蟹であったり、横顔だったり(テーマ:月と1と0)
月には、ウサギが住んでいる。
兎形目ウサギ科ツキテウサギ属に属する白兎が杵を持ってやってくる。兎形目ウサギ科カエシテウサギ属のウサギが蒸したモチ米を走って持ってきて、臼の中にいれた。
臼からは白い湯気が立っている。
カエシテウサギは、「おっと」と小さく呟くと自分のねぐらに脱兎のごとく――文字通りに全速力で――引き返して、水の入った桶も持ってきた。
危ない、危ない。
ツキテウサギは杵を一度桶の水につけてみて、カエシテウサギがまんべんなく杵に水をまとわせて、モチをぺったん、ぺったんと搗いていく。
ぺったん、ぺったん
――いい? カエシテウサギは呟いた。
ぺったんぺったん
――ろ。カエシテウサギは自信をもって言う。
たんたんたんたん
たんたんたん
たんぺったんぺっ
ぺったんぺったんたん
ぺったんぺっぺっぺっ
たんたんぺったんぺっ
たんぺっぺったん
ぺったん
――おしまいだね。
カエシテウサギは、静かに呟いた。
そこでツキテウサギも言った。
「または」
たんぺっぺっぺっ
ぺっぺっ
ぺったん
たんぺっぺっぺっ
ぺっぺっ
ぺったん
「なんてね」
トリグッズを取りたい・超短編集8/8~/14 亜夷舞モコ/えず @ezu_yoryo
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