第4話 一緒に旅する仲間

 あの後も色々確認してから、自分の船を見るために、宇宙港へ戻っていく。


 歩きながらステータスなどの確認をしていたが、RPGのように明確な数字は無いみたいだな。


 確認できるのは、スキルの名前とLvだけのようだが……現在俺には、1つだけ『ジパーガ連邦共通語』がLvMAXと表記されているだけだった。


 設定上の話では、ジパーガ連邦の中に地域ごとに言葉がある場所もあり、住人の中にはその言葉しかしゃべられない者もいるらしい。


 宇宙ステーションでは共通語が話せれば問題ないようなので、地上に降りる際に注意が必要なんだとか。


 歩きながら見慣れない景色を楽しんでいる。でも、その内この景色を見るのにも飽きて、早く移動できないかな? とか考え始めるのだろうか?


 そんなどうでもいい事を考えている内に、俺の船が停泊しているポートに到着した。宇宙港に入ってからは、階層ごとに分かれているのか、エレベーター1つで到着している。横じゃなくて縦に広く作られているようだな。


 船の前に到着して一言、


「思ったよりでかいな……」


 宇宙船ってどのくらい大きいのか理解しておらず、小型艦と聞いていたからもっと小さな船だと思っていたけど、軽く見積もっても30メートルはあるな。


 まぁ船に入ってみるか。


 宇宙船はマルチギアと生体認証が無いと開けないようになっているので、無防備だなと思っていてもセキュリティーは万全のようだな。それ以外にも、センサーやカメラがそこら中にあるので、違法デバイスを宇宙港で使うとすぐにバレてしまうそうだ。


 船の中に入ると……メイドロイドとバトロイドが俺を出迎えてくれた。


 お前たちは、ここにいたんだな。


 よく考えればここにいてもおかしくないか。セットだったのだから、船に全部乗っている可能性があることに気が付いていなかった俺が、ちょっと抜けているのかもしれない。


「「ご主人様、お帰りなさいませ」」


 急に2人声をかけられて、ビクッとしてしまう。そりゃ、アンドロイドだから自分の意思で話してもおかしくないか。


「ただいま。えっと、ゆっくりできるスペースってある?」


「もちろん、ございます。ご案内いたします」


 メイドロイドが案内をしてくれるようだ。船の中は……天井が低く通路が狭い箱物と言った感じだな。あくまで、地球上の建物に比べれば狭いと感じるだけだ。


 潜水艦の様な物をイメージしていたが、配管がむき出しとかにはなってないんだな。


 10畳ほどの空間に到着する。


 ドリンクバーの様な設備や自販機の様な設備が並んでいて、どこか休憩所の様な雰囲気だった。


 とりあえず、メイドロイドとバトロイドに名前を付けることにした。安直だけど、メイドロイドにはメイ、バトロイドにはセバスと名付けた。


 メイドの名前のイメージは無かったが、バトラー……執事と言えば、セバス! そして、何となく白髪のオールバックで、セバスの名前が合いそうだったから直感でつけてしまった。


 この2人が出来ることを聞いてみた。


 小型とはいえ、陽電子頭脳を搭載しているので、許可があれば一通りのことは出来るそうだ。もちろん宇宙船の操縦にサポート、各星系の情報収集、商品の売買なども行えるそうだ。


 セバスのほうは生身でもそれなりに戦えるが、強化パーツをつければパワードスーツをしのぐらしい。


 どのくらい強いかわからん。


 メイは戦闘用ではないが、陽電子頭脳とアンドロイドの肉体を持っているので、強化されていない人間なら赤子の手をひねるように倒せるらしい。


 この2人は後発の人のために、ゲーム会社が準備したアシスタントってところだろうか。


 依頼を受けて荷物を運ぶか、自分で見繕って荷物を運ぶか、宙賊を退治しに行くか、何も持たずに移動するか……基本的にはこの4つが基本行動となるようだな。


 クラス6以上には採掘船もあるようで、その船を持っているのであれば、選択肢が増えるんだとか。


 採掘船は、船に採掘機能と精錬機能を搭載した、多目的輸送船扱いの船らしい。設備を内蔵しないといけないため、大きな船にしないといけないようで、大型一歩手前のクラス6は最低限必要となるらしい。


