〝あの日〟からずっと。



「.........都輝く、ん、」




〝満月〟の月を見てから、数時間。




私は、ほんの少し眠いと思いながら、

気づけば、都輝くんにもたれかかりながら名前を呼んだ。




「ん?」




優しく聞こえる声は、

いつになっても安心する声で。




でも、それと同時に寂しくもなるから.........




「.........郁美ちゃんと、帰らなくて、良かったの?」




放課後のことを問いかけた。




都輝くんが声をかけられてた、

秋元郁美(あきもといくみ)ちゃん。




「.........べつに、郁は関係ない。俺にとっては、

ずっと、めぐが1番だし、避けないで欲しい」




そう言って、私の手を、

──────ギュッと握る都輝くん。




「....っ、きいた、もん、付き合ってるって、」




だから、〝避けてたんだよ〟って。




そう伝えるように、都輝くんを見つめると。




「............んっ、」




一瞬、くちびるに触れた柔らかい温もり。




それに、都輝くんのドアップの顔。




温もりが離れたあと、

都輝くんは、私をギュッと抱きしめると。




「......、ごめん、抑えられなかった。

郁はイトコだし。それに俺は.........

子供の頃、月を見た〝あの日〟からずっと。

めぐが、めぐだけが好きだから............っ、」




色んな感情が、

入り混じったような、都輝くんの声。




伝えるなら今しかないのは分かる.........




「......っ、都輝くん、私も、

本当は、〝あの日〟からずっと.........っ、すき」




2人で伝え合った、

〝あの日〟からずっと。という想い。




これからは、

ほんの少し進んだ2人の関係になる始まりの日。






fin.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

〝あの日〟からずっと。 二宮みぃ。 @2nomiya_mi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