作れるんだけど…。今から、大急ぎでソースの錬金術式を送ってもらうように連絡してみる。」
僕は、宿屋の僕たちの部屋に戻る錬金した紙を出して、紙に手紙を書いた。
『父さん、母さん、レミへ
バタバタしていて手紙が駆けなくてごめん。
今、王都に来ています。仲間が、明日から暫くの間王都を離れて自分たちで食べ物を作らないといけなくなりました。それで、お好み焼きの作り方を教えてあげようと思うんだけど、お好みソースがありません。できたら、お好みソースとマヨネーズの錬金術式を送ってください。明日、王都を出発する予定なのでできるだけ早く送って欲しいです。
追伸
今、家にある甘いお菓子の錬金術式もできたら送って欲しいです。ショートケーキやチョコレートも良いけど、和菓子なんかもあったら嬉しいです。
佐伯 凛 』
できれば、今日中に送ってもらえないかな…。
せがまれてクッキーを大量に作った後に、マウンテンバイクを4台錬金した。後の日持ちしそうな料理の材料は、お願いの返事が来た後だ。
**********************************************************************************************************************************************************************
「レミ、今日も凜から連絡ない?」
「ちょっと待ってね。アイテムボックス・オープン。…、あっ、あるよ。プッ。」
「どうしたの。」
「ちょっと待って紙に写すからさ。」
僕は、凜からの手紙を紙にコピーして母さんに見せた。
「あの子ったら…、もう。まあ、良いか。リクエストに応えてあげましょうか。レミお願いして良い?」
「うん。大丈夫だよ。まず、お好みソースからだね。」
僕は、お母さんが冷蔵庫から出してくれたお好みソースをアナライズして、コンストラクションで錬金術式を作った。材料はかなりたくさんだから向こうの世界で作ることができるか微妙だ。
「次は、マヨネーズだね。」
「ねえ、レミ。向こうの世界って生卵を食べたりするの?」
「生卵?ないです。病気になっちゃいます。」
「どんな病気になったちゃうの?」
「食中毒かな。あっ、生で食べられる玉子ってあった。ファイヤーバードの玉子だ。でもめったになくて1個がとっても高くて大きいから食べたことなんかないよ。」
「そうなのね。異世界って色々な玉子があるのね。それも書いてあげた方が良いかもしれないわ。」
ソースは色々な野菜が必要みたいだけど、向こうで作ることができるのかな…。僕は、お好み焼きソースとマヨネーズの錬金術式を送ってあげた。
「ねえ、お菓子って何かある?特別な材料が要らない物の方が良いかもしれけど…。」
「今、我が家にあるお菓子って…、アイスクリームはどう?バニラアイスがあるけど…、バニラって特別かもしれないわね。」
「そうだね。でも錬金術式、作ってみる」
僕は、自分で冷凍庫からバニラアイスクリームを持ってきて、収納した。カップの部分を術式に含ませないように、集中してアイスクリーム部分をアナライズする。…、錬金術式は作ることができそう。
「他に何かないかな…。和菓子って言うの家にある?」
「今日、お父さんが買ってきてくれたイチゴ大福があったと思うわ。夕飯の後食べようと思ってたの。」
「じゃあそれも、アナライズしてみる。アナライズ。…、コンストラクション。…、できた。以前、粒あんはアナライズしていたし、イチゴも入れていたからかな。それでも、別々に作らなくても出来上がったのは、ラッキーだ。」
うーん。イチゴ大福も美味しそうだけど向こうで作ることができかな。まあ、できなくても何かのヒントになるかもしれない。そうだ。お菓子は、材料ごとに錬金術式を作った方が良いのかな。まあ、今日はこれで送ってみよう。チョコレートもいくつかあったから錬金術式を作った。
出来上がった錬金術式は、共有スペースにコピーした。それから、お母さんに言われたことを紙に書いてコピーした。生卵のことは、赤線を引いておいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます