第72話 ヒロイン候補追加
『先輩! 今日はありがとうございました! 楽しかったです!』18:31 既読
『こっちこそ楽しかったよ!』18:45
『ありがとう』18:45
『はい!』18:47 既読
『また行きましょうね!』18:47 既読
『[うん!]スタンプ』18:47
「……ふぅ」
俺はスマホを置いて、寝転んだ。
(今日は疲れたな……)
一日歩いたこともだけど、それ以上に精神的にも。
(女子と手を繋ぐなんて、ハードル高ぇよ……)
一日中繋いでた訳では当然ないが、心労は相当だった。
手汗とか出てないかなって……
「あ……そうだ、獲得したスキル見とこっと」
俺は、サブクエストで手に入れたスキルを見てみる。
『サブクエスト:維持も絶やさん』
『今日兵藤詩織の好感度を99以下にしない 1/1』
『SRスキル【ダンクシュート】【耐久力の解放】を獲得しました!』
「……お?」
ダンクシュート?
【ダンクシュート】
バスケのダンクシュートを使用することが出来る。
おぉ〜……
めっちゃいいスキルじゃん?
てかこれがSR……?
(じゃあSSRの【ティアドロップ】って……?
バスケットボールは細かいこと全然知らないんだけど……
(これも、もしかして【出鼻】級のスキルなのか……?)
俺が持つ日常スキルで唯一だったSSRスキル、【出鼻】。
あらゆる相手の武器攻撃を弾き飛ばす、最強剣道スキルだ。
相手も自分も棒状の武器を持ってないと発動しないから、喧嘩ではやっぱり使いづらいんだけど……
それと同
「ティアドロップティアドロップっと」
……?
「これがSSR?」
気になったからネットで調べてみた。
……でも、普通にレイアップシュートにしか見えないぞ?
『レイアップを使用します』
『ティアドロップを使用します』
若干ティアドロップの方がボールが高く飛んだ。
「……え?」
うーん……合成するか?
いやいや、貴重な日常SSRスキルだろ。
合成なんかするのは勿体ない。
「……まぁ、実践で使ってみたら分かるだろ」
バスケは来年、3年生の一学期。
それまでには、他のスキルも一杯集まるだろう。
『スキルもっと貰えないんですかね?』
『欲張りね。まぁ、心配しなくてももっともっと貰えるようになるわよ。クエストは進めるほど報酬が良くなっていくからね』
神が言った通りだ。
実際、北区の統一が終わってから、クエストの報酬が増えた気がする。
(次に増えるのは……東区を統一した後か?)
俺は未来を想像してニヤリと笑いながら、先日出現したメインクエストを開いた。
『メインクエスト:折れぬ中木』
『東区の幹部と戦う 0/10』
『報酬:URスキル、SSRスキル』
〜〜〜〜〜
『サブクエストをクリアしました!』
「……!?」
そのメッセージが聞こえたのは、部活で綾香に技を教えて貰っている時だった。
「ですから……ん? 神楽先輩?」
「あ、あぁ……」
『サブクエスト:ツンデレな後輩』
『梨綾香の好感度をあげる 1/0』
『梨綾香がヒロイン候補に追加されました!』
『梨綾香の好感度が解放されます!』
『滝川瑞樹 77/100 極難
三田楓 43/100 難
梨綾香 1/100 凡
世津円凛 100/100 易
兵藤詩織 100/100 易』
(名前が、追加された……!!)
好感度表を見れば、真ん中に見たことの無い“凡”の難易度表記と、『梨綾香』の名前が追加されていた。
──しかし。
俺を真に驚かせたのは、その次の言葉だった。
『ヒロイン候補が揃いました!』
『ヒロイン候補の性向を1度だけ表示します!』
(……っ!?)
何だと……?
(ヒロイン候補が揃った?)
じゃあ、候補者は綾香で最後だったってことか?
(それに、性向が見れる……?)
候補が揃ったのは男として感嘆反面残念でもあるが、それよりも性向だ。
(性向が見れたら、距離を縮めやすくなるはず……!)
1度だけしか見れないというのが気がかりだが……
俺は忘れないように、ジッと集中して次の画面を見つめた。
「神楽先輩、どうしたんですか? 急に虚空を見つめて……遂に頭がおかしくなったんですか?」
「……」
綾香の頭上に、メッセージが表示される。
『梨綾香』
『接近型 ツンデレ(5:5)』
綾香がツンデレ……?
