第11話

「先生。なんで和希、休んでんの?」

「風邪だ」


 神妙な面持ちで職員室に赴いた彼は、肩を落として酷く落ち込んでいた。

 和希が休んで、3日目が経った頃だった。


「本当ですか?」

「毎朝、母親から電話がきてる」


 和希の担任の先生は、不機嫌な顔をして彼を見上げた。

 葉佑は、生徒指導室で見た教師を見た。彼は素知らぬ顔で、業務に勤しんでいる。

 あれ以来、和希は学校を休んでいた。


「先生。今日は誰がプリント持っていくの?」

「学級委員だ」

「それ、俺が行っちゃダメかな?」


 葉佑の申し出に、担任はどこか迷惑そうな顔をした。そして、ペンで頭をかいた。


「プリントは学級委員にもらえ」

「ありがとうございます!」


 運動部かと思うくらいの勢いの良さで、葉佑は頭を下げて、職員室をあとにした。


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