第5話 爺様は、波に揺られてドンブラコ

爺様。毎日、いろんな発見をしてくれている。僕の部屋に、時計はない。威張って、言える事ではないけど、携帯のアラームも必要ないんだ。って言うのは

「何度、言ったらわかるの?」

婆様の怒鳴り声が家中に響き渡る。言っても、無駄じゃん。と思いながら、起き上がるのが、僕の日課。怒鳴っている婆さんを横目に、僕らは、黙々と朝食を食べ、それぞれの1日を過ごす場所へと向かう。

「婆さん、元気」

「そう、大きな声を出せるのは、元気な証拠」

「僕も、大きな声出せるよ」

「僕も」

「おーい」

「おーい」

2人で、繰り返していると

「やかましい!」

「怒られた!」

婆様が、僕らに怒鳴り、兄が、半べそになり、慌てて、学校に向かうと言うのが、僕らの日課。兄は、近くまで、送迎が来るので、リュックを持って、僕が、途中まで、連れていく。コンビニの前に来るバスを上機嫌で、大事なタオルをいじりながら待つ。毎日の日課。

「行ってくる」

僕は、コンビニの前で、バイバイする。今日も、学園で、野菜作りをしてくるんだな。兄は、野菜を育てたり、選別したりが得意。どんな野菜でも、食べ頃がわかる。途中で、虫を見つけてしまうと作業が止まってしまうのが、大変らしいけど、兄は、特に、問題ないかな。我が家で、1番、話題を振り撒くのは、神様に近くなった爺様なんだから。今日も、いつもの日課で、爺様を怒鳴った婆様は、こともあろうか、とんでもない、発言をしたんだ。

「川に行って流されてしまい!」

婆様、僕らだって、そんな酷い事は言わないよ。だけど、うちの爺様のメンタルは、揺らがなかったね。

「行き方が、わからない」

「きーっ!」

婆様は、悔しがって、そばにあったティッシュの箱を壁に投げつけていた。爺様は、ナイスな返し。そんな厳しい事言う婆様だけど、いつも、爺様の事を心配して、足が悪いのに、いろんな所に出かけてしまう爺様を心配している。

「爺様!どこいくの?」

「・・・・」

「爺様!」

杖に捕まりながら、追いかける婆様。

「川に、ドンブラコ」

そい言いながら、川とは、全く違う歩行に歩き出す爺様。川に辿り着く前に、日が暮れるよ爺様。帰って、一緒にアイス食べよう。爺様。

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