分岐点

 「…悪い。 結局全部二人に任せちゃったな…」


 屋敷を出て中央広場に戻っていた俺は…既に準備の大半を終え、手持ち無沙汰な様子で立っていたエレナに声をかける。


 周りにはラウル達が百人以上集結しており…俺に既視感のある視線を向けてきていたが、とりあえず今は無視しておいた。


 「気にしないで。 二人で十分だって言ったでしょ?」


 エレナは本当に気にした様子もなく返答する。


 「…分かった。 …じゃそうする」 


 …だから俺も、それ以上は長引かせなかった。

 それだけ言って、エレナから視線を外し辺りを見渡す。 遠くから見て気付いていた事だが、やはりリアの姿が見えない。


 「リアはどうした? 見当たんないけど」

 「食料調達の指揮をして貰ってる。 多少は持って行かないと、あなた達に頼ってばかりじゃ駄目だし」

「…それこそ気にしなくていいんだが…。 まぁいいや、それ何処でやってんだ? 俺も手伝う」

 「今から行くの? もうほとんど作業も終わってるだろうし、待ってれば良いのに」

 「いや、此処に居てもやる事ないからな。 それと、視線が気になる。 変な紹介の仕方したんだろ」


 今彼らが俺に向けている視線は、拠点で猿と話した後のそれとよく似ていた。


 「失礼ね。 私は事実しか話してないわよ」

 「…それは後で話してもらうから」

 「今聞けばいいでしょ? 時間あるんだから」

 「いいから…! 早く教えてくれ」

 「………分かったわよ。 まったく、変なトコで子供みたいよねあなた」

 「うるさいわい…」


 エレナは溜息をつきながらも、場所を示す。


 俺は、最後少しくらいは手伝いたいという思いと、この突き刺さる好奇から避難したいという気持ちで即座にその場から走り去った。 のだが…。


 三歩ほど進んだ先で、大事な事を言い忘れていた事を思い出し、すぐにエレナの元へと引き返す。


 「…なに? どうしたの?」


 急に走り出したかと思えば即座に戻ってきた俺に、エレナは怪訝な表情を隠さず問いかけてくる。


 「いや、一つ言い忘れがあってさ。 多分もう少ししたら一人新入りが来るだろうから、温かく迎えてやってくれ」

 「ちょ、ちょっとなに? 新入りって…ちゃんと説明して」

 「貴族の女性だ。 年はエレナと同じくらいで、オーラは持ってない。 それと‥‥」

 「─待ってっ…! 分かったから、お願いだからその口を止めて…!」


 早口でまくし立てる俺をエレナが止める。


 表情は、困惑から怒りを感じさせるものに変わっていた。


 「…どう言うつもり? 貴族の女なんて、このタイミングで…! 受け入れられないわよ? 私も、皆も…!」

 「いや、受け入れるよ」

 「どうしてよっ…?!」

 「エレナ達が逃げたあの夜、扉を開けたのがその女だからだ」

 「──っ う、嘘…、じゃあ…」

 「…あぁ。自分が一番分かってるだろ?」

 「…………」


 エレナは俺を焦点の合わない瞳で見つめ、そして目を閉じる。


 そう。 エレナが誰より分かっている。


 あの夜、あの時…一歩踏み出したのはエレナだが、導いたのはクラリッサだ。

 灯り一つない部屋に、僅かに月明かりを差し込ませて……。



 …だから、多くを語る必要などない。



 「名前はクラリッサだ。 …頼む」


 棚上げしていた疑問に対する答えを得たのだ。

 …エレナはそれを無視など出来ない。


 「………分かった。 皆にも伝えとく」


 目を開けたエレナが軽く息を吐き、『仕方ない』という表情で頷くのを確認し…。


 「じゃ、よろしく」


 俺も、今度こそ…この場を後にした。









 エレナに教えて貰った場所に向かって走っていると、正面から荷台を引く人達が歩いてくる。