 小惑星を発掘したり破砕したりしてから、精錬を行いレアメタルなどを回収するのが主な目的となるようだ。


 破砕・発掘と精錬機能が別々の船に搭載して船団を組む人たちもいるそうだが、今の所1人である俺はクラス6以上の多目的輸送船を手に入れない限りは、縁のない話っぽい。


 星に上陸して発掘することもあるらしいが、その時は多目的ボットに専用の装備をさせる必要があるそうだ。メイもセバスも陽電子を搭載しているため、リンクして複数のボットを同時に操作することが可能らしい。


 各々に動かすよりは、メイやセバスが指揮を執った方が効率が良くなるんだってさ。マジ高性能だな。


 2人にできることは分かったけど、この船にできる事って何があるんだ? 2人とも知ってたら教えてくれ。ギルドでは、中途半端だと言われてしまったこの欠陥品だけど、実際の所はどんなもんなんだ?


 船の性能に関しては、ギルドの受付の評価と大して変わらなかった。


 導入パッケージから出る船だから、さすがにそこまで高性能なわけないか。ただ、電子戦兵装はクラス8の船と互角にやりあえるだけのスペックがあるらしい。


 まぁ、メイとセバスの協力があって初めて対抗できるって話なので、この2人がヤバいのではないだろうか?


 2人の評価では船の性能は、強化をすればそこそこ使えるだろうとのことだ。ただ、この船の真価は強化ではなかった。


 クラス5以上の船になれば、この船を搭載することができる。搭載した状態でも電子戦兵装を使うことが可能だし、搭載する船の兵装と合わせて使うことも可能なので、効果を倍増できるのだそうだ。


 とはいえ実験船扱いなので、専用に搭載できるような船は市販ではないので、お金をためて市販品を買い改造することがベストだと判断するようだ。


 宇宙船はどの大きさであっても、プレハブ工法のように決まったサイズのパーツを組み合わせていくのだが、サイズに細かな決まりがあり、ブロック毎にほぼ大きさは決まっているんだってさ。


 宇宙船ってポンポン作れる物なのか? と思い聞いてみたところ、地上から打ち上げるのであればかなりの技術が要求されるが、宇宙で作る分には深海艇を作るより簡単なんだとさ。


 比較対象が良く分からんけど、宇宙で創る分には簡単らしい……本当か?


 推進機やジェネレーターは、リアルから見れば未知の技術だが、この世界ではありふれているようだ。


 宇宙船には、ジャンプドライブ……違う空間へ一時的に入るシステムで、その空間での移動は、元の世界の数万倍移動することができる……このシステムは、ジェネレーターなどの部品とは、一線を隔する高級な装備らしい。


 船の値段で言うと、このジャンプドライブが船の半分を占めていると言っても過言ではないらしい。それだけ高い物なんだな……宙賊の船を撃墜しても、この部品だけは回収するべきだとセバスが教えてくれた。


 貴重な金属が使われているので、壊れていてもかなり高額で買い取ってもらえるんだとさ。船のサイズでジャンプドライブの大きさや数が変わってくるようだ。


 宙賊はクラス1の船では割に合わないので、積極的に狙わないようだ。


 クラス1と言えば駆け出しが使う船で、あまり行方不明が多くなると、宙軍やギルドが討伐隊を組むことがあるので、積極的には狙わないという理由もあるそうだ。


 宙賊の船は、ろくにメンテナンスもできておらず、輸送船を無理やり改造しているため、しっかりと武装を固めた小型船なら、1対1で負けることはないと思われるだって。


 色々情報を教えてくれるけど、それってもともとインプットされた情報なのか? それともどこかから拾ってきた情報?


 気になって聞いてみた。


 どうやら、この情報はこのゲームと提携している情報サイトなどから検索したものらしい。


 俺のいる世界……って言うのも変だけど、現実からも情報を引き出すって、かなりすごいのでは? 掲示板の様なコミュニティーも検索対象に入っているため、質問されれば細かいところまで答えてくれるようだ。


 自分で検索しなくてもいいって言うのは便利かもしれないが、利用しすぎるとネタバレみたいで楽しみが半減するかもしれないな。


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