第3話 総合ギルドで説明を受けたよ
俺が目指している総合ギルドとは……宇宙船の船乗りたちに仕事を斡旋する場所で、プレイヤーもNPCもどちらも利用すると書かれていた。ギャラクシーオンラインの世界ではNPCも日常生活を営んでいる。
子どもは成長するし、寿命でNPCが死ぬこともある。他のオンラインでは、NPCが死んでもリポップしたりNPCが死ななかったりするが、このゲーム内では普通に死んでしまう。だからこそ、自分の行動には責任を持つ必要がある。
そんな風に初心者のサイトに書かれてたな。もう1つの現実だと思って、慎重に行動するほうがいいだろうとのこと。まぁゲームなので俺たちが死んだ場合は、宇宙をコールドスリープで漂流していたということで、一番近くで再起が可能なコロニーや星などで蘇生されるんだとさ。
ゲームの維持に問題が出るほどNPCが死んだ場合も、大量にコールドスリープした人たちが乗った船が発見された……みたいな感じで、人数を調整するそうだ。
そんなことを考えながら歩いていると、目的地へ到着した。船乗りが利用する場所なので、宇宙港の近くに作られていることが多いそうだ。
あれ? 首都星にいるはずだけど、空が見えない……
重力があるからてっきり地上だと思っていたが、地上だったら宇宙船の見た目の船から降りてくるわけないか。ならここは、宇宙ステーションみたいな場所なのだろう。
総合ギルドの中へ入ると、小説で読んだような場所ではなく、庁舎のような場所だった。
クエストボードのようなものはなく、生体リンクしている機械……これ何て名前なんだろ? その機械を総合ギルドのハブに接続することで、今ある依頼を確認することができるそうだ。
でも俺は、まだギルドに登録していないので、ハブに接続することができないため依頼を見ることができない。
後で登録していない人が見れないのは、宙賊対策だと聞いた。他にも違反があった場合や、依頼を一定期間受けなかった場合は、登録が抹消されるらしい。
状況によっては再登録できないこともあるため、依頼を受けられない場合は、休止報告をして一時的に機能を停止させてもらうほうがいいようだ。
登録場所はっと……受付の隣にあるのを発見しそこまで移動するが、誰もいない。
「あっ! すいません。登録する人があまりいませんので、受付と兼業になっており、気付くのに遅れてしまいました」
ほとんど待っていないのだが、定型文のような対応なんだろうな。登録しに来たことを伝えると、船のことを聞かれた……ん? 船をもらったはずだけど、どこにあるんだ?
困ったときの左腕! 情報を表示してくれた。情報を提示すれば、このギルドで保管している船をもらえるらしい。なんで船があるのかは、ゲームだからということだろうな。
「こちらのギルドで船を預かっている……ですか? 確認しますので、少しお待ちください」
あまりない事例なのか、受付してくれた人が首をかしげていた。
5分ほどすると、船があったようで戻ってきてくれた。最近納品されたらしいのだが、情報がどこかで漏れていたらしく、受付のところまで来ていなかったとのことで、首をかしげていたようだ。
生体リンクしている機械は、マルチギアと呼ばれているものらしい。
言われるがままにマルチギアを接続すると、情報を確認して登録している情報と齟齬がないかを確認して、受け渡し完了とのことだ。
「船の受け渡しを先にしてしまいましたが、このままギルドへの登録をさせていただきます」
マルチギアは生体認証も兼ねているので、わざわざサインなどをする必要はないそうだ。
でもこれだと本人とマルチギアがあれば、『借金を背負わせたりすることが可能なのでは?』と思ったが、マルチギアには登録時の状況を記録する機能もあるので、違法なことをしていればすぐにばれるそうだ。
マルチギアを通さない契約は無効になるそうで、かなり有能な機械みたいだな。
お金なんて持ってないけど、電子マネーで持ってたりするのかな?