 とりあえずすれ違い荷台を横目で見ると、どうやら中身は食料品。


 歩いてきた方角等から考えて、彼らがリアと一緒に作業をしていた面々で間違いは無いだろう。



 だとすると、遅かったな。 …エレナの言うとおり…



 見えている荷台の数は二台。 …これが限界だろう。

 これ以上増やすと移動速度が制限させる。 リアもエレナも、当然それは承知の筈である。


 …しかし、それならリアも彼らと一緒に戻っていてもおかしくない筈だが…相変わらず姿は見えない。



 「あー、ちょっといいですか?」


 最後尾のグループに居た初老の男性に声をかける。


 「え…あ、はい。 …なんでしょうか?」

 「リアは一緒じゃないんですか? もう作業は終えたんでしょう?」

 「えと、…リアさんはまだ向こうに残ってます。 私たちだけで戻っておいてほしいと…」



 一人で…? 何してんだ?



 「…理由は言ってました?」

 「はい…。 最後に見ておきたいと、そうおっしゃってましたが…」

 「見る…? 何をですか?」

 「さ、さぁ? …それは私には、分かりませんが」

 「……………」


 理由を聞いても、正直よく分からないが…。


 何となく…気になった。


 「あ、あの…レイ様ですよね? ほ、本当…皆、感謝してて…」

 「リア様からお話は伺ってます‥」


 俺は…初老の男性との会話中、ジリジリと間合いを詰めてきていた皆を…


 「…あー、ありがと。 でもそういうのは全部此処を離れてからにしましょう、ねっ? 俺はリアを呼んでくるので、皆はこのまま戻っててください」


 …両手と言葉で牽制し、包囲を脱する。








 気になる事は無視出来ない。 そんな、言わば野次馬根性から始めたリアの捜索であったが…。


 すぐに後悔することになった…。



 場所が問題だ。


 …リアの居た場所が。 


 リアはそうではなかった様だが、俺は出来れば立ち寄りたくはなかった…。



 「……はぁ」


 俺は、溜息を吐き出しリアの背に近付く。


 男性の言ったとおり、リアは建物内に一人。 …何もせず…ただ立ち尽くしていた。



 「…“生産所”、って呼ばれていたらしいです。 …ここ」


 俺の気配を感じたリアが、振り返らずに呟く。


 「……………」


 言葉が見つからなかった。


 何を語ろうとも的外れになってしまいそうで、ただ…リアの隣に歩み寄る。


 「…エレナから話は聞いていました。 皆が、此処でどう生きていたのか…。 何をしていたのか…。 でも、実際に自分の目で見ておきたくて…確認したくて、来たんですけど。 …駄目ですね、一人で居ると…。 いろいろ、溢れてきちゃって…折れそうになる」


 リアはそう言って、奥歯を噛み締めながらも俺に笑顔を向けた。


「……俺もだよ。 だからリアは来ただけ立派だと思うけどな…。 俺なんかは、リアが居なかったら此処に来てすらいないだろうから」

 「…何故ですか?」

 「イラつきたくないから、かな。 …自分にどうにもならない事で、心をすり減らしたくない」

 「………………」


 俺の言葉に、リアは何故だか押し黙る。


 「どうした…?」

 「…そうでしょうか」

 「ん?」

 「本当に、どうにもならないんでしょうか…」


 そして、遠く…壁の外にある地平を眺めるような目線で呟いた。


 「……………」


 俺は、その横顔を見つめながら…黙って続きを待つ。


 言葉の真意は定かではない。 だが…今はただ、リアが語る言葉が聞きたかった。


 「…レイ様。 覚えていますか? あの日、わたしとレイ様が初めて会った日に…言った言葉。 ……『腹の立つ事を見過ごして生きるのは、辛くないのか』って、そうわたしに尋ねましたよね?」

