第3話 どうでもよくて大事な話
「ねえ雪ぽん」
「なによかやぽん」
「前に彼氏がね? 唐揚げにレモンかける奴とは仲良くなれないって言っててさ」
「そうなんだ」
「私のこと嫌いなのかな」
「いやいや、そんなことで嫌いにならないでしょ。あんたら何年一緒にいるの」
「五年と七か月」
「めっちゃ覚えてるじゃん。大丈夫だって、そんな一緒にいるのに嫌いなわけないよ」
「うん、わかった。けどさぁ、なんで唐揚げにレモンかけちゃいけないの? 美味しくない?」
「私はちょっと共感できないかなー」
「えっまさか雪ぽんかけないのレモン」
「仲良くなれないとは言わないけど、唐揚げにレモンはかけたくないなぁ」
「なんでー? レモンの酸っぱさが脂っこさを抑えてくれるんだよ?」
「かやぽんは分かってない。何もつけないからこそ唐揚げ本来の味を楽しめるんだよ。レモンかけちゃったら衣の味が分からなくなっちゃうでしょ」
「ふーん、そうなんだ。もしかして和樹もそう思ってるのかな」
「かもね。ま、嫌いな理由はもしかしたら違うかもだし、彼に直接聞いてみなよ」
「りょーかい。やっぱり、ちゃんと話すのって大事だよね」
「分かる、私も最近後輩君のこと分かんなくなっててさ」
「何々、悩み事あったの? 聞かせなよ」
「うん、笑わないで聞いてほしいんだけど、まえに後輩君とピノ食べたんだ。ピノって六個入だから二人なら三個づつ食べれるんだけど、私が間違えて四個食べちゃったの。私も気付いて謝って、後輩君も大丈夫って言ってくれたんだけど、ほんとの事どう思ってんのか気になっちゃってさ。どう思う?」
「いや普通に怒るでしょそれ」
「やっぱり? 最近挨拶はするけど顔合わせてくれないし、嫌われちゃったのかな」
「そりゃそうでしょ。その後輩君はさっきのレモンの話と同じくらい嫌な思いしたと思うよ」
「うわぁ~どうしよう。かやぽんどうしたらいいと思う?」
「そうだなぁ・・・やっぱりアイスにはアイスで返すしかないでしょ。最近熱いし、話すタイミング出来そうじゃん」
「ありかも。いつもありがとう~私はいい友達を持ったよ~」
「もお、そんなこと言って・・・あっあれ、後輩君じゃない?」
「ホントだ。どうしよ、もう行っちゃっていいかな?」
「行っちゃえ行っちゃえ! 仲直りしたら私にもアイス奢ってよね!」
「まかせて! かやぽん今日はありがと! またねっ!」
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