14話 癖のある奴と入学

 「テクちゃんが可愛いわ〜」

 「あぁ...テクトの制服姿が見れるなんて...」

 「テクトぉぉぉぉ...成長しましたね............」


 今日は入学式だ。

 前々から思ってたことだが、こいつら親バカだな。

 まぁ嬉しくないわけではないのだが...


 「……入学式が終わったら、また会いましょう。行ってきます!!」

 「「「行ってらっしゃい」」」



---



 なぜだか、俺はテラウス学園に合格していた。

 知識のテストで何も書かなくても合格するなんて、この学園は意外とレベルが低いのだろうか?

 実技が評価されたんだと思いたい..



 色々考えているうちにテラウス学園に着いた。



 まず最初に目に入ったのは成績表だ。

 昭和日本のような成績順に張り出される形式。

 早く来た方と思っていたが、多くの人が自分の成績を探している。


 えっと...俺はどこにいるのだろうか?

 上から見ていくか。


 全然ないな.......おっ、あったけど...下から六番目だ...

 どうやら俺はギリギリ受かったらしい。

 俺が心配していたことは合ってなさそうで良かった。


 だが、魔術100点満点中100点だったのは嬉しい。

 まぁ知識は200点満点中0点なのだが...

 

 次に目に入ったのはクラス編成表。

 ここにも大量の人間がいた。

 A〜Zクラスに分けられるらしくAに近いほど成績が良いらしい。


 見てみると俺がAクラスに配属されることはなく。

 Zクラス...一番下だ...

 そりゃそーだ下から六番目だもん。


 まぁこの世は知識が全てじゃないんだ。

 ガリ勉しかいないクラスよりはバカが多いクラスの方が楽しいと信じようではないか。

 いや、魔術ができないとかのパターンもあるのか...

 心配だなぁ...



---



 Zクラスに向かう。

 複雑な道だな...

 まず校舎がデカいのだ。

 地図がなければ間違いなく迷っていた。


 Zクラスに着き、扉を開けると、広がっていたのは地獄絵図だ...


 チンピラみたいな男三人組が教室で線香花火をしている。

 線香花火って意外と可愛いな。


 次にギャルが五人ぐらいいる。

 奴らは複数の机を並べそこで会話をしていた。

 てかあれって席順的に俺の机じゃん...


 他にもクセがある人間が多い。

 仮面を被っている者。僧侶のような服を着てお経を読み上げる者。クラスの女子にナンパしてる者と言った”変な人”が多い。

 真面目そうな人もいるが、中身が変とかあったら怖いな。


 そう考えているとチンピラのリーダーのような人が声をかけてきた。

 

 「おい、ここはガキの来る場所じゃないぜ」


 そう考えたら俺も6歳。

 変な人間じゃないか...


 「一応合格してから来ているのですが...」

 「マジか。お前何歳?」

 「6歳です」

 「6歳ってヤバくね!!まぁ、俺の名前はカイセ・カンザリ。お前の名前は?」

 「テクト・ガランティーナです」

 「まぁよろしくな」


 良い人そうだけど、あんまり関わりたくない人間だな。

 他の人も会話を聞いていたのか視線を感じる。


 目立たないようにしないとな...



---



 先生が来て挨拶を始めた。


 「私の名前はライス・クレイ。何も無ければ3年ほどお前たちとお世話になるわけだ。よろしく」


 担任の先生は女の先生だった。

 見た目は優しそうだな。


 「まぁ、皆の自己紹介も聞きたいとだが、先に入学式に行かないといけない。体育館に行こうか」



---



 前世の入学式とい同じような流れだった。

 時間は二時間ほどだったが、そこまで苦ではない。

 人数が多いのは大変だね。


 一つ驚いたのが主席の挨拶をリリシアが行った事だ。

 絶対実家パワーでズルをしてるだろ。

 と思うテクトであった。


 その日は特に挨拶などはなく、無事終了した。



---帰り道---



 「テクちゃんもこれから頑張るのよ~」

 「はい!」



 入学式を無事に終え、これからは目立たないようにしなければと思うのであったが。

 既に数名から実力に目を付けられているテクトであった。

 無事卒業することはできるのか?

 否、それは不可能である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る