第3話

「誰?」


妹は俺を見ても本当に知らない人を見るような顔をする。


俺があの時もっと早く気付いていれば、何より俺が春に嫌われなければ


「春、春ごめんな」


「??」


ーーーーー

数日後


春は寝ている。


「そんなことないよ!!」


「でも、実際、記憶を失った春の方が敬語は使えるし、正直私はほっとしたわよ」


「俺も流石に最近の春は酷すぎたと思うしなぁ」


「お父さん、お母さん。」


春が記憶失ったが、両親は全く心配をしなかった。それ所かその状況に喜びすら感じているようだ。


もしかしたら、前の春の魂は記憶と一緒に・・そうなってるかも知れないのに、

ーーーーー

今日も、両親は来ていない。

最近、春に会う頻度すら減っている。今の春だって、大切にする気はないじゃないか


春は寝ている。ちょうど寝ているようだ。


「ごめん、春。ごめんな、俺が守れなかったばっかりに」

思わず声が溢れてしまう。


「ずっと、ずっと大好きだった。どんなことがあっても変わることはなかったよ。俺は、俺は」


「お兄ちゃん??」


春が目を覚ましようだ。それより


「春、今お兄ちゃんって」

記憶を失ってから俺のことをお兄ちゃんとは呼んでいない。と言うか春に俺がお兄ちゃんだと言うことを伝えられていなかった(守れなかった罪悪感から言えなかった)と言うことは、まさか


「あれ、本当だ。なんで冬さんのことお兄ちゃんって呼んだでしょうか?不思議ですね」


どうやら、覚えてないはないようだ。けどもしかしたら、もしかしたら、

「お、お兄ちゃん??どうして急に抱きしめて」

今も、俺のことをお兄ちゃんだと、体が前の記憶の春が俺のことを伝えようとしてくれて


「ありがとう春、ありがとう。」

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