放課後に駄菓子屋でバイトする

さかなや

第1話

俺は極々普通の男子学生。

今日も学校終わりに家の近くの駄菓子屋でバイトをする。


俺の住んでいる地域は駄菓子屋が極端に少なくおそらく県内で唯一の店がここだろう。


そのおかげもあって訪れる人はあとを絶たない。

と、なればいいのだが皮肉にもそうはならない。


来るのは学校終わりの生意気なガキが数人。


その中でも一際めんどうな常連のガキが1人いる。

こいつはいつも一つだけ当たり付きの駄菓子を買っていく。

その後は俺とずっと駄弁っているだけで店に貢献しない所謂クソガキだ。



「よう!今日も来てやったぞ。」


「へいへい。どうせいつものだろ。早く選べやクソガキ。ハズレしか引かねぇんだから。」


「はぁ?何がクソガキだ!!このクソ陰キャが!!」


いつもの社交辞令を交わしこのクソガキは駄菓子を選んでレジに持ってきた。


こいつがいつも選ぶのは揚げた麺の駄菓子だ。

古びたレジ機を動かし会計を終わらせる。



……



……


「しゃぁ!!!!!当たったぜぇ!!!」


「運が良かったな。次は外れるだろうな。」


「なわけねぇー!!こっから俺は億万長者になるんだよぉ!!!」


駄菓子屋あたりで億万長者って考え方が小学生じゃねぇか。

現に小学生なわけだが。



「うぇぇおれれぅ!!また当たったぁ!!!!しかもこれ100円じゃん!!おい、10個交換しろ!!」


「はいよ。それにしても無駄な使い方するなー。明日使えばいいのに勿体無いな。」


「そんなもん知るかよ!今を楽しまなくて人生どうすんだよ。あ、陰キャにはわからねえーか。」


そう言ってクソガキは大笑いした。


いや俺にだってそれくらいわかるわ!!

ほんと生意気な奴だな。

未来をみねぇとどうすんだよ。


まぁ高校生にもなったら考え方も堅実になるのかもな。

俺も廃れたな。


「なに黄昏てんだよ。キッショ!!」


こいつ小学生かよ。

黄昏とか大人ぶりやがって。


「勝手に言っとけ。」


俺は大人だから受け流すんだがな。

なんて心の寛容な人なんだ俺ってやつは。


そんな会話をしつつクソガキは交換した駄菓子屋開けていく。



「うぉぉ!!!!!!!!また当たっちまった!!!!!!」



「おぇぇ!!!!!これもあたり!!!!」


×8回

以下省略



「えぇー!!!クソガキやるじゃねぇーか!!!はぁ!!まじすごくね!!俺にも分けろよ!!」


「いいぜ!!俺様は陰キャにも優しいからあげてやる!!持ってけ泥棒!」


そうして俺たちは当たった10個を交換した。


ちなみに100円×10個なのでやばい数になる。


「おい、ガキそこで待っとけ!倉庫から在庫持ってくるわ!!」


「早くしてくれよ!!!!」


俺は全力ダッシュで在庫を取りに行った。

そして、ガキと駄菓子を分け合った。


「おいクソガキ見ろよ。この数やばくないか。」


「そうだな陰キャ。俺たち億万長者だぞ!」


「その通りだな。」



その後俺たちは2人で駄菓子を貪った。

もちろんこの日だけで食べられるわけではなく明日に持ち越しとなった。


ちなみに交換した1,000個の開封した分は全て当たりだった。


やばくないか。


まぁ一個交換のやつなのだが。

それでもすごくないか?


「時間だからまた明日な。」


「おう、陰キャ明日もこいよ。」


「知ってるわクソガキ!お前も熱出してママ助けてーなんて言い出すんじゃねぇぞ!」


「陰キャのくせに生意気だな!!俺がいないと寂しいくせに」


「はいはい。早くかえれ!」


俺たちはバカみたいな会話を交わして別れた。



今日はほんとすごかったな。


俺もついつい子供みたいになっちまったよ。


クソガキに一本取られたな、、






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放課後に駄菓子屋でバイトする さかなや @yanananasa

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