第二章 学園編

13話 いざ入学試験!

 フライトとの話を経て俺が今後やらねばならないことが2つ決まった。

 1つ目は今までと変わらない、俺自身の実力を上げること。

 聖戦が始まった時に俺が戦えなかったら意味がないからだ。

 2つ目は簡単に言うと、仲間作りだ。

 生還者が出てきた時に対抗できる力が無いと、人国が滅びてしまう。

 対抗する力、もちろんこれは1つ目の俺自身が強くなればいい話なのだが、一人では限界がある。

 その時に仲間を作っていたら皆で戦うことができるのだ。

 それに人が多くて損はないしな。


 それとフライトはあの後、騎士団オーディナリーに入り直した。

 フライトは仲間を増やすのではなく、騎士団内の今ある戦力を増強していくらしい。

 フライトの明確な強さは分からないが、魔力総量を見るには強そうだ。 

 よって、俺も心置きなく行動できる。


 サリーなどに相談しないのか、とフライトに聞いたが今はまだ言わないらしい。

 ここはよく分からない。


 少し話を戻そう。

 俺は仲間を作らないといけない、言うことは簡単だ。

 しかし、俺には出会いがない。

 どうしたことか...



---1週間後---



 俺はいつものようにダンジョンで稽古を努めていた。

 最近は魔術ではなく、剣術もリサに教わったりしている。


 「リリシア様とこうやって稽古をするのも短くなってきましたね...」

 「そうですわね...」


 なぜだろうか?

 王様にでもなるのだろうか?


 「なぜですか?」

 「リリシア様は来年から10歳になります。学園に通うのは当たり前でしょう」


 学園か...

 それにリリシアも10歳になるのか、時の流れは早いな...


 「わたくしも行きたくはないのですが、お父様が管理している学園ですので娘のわたくしがいかないというのはお父様も許容できないでしょうし...」

 「そうか...」

 「テクト様一緒に行きませんか...?_」

 「そんなのい……」


 ちょっと待て。

 いやと言いかけたが、意外と良いのではないだろうか?

 今俺は、自分自身の実力を高めることと、仲間を集めることをやらねばならない。

 確かにリサと一緒に稽古をし強くなるのも良いだろうが、最近は新鮮さがない。

 そりゃそうだ、リサとの師弟関係も今年で5年目にもなるわけだからだ。

 それに学園に通いながらでもリサと稽古ができないわけではない。


 まぁこっちの方はそこまで大事じゃない。

 仲間を作る、これは今俺が一番悩んでることだが、出会いがないなら学園に通って、出会いを作れば良いのだ。

 天才だ。


 決めた


 「僕も行きます!」

「「………………」」


 まずいことでも言っただろうか?


 「ほんとでございますか?」 「テクト、あなたも次のステージに上がるのですね...」


 そうでもなかったようだ。

 リリシアは嬉しそうだが、リサは寂しそう。

 そんな感じだ。



---



 学園に通うとシュタインやサリーに伝えても特に驚かなかった。

 基本的には10歳になって通うらしいが、俺が10歳にならずとも、行くということは何となく予想していたらしい。

 リサは止めてきたが


 「最近成長を感じれないのもあるので新しい場所で学ぶのも良いかなと思うのですが」

 と伝えると

 「学園には貴族のお坊ちゃんやお嬢様も多い、テクトがそのような方より良い成績をとったりすると虐められますよ」

 と言われた。


 俺って人との付き合い方がうまいわけじゃ無いからな...

 うん、目立たないようにしなければ...

 そう思うことにした。

 もちろん虐められたら、返り討ちにするつもりだ。



---



 そんなこんなで準備などをしているうちに、入学試験当日となった。


 そう入学試験当日だ。

 今日朝にいきなり言われた。


 試験あるとか、聞いてないのですが...

 てっきり誰でも入れると思っていた。


 何も勉強してない言ったのだが、俺なら勉強してなくてもいけると皆が言ってきた。


 俺の自信はないのに、あの人たちの自信はどこから出るのだろうか?

 と思ったテクトであった。


 試験会場は俺が受けるテラウス学園だ。

 リリシアの住んでいる、テラウス城のほぼ横と言っても良いところにある。


 色々考えてるうちに会場には着いた。



---


 分かった事をまとめると。


 試験内容は知識、魔術、体術が問われるらしい。

 魔術と体術はその場でやり過ごせると思うが、知識は心配だ...


 倍率は2倍。

 募集人数が2000人に対し約4000人の受験者がいるとのこと。

 そして総合成績上位50人は特別クラスに入れるらしい。


 分かった事は以上だ。


 そろそろ試験が始まる...

 心配で仕方ない...



---



 一個目の試験は知識を問うものだった。


 正直に言おう。

 

 何一つもわからない。


 この魔術の制作者は誰?

 この魔式の間違いを答えよ


 などと様々な問題があったが何も書けずに2時間ほどの時間が過ぎた。


 あぁ、落ちたなこれ...

 まぁ一応、次の試験は頑張るとしよう。



---



 次の試験は魔術が問われた。


 順番に個室に入り、試験監督との一対一での試験だった。

 問われた魔術はどれも過去に練習したものばっかで難しくはない。

 軽く面接的なこともしつつ、最後に魔力総量を測る魔道具に手をかざした。

 漫画のように俺の魔力総量が膨大すぎて、魔道具が壊れるといった展開は訪れずそのまま魔術の試験が終わった。



---



 最後に体術が問われた。



 やり方は先程と同じで、試験監督との一対一の試験だ。

 もちろん先程の相手とは異なり、体育系の男が相手になった。


 やることは体力測定的なことと、剣術を披露することだ。

 当たり前だが強化魔術は使えない。


 これは特にミスすることなく終わった。

 日頃の筋トレの成果が見せれたと思う!



---



 そんなこんなで入学試験は終ったのであった。

 あぁ...勉強しておけば良かったなぁ...

 あの人達になんて言おう...


 家に帰ると、いつも以上に豪華な料理が並んであった。

 受かってるかも分からないのに俺の合格祝いらしい...


 終わった...


 と思っていたがその数日後に合格書が届き、声が出なかったテクトであった。



---職員会議---



 「次に番号2093ですが。こいつ試験をなめてますね」

 「どれどれ...、知識0点...魔術100点、体術90点...」

 「知識0点というのは間違いじゃないのですか?」

 「いえ、紙が白紙なので間違いないでしょう」

 「とんだ問題児がいることだ...」

 「魔力総量はEと平均より少し大きいぐらいで魔術が100点と?試験監督はキナリク氏ですがこれは合ってますか?」

 「はい!おれっちがこの目見ていたので間違いないです」

 「そうですか...」

 「まぁこの総合点数だと合格でしょうね」

 「なかなかユニークな奴が来るな!!」

 「こいつガランティーナ家の子か!なかなか大物やないか」

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