第10話

春視点


昨日の夜のことを思い出して、顔が赤くなる。


やっぱり、お兄ちゃんは私のことを大切にし過ぎる。


そして、今日は思い切ってお兄ちゃんにあることを聞いてみる。


「お兄ちゃん」


「どうしたの?」


「前の私ってどんな人だったの?」


「・・・昔の春か」


「うん」


「どうして?そんなこと聞くんだ?」


これは照れてるより、心配して居る、


「いや、それはやっぱり前に何してたのかな?とか気になるし」


「あんまりでも、ほら過去の自分のことを意識する必要はないと思うぞ」


昨日の夜と言ってることが違う。きっとこれは今の私に気を使うための言葉なのだろう。


「・・・じゃあ、せめてお兄ちゃんがどう思ってたのか教えてよ」


「えっ、いやそのぉ」


お兄ちゃんならきっと、優しくて可愛いくてとか言ってくれるかな?


「そうだなぁ。おっちょこちょいだったかな」


「えっ?そうなの」


そんな風に思われての??


「それでいて、頑固なところもあって」


・・・否定出来ない。記憶を一旦失う前の私そうだったし、


「でもなぁ、」


頭に手を乗せてくれる。


「そんなところも本当は優しさで、凄く可愛いくてなぁ」


やばい、思わず顔が崩れそう。へぇーって、


そうだったんだって顔をしたいのに、


「まぁ、とりあえず最高に可愛い妹だったよ。」


「・・・そ、そうだっんだ。」


「あっでも、本当に、気にしなくて良いからなぁ。きっと今の春もこれから良いところたくさん見つかるから、まだ少ししか一緒じゃないからなぁ」



笑顔で嘘を偽りのない顔をしていって言ってくれるお兄ちゃん。


あんなことしたのに、私のことを最高の妹だった居てくれるなんて、


「お、お兄ちゃん」


「何??」


「私、もっと最高の妹になるから」


「・・・」

お兄ちゃんは複雑そうな顔をする。


そして、


「そうだなぁ!」


笑顔でそう答えた

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