03話 魔眼と魔力効率 〜魔術オタクは気ままに魔術を〜
俺が魔眼を持っているなんて...
時は30分前に遡る。
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初めて魔術を出した時から半年が経ち、俺は順調に攻撃魔術について学べてきている。
また魔力総量も右肩上がりだ。
最近の俺は完全に魔術にハマっている、どこにいようとも魔書は持ち運んでいるし。
もちろんサリーとシュタインがいないときのみだが。
ちなみに俺が魔術の勉強をしてるのを知ってるのはリサのみで、周りには秘密にしてと頼んでいる。
親にあまり心配させたくないんでね。
危ないことをしないという約束で承認を得た。
それにリサは魔術が得意らしく、魔術に関しては何を聞いても教えてくれる。
攻撃魔術の基本は学び終わったし、次は強化魔術を学んでいこうかな
と、前々から思っていたので今から修練場で強化魔術を学んでいきたい。
修練場と言ってもそこまで広くはなく、バスケットコートぐらいの広さだ。
強化魔術の基本事項は以下の通り。
・強化魔術は詠唱を通し、自身や味方に魔力を込めることによって肉体を強化する
・体全体や部位に強化魔術を使うことによって、魔力付与部が活性化
・込めた魔力量によって強化量は変化する
・肉体に合ってない過度な魔力量を込めると魔力付与部が破裂する
以上の通りだが、魔力を込めすぎると破裂すると言うのが怖すぎる...やっぱり回復魔術の方から学んだ方がいいのか?
過度と言うことなのでやり過ぎなければいいのだろうが。
また詠唱を通すとのことだが、普通に体に魔力を込めるだけでも、多少は効果があるらしい。
強化魔術にイメージはいらない、必要なのは魔力と詠唱とのことなので簡単そうだ。
もちろんイメージがいらないと言っても、どのくらいの魔力を使うかは調整する必要があるそうだが。
昨晩勉強していたことを、復習しているうちに修練場に着く。
さっそくやってみるか、使うのはスタンダードな身体能力を上げる魔術。
「我が欲するのは強き力、魔力は我われの肉体を強化する、
少し体が軽くなった感じがする......?
形として出ないものは実感が難しい...
とりあえずシャトルランをしてみるつもりだ、もちろん音楽はない。
俺の体は今一歳と半年、多く走れても20くらいか...
目標は20、いざ勝負。
走ってみると分かったが、足が今までに比べ断然軽い、それに疲れにくい。
「ハァ...はぁはぁ....ふぅ~」
結局40回ほど往復し疲れてきたので走るのをやめた。
強化魔術はすごいな、魔力を体に加えるだけで体力と筋力が上がっている。
俺の魔力でこれなら、熟練の魔術師などは相当、身体能力が高いに違いない...うん、怖いな...
次に試すのは魔術ではなくただ肉体に魔力を込めて魔力付与部を強化する方法だ。
足、腹、股間、腕、手、と順番にやっていく。
足は
腹は腹筋が出てきた、何に使うんだって感じだが、腹を殴られそうになった時に即座にこれを使えば多少の防御ができそうだ。
次に股間...これは素晴らしい...あと何年か見ることはないと思っていた元気な息子の姿を見ることができた。深くは語らんがこの感動を誰かに伝えたい...
腕、単純に上腕がパンプアップした、腕相撲をするときがあったら使うかな。
手、握力が多少上がった感じがする、リンゴがあっても握り潰すことはできないと思う。
って、感じで魔力を込めていった。
残りの試したい部位は目と髪
目は視力や動体視力が上がるらしい、これは使い道がありそうだな。
次に髪、これは単純に髪が伸びるだけらしい、髪を切りすぎたって時に伸ばすぐらいの使い方しか思いつかないな...
それと、何度も髪に魔力を込めるとハゲるとのことだ...やっぱり髪に魔力を込めることはやめておこう...使い道はないな...
この世界の魔力というのは本当に万能だな、使い方が無限にありそうだ。
ということで、最後に目に魔力でも込めて今日は終わろう。
視力の上がり幅が分かりやすいように、壁に魔書を開いたまま立て掛け、その文字をどのくらい離れたとこで認識できるか、魔力を込める量を変えていくことで、一定の魔力でどのくらいの視力が上がるというのかを体験できると思う。
1だけ魔力を込めると視力が1上がるとか言われても分かりにくいしな、実験し体験する、これが成長の第一歩だと俺は思う。
と、考えながら本をセットし、特に何も考えることなく目に魔力を込めた。
「うっ...目がっ...」
視力は上がらん...代わりに視界が色の異なるミスト状の霧?的なもので埋まる
咄嗟に魔力を断つ。
状況を整理しよう、
俺は目に魔力を込めた、魔書によると視力が上がるらしいが、俺の場合は視界が濃い霧に襲われた。
俺が考えても答えは出そうにないな...こういう時はリサに聞いてみるか
洗濯中のリサに後ろから声をかける
「リサさん少しいいですか」
「あぁ、テクト様ですか、何かご用ですか?」
「魔術のことで相談なんですけど、さっき強化魔術を試してて、目に魔力を込めた瞬間見える世界が変わったって言うか...すみません説明が難しいです」
「目に魔力...魔眼のことでしょうか?」
(何だ魔眼って?...)
