第2話 ゲーム開始

『これからプレイキャラクターを作成します。スキャンをして現実世界の見た目を利用します。全身を細かく作成することは出来ますが、リアルの体と差異があると行動に支障をきたすことがありますので注意してください』


 ダイブ式のゲームが出てから色々と問題になっている点だ。


 仮想世界だから、現実とは違う体験をしたい! と言うことで、背の高い人が低く、背の低い人が高くして遊んだ結果、ダイブから戻ってきて転んで怪我をするという事故が多くあったらしい。


 平気な人は平気なのだが、ダメな人はとことんダメなので、こういう注意を作成時にする決まりになっているのだ。


 えっと、体型はちょっと筋肉質にして、顔は……スキャンからあまり変えず、髪型と色、刺青をして完成。


『作成完了いたしました。続いて、名前の入力をお願いします』


 昔からゲームのキャラクターにつける名前【ナインヘッド】っと。九頭だからナインヘッド……安直だけど、慣れ親しんでいる名前なのでこれにした。


『次に導入パッケージの確認をさせていただきます』


 ん? 確認させてもらうといわれても、どうすればいいんだ?


 そんな風に悩んでいると、目の前にタッチパネルのようなもので、『はい』『いいえ』と目の前に浮かんできた。『はい』のパネルに触ると、


『一時、現実へ意識を戻させていただきますが、通信を繋げたままにしますので、こちらの指示に従って行動してください』


 なるほどね、リンクを維持したまま現実で何かをさせるのか。


 ダイブした時と同じような感じで、先ほど寝たはずの体に意識が戻ってきた。


『初めに、導入パッケージに同封されていたカードの枚数を教えてください』


 えっと、船で1枚、船の強化パーツで5枚、生身の装備用で3枚、ドローンと戦闘用ロボットで2枚、メイドロイドとバトロイドで1枚の合計11枚か。11枚と答えると、


『おや、希少ロットの方みたいですね。船の描かれているカードの説明欄の一番下にある15桁の英数字を読み上げてください』


 15桁の英数字を読み上げると、復唱してくれて間違っていなかったので、大丈夫だと返事を返す。


 人間が対応しているような話し方だけど、音声は機械チックなのでアンバランスな気がする。


『確認が取れました。意識をこちらに戻しますので、準備ができたらお声掛けください』


 言われたとおりに、ダイブする際の体勢へ戻り、問題ないことを伝えると……意識が遠のき、クリスタルのある空間へ戻ってきた。


『おかえりなさいませ。あなた様の導入パッケージですが、船や装備の性能は並ですが、メイドロイドとバトロイドは、かなり高性能の物になっています。何か質問はありますでしょうか?』


 船は大したことないのか……課金アイテムで強くはなれないそうなのだが、どのくらいなのかを知っておきたいな。


『あなた様の武装輸送船は、戦闘もできカーゴ容量もありますが言ってしまうと……どっちつかずの半端な船となっています。そのせいで、評価はあまり高くありません。お金があればという前提ですが、すぐにでも乗り換えられる船に、同じような戦闘性能の船があります』


 うむ、本当に初心者用の船なんだな。盗まれないという部分がなければ、ただのガラクタみたいなものだよな。しばらくこの船でお金をためてスキルを上げながら、次のステップを考えるか。


 その後も、装備について確認を取ってみたが、どれも盗まれないだけで、中級装備に毛が生えたくらいの性能しかないので、お金さえ貯まれば用済みになりそうだな。


『導入パッケージのアイテムについての説明は、以上になります。次に、所属する国の選択をお願いします』


 『ジパーガ連邦』

 『スメリー連合』

 『ウォルテス帝国』

 『オファラ聖国』


 また目の前にタッチパネルのようなものが現れ、選ぶようにお願いされた。


 俺の偏見だが、帝国っていうと貴族至上主義とか、上流階級が力を持っていそうなイメージでちょっと近寄りがたい気がする。後、聖国というと宗教国家みたいな感じで、これもちょっと近寄りがたいイメージだ。


 となると、ジパーガ連邦かスメリー連合になるけど……国の勢力図みたいなのを調べておけばよかったかな……直感でいこう! ジパーガ連邦をタッチする。


『ジパーガ連邦ですね。これから先は、転送されたジパーガ連邦の首都星で、チュートリアルをお受けください。この先、ロールプレイになりますので、役になりきってギャラクシーオンラインの世界をお楽しみください』


 ここでの話は終わりになるのか……でも、役になりきるってどういうことだろう?


ボンボヤージュよい航海を


 クリスタルにあいさつをされると、俺の視界が暗転した。


 目の前が明るくなると、俺は飛行機の搭乗口のようなところに立っていた。


「おい、前に進まないと後ろがつっかえてるぞ」


 少し強めの口調で、後ろから男性に注意をされたため、慌てて謝り移動する。後ろの男性はそのまま歩き去り、他の人たちも同じようなルートを通って移動している。


 俺の視線の先には、おそらく宇宙船と思われる乗り物があり、そこから次々と人が下りてきている。


 ……首都星って言っていたから、ここがその首都星なのだろう。俺は、田舎から都会に出てきた人って設定から始まったのかな?


 人の流れに乗りながら、この人たちはNPCなのだろうか? そんな疑問が思い浮かんだ。ゲームとして船を持つことができるので、プレイヤーならわざわざ旅客船みたいなものには乗らないよな?


 まぁいいか。説明書の注意書きに、ゲームだと思って1人でぶつぶつ言っていたり、不審な行動をとっていると通報されるため、気を付けるように書かれていたんだよな。


 しばらく流れに乗って歩いていると、案内板が見えてきた。


 その中に、俺の目的地である総合ギルドへ向かう矢印を発見した。


 クリスタルの空間では言われなかったが、このゲームの初心者ガイドのサイトに、まず初めに向かうのは総合ギルドだと書かれていたので、見ておいてよかったと思った。


 もし見てなかったら、どこに行けばいいかわからなくなっていた可能性があるもんな。


 総合ギルドへ向かっていると、ふと左手がきになって持ち上げてみてみると……何か時計のようなものをつけているが、時間は全くわからないものだった……


 触ってみると、目の前に『総合ギルドへ向かえ』と文字が浮かんだ。


 思わずビックリして声が出てしまった。


 声を上げた俺を見て、近くにいた人たちが怪訝そうな視線を向けたり、危ない人だから目を合わせるな! みたいなことを言っていた。突然文字が出てくるのが悪いんだよ!


 多分、この時計のような腕についている機械は、生体リンクしているこの世界の人たちが当たり前に持っているものだとのことだ。説明では、スマホのようなものだとサイトに書いてあったっけ?


 生体リンクしているので、情報共有しないと本人しか見れないので、周りから見た俺は奇声をあげた危ない奴ということになる。この世界では当たり前のものなので、そんなことで声を上げる人はいないので、超やばい奴に見えている可能性はある。


 変な目で見られると困るので、そそくさと移動する。



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