100万クレジット……と、マルチギアの情報に表示された。
船のサイズで宇宙港の利用金額が変わるので、利用料金は確認しておく必要があるといわれた。1日ごとの徴収らしく、入港すると自動でお金が引き落とされるようだ。
俺の受け取った船は、実験船のようでデータを取るために俺が乗ることとなっており、しばらくは利用料は必要ないそうだ。いつまでかはわからないので、引き落とされているのか定期的に確認したほうがいいと教えられた。
うん、なんかチュートリアルみたいだな。これがクリスタルの言っていたやつかな?
基準となる利用料は大体1日、小型が2000クレジットから、中型が10000クレジットから、大型は50000クレジットから、と覚えておくといいようだ。
これが高いのか安いのか全く分からん。持っている金額からすれば、中型以上はかなり高く感じる。利用するだけでこの値段。そのうえ、整備や補給を考えれば……大型とか、一度にどれくらい稼がないといけないかわからない。
超大型とかもあるそうだ、その場合は少し離れた場所に停泊して、別の船で宇宙港に入る必要があるみたいだな。
超大型を近くに止めていると少し割引されるそうだが、何かあったときは協力する必要があるみたいだ。襲撃なんかがあったときは、迎撃に出る必要があるんだとさ。
中型でも大型でも、宇宙港に入らず近くで停泊する場合は割引してもらえるようだ。なるほど、宇宙港とは言え限界はあるわけで、大きくなればそれだけ邪魔になるから、取る金額が高くなっていくってことか。
あくまで最低金額があの値段であって、もっと高いところだって山ほどあるのだろう。船の運用必要人数を考えれば、中型ですら1人で操縦することは可能な世界だ。外に泊めさせて、小さな船で入港して来いってことだろう。
割り引いてやるから、何かあったときは守れよな? みたいな感じなんだろうな。邪魔だからでかい図体で入ってくるな! と言っている割に、恩着せがましい気がするのは気のせいだろうか?
船の大きさは、基本的にクラス〇と大きさを表記するらしい。丸の中には数字が1~9までのどれかが入るそうだ。
分類すれば、クラス1~3が小型、クラス4~6が中型、クラス7~9が大型と称されるが、クラス3・6、小型と中型の間、中型と大型の間、という認識らしい。クラス9は、超大型といわれる大型に分類できないサイズの船全般を表すらしい。
俺の導入パッケージに入っていたのは、クラス2の小型宇宙船らしい。武装輸送船なので、クラス1の輸送船のペイロードとクラス1の戦闘艦程度の性能しかないそうだ。
確かに中途半端な船だな……一応戦闘艦ではあるので、速度はそれなりに出るとのことらしい。
武装輸送船を選ぶなら最低でも、クラス3の中でもクラス4よりのサイズが望ましいとされているようだ。宙賊もクラス1は金にならないから狙わないけど、クラス2になれば改造して宙賊船として使えるので、単艦であれば積極的に狙われるので注意してくださいだってさ。
結構キワモノを押し付けられたと見るべきだろうか? ユニーク艦でゲームの仕様上、鹵獲される心配はないらしいが、それでも依頼を受けていれば失敗となるし、違約金も払わないといけなくなるよな……
ん? 自分で運送依頼を出した荷物を襲うような不届き者も、いるんじゃないかと思い聞いてみると、初犯や2回目まではこちらも防ぎきれませんが、疑いがある人間や会社からの3回目以降は依頼自体を受け付けないらしい。それでも、1~2回目に当たってしまった場合は、運が悪かったと諦めてくださいと言われた。
ですが、依頼を受ける際に過去にどういった依頼をしていたか、その依頼の成功の有無を閲覧することができるので、見極められない場合は受けなければ問題ないとのことだ。
なるほどね。それなりに対策は取っているんだな。
それにしても、受け答えがこんなにスムーズだと、中に人がいるんじゃないかと疑ってしまうレベルだな。
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