「魔眼を持って生まれてくることは、あまり多くはありませんが、そこまで珍しいことでもありません。眼球に魔力を込めることによって、魔眼に内蔵されている魔式の能力が発揮され、効果がでるもの、それが、魔眼です。魔眼に内蔵されている魔式は多種多様と聞きますね。ちなみに申し上げますと、サリー様も魔眼は所有してます。真偽は定かですが、魔眼は遺伝するとかも言われてますからね」
俺が返答に困ってる様子を感じたのかリサが説明をしてくれた。
完璧に答えたかのようにドヤっている。
かわいい...それにしても魔眼か。
「魔力を込めると濃い霧が広がる感じで何も見えないんですけど、慣れていくしかない感じですか?」
「魔眼も魔術も同じと存じております、イメージ通りでなんとかなるのでは?私自身は魔眼を持っていないのでなんともいえませんが...」
たしかにイメージでなんとかなるものか?
濃い霧ではなく薄い霧をイメージすればいい感じかな?
「リサさん、ありがとうございました、多分助かったと思います」
「いえ、これが私の仕事なので、また魔術は危険なものですので、十分体には気をつけるように、いいですか?」
「大丈夫ですよ」
俺は自室に戻る
俺が魔眼を持っているなんて...
なんか主人公っぽいな。
少し嬉しい。
また、魔眼を使ってみるか。
イメージは薄い霧...霧だ...
目を閉じ、イメージするとともに魔力を込める。
目を開く...
「おぉ」
視界は色眼鏡を付けたようになる、成功だな。
今更だが俺の魔眼の性能は何なのだろうか?
流石に見え方が変わるとかだったらショボすぎる。
---三日後---
俺の魔眼の性能が書かれている書物は一冊もなく、俺は発見されてない魔眼と言うことを勝手に結論づけた。
これについてはそんなに重要なことでない。
驚くべきは魔眼の性能、色々実験した結果俺が見えているものは魔力そのものだと思う。
調べてもこのことはないので、魔力そのもののことを
その魔素が見えていることは異常だ。
空気中の魔素にはそれぞれ種類があり、俺の握りこぶし一つ分くらいの空気にも何十万という魔素があり一つ一つ個体差がある。
簡単に言うと空気が複雑になった感じだ。
空気には「酸素」「窒素」「二酸化炭素」という気体が含まれる。
魔素という大きな括りの中に何十万という魔素の粒子で広がる?そんな感じだろう
あくまで仮説に過ぎないのだが、恐らく合ってると思う。
魔素の可視化が可能になると、魔力効率が大幅に良くなった。
今までの魔術の発動を例えるなら、多くの粗大ごみを片っ端から詰め込んで自転車を作るようなもの。
それが魔素の可視化で、粗大ごみの中から鉄を選べるようになった。
その鉄から自転車を作るのは簡単だし、効率も良い、そして材料同士が邪魔し合わない。
つまり、魔術に合った魔素を選べるということ、これが魔術で可能になった。
当然、魔術の練度、効率、強さも変わってくるよねって話だ。
もちろんメリットだけではない、問題は魔素の種類が多すぎることだ。
どの魔術にどの魔素が合うなんて書かれている書物はないし、経験して覚えていくしかない。
幸いなことは、魔素がなんとなくイメージに合った色をしていること。
炎系統の魔術に合う魔素は赤色系統の色だし、水系統に合う魔素は青色系統の色が多いのだ。
これは試してみて分かった。
これは魔術はイメージが大事ということで、俺の魔力が無意識にそう見せているだけかもしれないな。
これからも実験と検証の繰り返しで詳しくは見えてきそうかな...
俺的には試すことは結構楽しい、まだまだ飽きそうにない。
とその後も色々しているうちに一日が終わり、疲れた体をベッドに沈める。
完全に魔術オタクとなったテクトであった。
---深夜のリビング---
「リサ〜、テクちゃんの魔術今どんな感じ〜」
「あの年齢であの魔術の実力は天才かもしれませんね、サリー様の影響かもしれませんが、魔眼を持って生まれてくるのは予想外でした...」
「ていうかさぁ、敬語いらないって何回言ったら分かるのさぁ、同じ騎士団の仲間だった仲でしょ」
「昔は昔、今は今です、今は主従関係をしっかりしたほうが良いでしょう」
「敬語使うなら、解雇するわよ〜」
「はい、はい、分かったわよ、でも二人のときだけね」
「でも天才は言い過ぎかなぁ、あたしもテクちゃんぐらいの年から魔術使ってたし。それより今後もテクちゃんのお世話はリサに頼むけど、いい?」
「はい、はい、それも分かってるって、テクト様の成長は見てて楽しいし、あと少ししたら私が直々で教育をしていきたいわ、しかもなにかあるたびに質問してくださり、可愛いわぁ、このために生きてきたって感じ」
「ならいいんだけど...うちの子を男として好きになるとかやめてよね、最近のあんた怖いよ...それにリサを娘にしたくないわぁ〜」
「テクト様は子供よ、好きになるとかないでしょ。ところでさ、サリーが魔術教えたりしないの?」
「うーん...まだかなぁ、あたしは教えるなら徹底的に教えたいし、今教えたらテクちゃんの体壊れちゃうわ。だから基礎はリサに頼みたいわけ」
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