 「あぁ…。 言ったな」

 「あの時わたしは、辛いですって…辛かったですって、そう返事しました。 心の底から、本当にそう思ったから…。 でも、最近のわたしに……、ううん…多分、もっと前から…。 それから一年も経ってないうちから、わたしはそんな気持ち忘れてた…。 レイ様とフィオナの傍に居るのが、居られるのが…幸せすぎて…。  ……笑ってしまいますよね? その頃からわたしの夢は、レイ様…貴方の傍に居続ける事だったんですよ? ……ずっと、それだけで良いって…」


 突然の告白。 リアは視線を俺の瞳に戻し、力なく微笑む。


 「………いや、別に笑ったりはしないよ。 俺は…嬉しいし。 それに、人は幸せを求めるもんだろ? …リアが気に病む事だとは思わない」

 「……レイ様はそう言うだろうと思ってました。 …優しい人だから。 でも、駄目です。 それじゃきっと、何もかも叶わない…。  ……フィオナを見て思ったんです。 最後までレイ様の傍に居られるのは…きっと、フィオナの様な“自分”を持った人間なんだって。 …わたしじゃいつか振り落とされる。その資格もいずれ失う。 …だから、わたしは…“自分”が欲しかった」

 「……………」


 …流石に、言葉に詰まる。


 人との関係や自分探し。 …今のリアの発言は、俺の考え方とは合わない。


 傍に居られるの居られないだの…。自分を持ってるだの持ってないだの。 俺にとってはどうでもいいこと筆頭だ。

 …挙げ句資格とまで言われちゃ…正直ついて行けない。一瞬、反論しそうになる。


 だが。


 さっきの告白も、今のも…俺に答えや同意を求めた訳じゃない。 きっと、リアの覚悟の話。


 なら、否定するべきじゃない。 …反論することに意味などない。


 そう思ったから…結局、何も言わなかった。


 「…でも、そんなふうに意気込んでも…わたしはただから回るだけ。 当然ですよね。 …フィオナへの対抗心とか、傍に居たいとか、そんな誰かに寄り掛かった理由だけじゃ…これまでと何も変わらない。 無理やり探した理由でも…自分が選んだとは言えない…」

 「まぁ確かに、砦を出てからのリアは…何かちょっと焦ってた感じだったが…」

 「ですよね…。 でも、おかげでやっと分かりました。 …自分の気持ちが」

 「おー。 聞いてもいいのか?」

 「はい…。 聞いてください。 …どうか」


 リアは身体ごと俺に向き直り、目を伏せ浅い呼吸を繰り返す。


 やがて胸を手を置き、何度か深呼吸をしたかと思えば、スッと目を開き…決意の瞳で俺を凝視した。



 なんだか所作がガチ告白前の乙女の様だ。 …いや、全くそんな訳がないのだが





 …そう、思ってたのに。





 「……レイ様…。 貴方のことが好きです」


 …おい。


 「わたしは、これからもずっと…貴方の傍に、隣に居たい。 …貴方と、生きていきたい」



 普通に告白してんじゃねぇか…!



 でも今のリアの顔は真剣そのもの…瞳は揺れ、頬も僅かに上気している。 


 それはつまり…そう言うことで…。



 だからこそ素直に喜べない。 …流石に憚られる。

 はっきり言って…相応しくない…。


 …それに、会話の流れに則してない。 どうにも支離滅裂だ。


 「リア…。 ちょ‥‥」


 俺は戸惑い、口を開くが…


 「分かってますっ…! 駄目ですよねっ…こんなトコでっ…! タイミングも最悪っ…。 でも、聞いてくださいっ…。 お願いします…!」


 …リアに遮られる。


 必死の形相…。 正直、今のリアの心境は俺にはまるで理解出来ない…。



 でも…。


 「………分かってるよ」


 話を聞かないなんて選択肢ははなから存在しない。


 「聞くさ。 ちゃんと…最後まで」


 だから、思いはとりあえず全て呑み込んで…リアの顔を見る。


 「……レイ様…」



 それから数秒間、俺が照れくさくて視線を外した後もずっと、リアは俺の顔を見続けて…。 


 そして…リアはぽつぽつと話し始める…。



 「……ごめんなさい、本当に…。 こんなかたちで…わたしも言いたくなかったんですけど…。 でも、言わなくちゃいけなかったんです。 わたしの、一番大切な想いの一つだから…」

