チルチルミチル

あめはしつつじ

青は藍より出でて藍より青し

 青は藍より出でて藍より青し。

 二人の愛の巣から生まれた青い鳥。

 私たちの可愛い可愛い、

 碧。


「見てごらん、目元なんか、君にそっくりだ」

「それは、私の子どもですもの。

 口元なんか、あなたにそっくり」

「そりゃ、僕の子どもだからだ」

 家庭にある幸せを、私は見つけた。


 ある日、

 碧が突然泣き出した。

 いつもの泣き方じゃないと、

 私は思った。

 碧の頬が、顔が、

 真っ赤に、

 おでこに手をやると、

 私は救急車を呼んだ。


 医師からは、

 原因不明だと、

 このまま熱が下がらなければ、

 今夜が峠だと。

 どうしよう、

 二人の幸せが、

 逃げてしまう。

 ベッドに付き添っても、

 大声で泣く碧を私は、

 どうすることもできない。

 私も泣き出してしまいたい。

 ごめん、今仕事が終わって、

「あなた、碧が、」

「ごめんごめん、僕のと似ていたからさ」

 夫はリモコンを取り出す。

「とりあえず、うるさいね、」

 夫は、碧に向けて、

 消音のボタンを押す。

 碧から、音が消える。

「熱があるんだって? 大変大変」

 熱量を下げるボタンを、

 碧に向け何度も押す。

 これで熱は下がったんじゃないかな?

 碧のおでこに私はを手を当てる。

 冷たい、

 冷たすぎる。

「碧が、あなた、これ、」

「ああ、ごめんごめん、

 ちょっと下げすぎちゃった」

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チルチルミチル あめはしつつじ @amehashi_224

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