……まぁ、そうか。
仮にここから綾香と結ばれるようなことがあったら、こんだけツンツンしてるんだからツンデレ判定にもなるか?
(5:5ってのは……?)
……ツンとデレが5対5ってこと??
「……!」
俺が頭を捻っていると、今ここに居ないからか目の前にホログラムとメッセージが現れる。
『三田楓』
『接近型 友情進展』
『世津円凛』
『接近型 偏愛 奉仕』
『兵藤詩織』
『接近型 純愛』
(な、なんだこれ……!?)
よく分からない言葉が一杯だ。
だけど、それより──
「──!!」
俺は、滝川さんの方を振り返った。
『滝川瑞樹』
『回避型 クーデレ(9:1)〈2:8〉 一途(初)』
──最も分からないのは、滝川さんだった。
(何だこれ……どういうことだ??)
一人だけ“接近型”ではなく“回避型”なのもそうだし、クーデレの()の後に続く〈〉がどういう意味かも分からない。
それに、一途の横の(初)というのも……
「! ……神楽くん?」
「!!」
ジッと滝川さんの頭の上を見つめていると、滝川さんに気づかれて声をかけられた。
「どうかした?」
「え? えっと……何も無いけど……」
「あっ……そう?」
俺の誤魔化しに、滝川さんは少し恥ずかしそうに笑って、自分の練習に戻って行った。
(……)
これが何を指し示しているかは、まだ分からない。
だけど、決して忘れないようにと、俺はそれを目に焼き付けた。
〜〜〜〜〜
「……本気?」
「ああ。本格的に、東区に牙を剥くぞ」
俺の言葉に、楓は目を丸くして間の抜けた声を上げた。
「……いくらなんでも、早くない? 何か……時間がないの?」
「……」
楓の言葉に、俺は首を横に振る。
昔は制限時間とかもあったけど、もう既に制限時間の束縛は消えている。
神が言うには“計算違い”で続けられなくなったとのことらしいが……
もう既に、俺はそんなものがなくともクエストを急ぐ理由が出来ていた。
もっと必要な新スキル、能力値の限界、そして滝川さんを狙う
(どうせ能力値上限のせいでこれ以上能力値を上げても無駄だ。あいつに勝つには、技術を凌駕できるようなスキルがいる……時間がない)
ヒロインクエストがいつ出るのかは知らないが、メインクエストを進めなければ現れないと言うことは聞いている。
「……いや」
……あまり、悠長にしていられる理由はないんだ。
「え? だったらなんで……」
「……正直言って、全1なんて不良やってる意味も分からんような
「そ、そりゃそうだけど……」
「だからどの道、秘策がなければ勝算はない。そして、その秘策はもう準備出来てる」
「……!」
俺の言葉に、楓が興味深そうな目をする。
「へぇ、大丈夫なの?」
「ああ。あとは決行日に向けて準備するのみだ」
俺は、昨日伊達と話した作戦を伝える。
「……!? それって……!」
「大丈夫だ。それに、俺達は拠点を守ればいいわけじゃない。結果東区を倒せばいいんだよ」
「……それを、何でうちに先伝えたわけ?」
少し考えたあと、楓はそう呟いた。
「今言った例の役、楓にやってもらおうと思ってたんだ。今の作戦で重要な役回りだし、先に伝えとこうと思って」
「えっ!? ……でも、うちじゃなくても、ほら、例えば凛とか……」
楓が目を逸らす。
──楓は自信を失っていた。
仁はもちろん、いつの間にか強くなっていた凛
序列戦でも、凛が自分に対して遠慮してなければ勝てたか分からない。
北区の事実上No.2として、焦りを感じるのも当然だった。
「楓がやりたくないなら無理は言わない」
「え……?」
だから、楓は少し不服だったのだろう。
「俺が楓を選んだのは、一番信頼出来るからだ」
「……」
『三田楓 好感度:30⤵︎(12down!)』
──次の言葉が、正念場だと分かった。
──────────────
家庭の事情によりしばらく執筆出来ず更新が遅れてしまいすみません!m(*_ _)m
大変恐縮ですが、暫く更新頻度に変化が生じると思います……!
11月の更新予定やこれからの更新予定も近況ノート、及びXに上げる予定ですので、良ければそちらをご覧下さい!
遅くなってしまいましたが次回!『捨て身特攻』
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