 「……だが、そう言うのが駄目だって話をしてたんじゃなかったのか?」

 「違います…!それは…。 この想いが駄目なんじゃなくて…この想いだけじゃ駄目だって、そう…思っただけですから」

 「……じゃあ、分かった気持ちってのが他にもあるのか?」

 「はい…。 でもそれも、最初は持ってたんです。 貴方に見出して貰ったものだから…。 …貴方の事が好きになったから、見失っていたものでもありますけど…。 ……もう絶対、失いません」

 「……………」


 リアは自嘲ぎみに苦笑い、俺の眼を見つめる。


 俺はそんなリアを見て…何とも言えない迫力を感じていた。


 まず、好意をまるで隠さない。…だがそれは、あんな告白をした後だ…当然なのかも知れない。

 でも、それだけじゃなく…。 彼女の内の強さと覚悟が…全面に出て憚らない。


 もちろん、憚る必要などないのだが…間違いなく普段のリアとは違っている。

 彼女は、そう言ったものを内に秘めるタイプだったから…。


 …その違いに、思わず気圧された。


 「レイ様…。 わたし、今ならあの時の問いに…もう一度心の底から答えられます。 エレナと出会って、話を聞いて、この場所に来て……はっきりと分かったんです。 …わたしはもう、何も見過ごしたくない」 

 「……リア…?」


 …そして…話が何故だか耳を通り抜ける。


 それは多分…俺が思いもよらない事だったから……。


 「わたしは…世界を変えたい。 きっと…『どうにもならない事』なんかじゃない」



 不意打ちだった…。


 体温が、にわかに上がるのを感じる……。



 「…レイ様。 わたしは、わたし達の国を造りたい」 



 俺の戸惑いを余所に、リアは何ともないような…平然とした顔で言い切り。



 「……手伝って、くれますか…?」



 俺の前に…右手を差し出した。



 こいつ…!



 「…国を、造る…?」

 「はい…。 奴隷なんていない、皆が幸せに生きられる国を…わたし達で。 …わたし一人じゃとても無理です。 でも、レイ様と一緒なら…きっと…」

 「……………」



 国を建てる…? それも、皆が幸せに生きられる国を…?!

 馬鹿馬鹿しい…。そんなものは夢物語だ…と、一笑に付したくなる。







 …だが、本当にそうだろうか



 同時に疑問も生じた…。


 俺が今無理だと一蹴しかけたのは、これまでそんな考えが一度も頭を過らなかったのは…多分、前の世界の記憶と経験によるものだ。


 でもそれは、適切だろうか…?


 全く異なる原理原則が存在する世界を、かつての記憶で測るのは…。

 もちろん、双方で変わらない普遍的な要素はいくつもある筈だ。 …だからこそ、俺の記憶と経験はこれまでも大いに役立っている。

 …しかし、だからと言って視野を狭めてしまう必要もない気がした…。



 だとすると…この世界を先入観なく見渡しているのは、むしろリアの方じゃないのか



 ふと、差し出されたリアの右手が目に留まる。


 その手は、小刻みに震えていた……。



 「…リア。 無理矢理見つけた理由って訳じゃないんだよな?」

 「はい」

 「一時の感傷じゃないって言い切れるのか?」

 「はい」


 リアは俺の眼を真っ直ぐに見据えて答える。


 意地悪な質問をした。 リアがそう答えることは分かっていた。 それが、嘘じゃないことも…。


 リアは気持ちを忘れていたと言った。 俺達との生活の中で見失ったのだと…。


 でも、それは間違いだ。


 俺は知ってる。 リアが村の奴隷達を見る時の眼を。

 彼らを案じ、栽培しやすい作物の事まで考えて…。


 リアは何も無くしてなどいない。 最初からずっと持ち続けている。 ただ、その為に人生を賭ける選択まで出来ていなかっただけのこと。

 …当然だ。 年若い女性が、他人の為にどうして簡単に自分を差し出せる?

 そんな選択を何の葛藤もなく行える人間が居たなら…その方がどうかしている。


 だが、リアはそれでも立ち上がったんだ…。


 …だからこそ、こうして決死の覚悟で…俺の前にいるのだから。



 「…ホント、とんでもない一日だな」


 俺は諦観の笑みを作り、差し出された手を握る。


 「─レイ様っ…」


 ここまでの覚悟を見せられて、素知らぬふりなど出来る筈も無い。


 「手伝うよ。 俺に出来る範囲で」

 「──はい。 はいっ…!」


 リアは最初に驚き、次に安堵し…そして最後に、花が咲く様な…今日一番の笑顔を見せた。


 今日のリアは、表情がコロコロと変わる。


 戸惑わされてばかりだが、悪い気はしない…不思議な感覚だった…。



 「だけどリア…。 最後まで聞いても…やっぱりよく分からなかったな」

 「…? なにがですか…?」

 「……お前があのタイミングで…その、告白した理由が…」


 建国の話に持っていきたかったのだとしても…特に必然性はない気がする。

 …まぁ、こんなこと理屈で考えるべきじゃないのかも知れないけど…。


 そんな俺の素朴な疑問に…


 「……本当に分からないんですか?」


 リアは揶揄う様に俺を見つめる。


 「…そう言ってるだろ?」

 「簡単ですよ。 どちらか一方だけじゃ、駄目だからです…。 わたしは、レイ様…貴方も、国も、どちらも欲しいんです。 …手に入れてみせます」

 「─なっ、はぁ? な、なにをさらっとお前は…!」


 そして返ってきた答えは、想像以上に自分本意な理由で…。


 「いけませんか…?」

 「くっ…ははっ! んじゃあ、ここで俺が手を取らなかったら…お前はどうするつもりだったんだ?」


 思わず吹き出すほど身勝手で…。


 「…それも簡単です。 何処までも追い掛けて、捕まえます。 …わたしの手を握ってくれるまで」

 「くはっはっは! ……はぁ…。 まったく…我が儘なヤツだな」

 「はい。 貴方に負けないくらい…わたしは、ワガママな女なんです」


 だから俺達は…顔を見合わせ笑い合う。


 …くつくつと、笑い合ってしまう。



 他の誰にも分からない、何とも奇妙なコミュニケーションだと自覚しながら。

 場所も時間も…相応しくないと分かっていながら…。


 それは多分、俺もリアも…どっちも気付いていたから。


 そう。


 此処がまさに…分岐点…。



 今日この時の出来事は…これからの俺の、俺達の…ど真ん中。


 色んな感情が混じり合い、一言で表す事さえ出来はしない。

 不謹慎だとしても、相応しくなくとも…此処がどんな地獄だろうと……。

 

 「………戻ろう、リア。 皆、もう待ってる」

 「…はい」



 もはや、この場所は…




 …薄暗い建物から出た後の日差しは、まるでさっきとは別世界のように輝いていて…。


 思わず…目を細めてしまう。


 「…行こう」

 「レイ様…」


 横を向けば、同じく日差しに照らされ…ぎこちなく微笑むリアの姿。


 「どうした…?」

 「手を…繋いでもいいですか?」

 「………いいわけ無いだろ。 バカ野郎…」

 「帰る間だけですよ? ちゃんと走りますし」

 「アホだ…。 アホが居る…」

 「冗談です…。 もちろん」

 「ホントかよ…」

 「レイ様」

 「…なんだよ」

 「…………大好き…」


 「……………」


 言うだけ言って走り去っていく、リアの背中を見ながら呟く。


 「……分岐点…か」



 照り付ける西日の所為だろうか…? 何故だかかすかかに…顔が熱かった。




 












 

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