第65話 ツンデレな後輩
「やあっ!」
「ふっ!」
『バックスピンキックを使用します』
「うわっ!」
「……くっ!?」
楓の後ろ蹴りに対し、俺は【バックスピンキック】で足裏を合わせ、蹴り飛ばした。
尻もちをつく楓に合わせて、前に出ようとしてこけたように見せかける。
「い゛でっ!」
「……! 今……っ!」
楓は素早く起き上がり、飛び上がって踵落としを繰り出した。
「……っ!」
「今回は……うちの勝ちだねっ!」
俺はギリギリで首を傾け、それを避ける。
楓は、ふふん、と勝ち誇った顔をして見せた。
(こいつ、まじで当てる気かよ……!)
「ああ……コケちった、やらかした……」
「……まぁでも、それがなかったらうち、負けてたかも? やっぱ仁は強いね〜」
「そ……そうか?」
俺はハラハラしながら、目の前のクエストウィンドウを見つめる。
そして──
『育成クエストをクリアしました!』
(──来たっ!!)
『3.三田楓が能力値が互角以上の相手と戦い勝利する 1/1』
『SSRスキル【力の覚醒】【俊敏の覚醒】【耐久力の覚醒】を獲得しました!』
やっぱりだ……!
相手に勝ちを認識させた時点で、クリアになった……!
『
『175cm』『58kg』
『力 S−
俊敏 B+
知力 E+
耐久力 B−』
『
『162cm』『60kg』
『力 B+
俊敏 S−
知力 B
耐久力 C+』
俺と楓は、最も能力値が近い。
1番高いのはお互いS−だし、俺が補助スキルを使わなきゃ同程度の相手と見なされると思ったんだ。
(そんで、先にこれを珀に使ったら……!)
『
『181cm』『78kg』
『力 A →S(3up!)
俊敏 B− →A−(3up!)
知力 C
耐久力 A →S(3up!)』
これで、俺や楓と能力が並んでる……というか、ちょい強くなった。
『アジテーションを使用します』
『
『175cm』『58kg』
『力 S− →S+(2up!)
俊敏 B+ →A(2up!)
知力 E+
耐久力 B− →C−(3down!)』
これで、大体並んだろ。
「っしゃ……じゃあ珀、行くか!」
「おう。以前は負けたが……今日は勝つつもりだから、覚悟しろよ!」
そうして……
『育成クエスト:決死の狂戦』
『1.神楽仁が能力値が互角以上の相手と戦い勝利する 1/1』
『2.水霧涼人が能力値が互角以上の相手と戦い勝利する 1/1』
『3.三田楓が能力値が互角以上の相手と戦い勝利する 1/1』
『4.世津円凛が能力値が互角以上の相手と戦い勝利する 1/1』
『5.白井珀が能力値が互角以上の相手と戦い勝利する 1/1』
『SSRスキル【力の覚醒】×4【俊敏の覚醒】×4【耐久力の覚醒】×4を獲得しました!』
目論見通り、達成することが出来た。
あぁ、どういう方法で達成したか気になる?
珀は真っ直ぐで騙しやすいし、正面から突っ込んで投げ技をあえて食らって降参した。
『投げ技食らっちまったら流石にきついな……』
『前は掴むことも出来なかったけど……俺も鍛え続けてるからな! ちょっとは近づけたかな』
1寸の疑いもなく信じてたわ。まじで。
まぁ、実際〇〇の覚醒使ったから強く放ってるし、全然素の俺より総合ステータス高いけどな?
凛は普通に、2回戦った。
1回目は普通にやってまぁ当然負けて、2回目は【決戦の時間】使用で隙をついて倒した。
『うおっ!?』
『仁先輩! 私の勝ちですね〜! じゃあお願い1つ聞いてもらいます!』
『いやちょっと待ってそんなこと一言も言ってねぇだ』
『仁先〜輩……次はどこ出かけましょっか?』
『ああ……まぁ、また遊びに行こうな。にしても、随分強くなったなぁ、凛』
『えへへ、仁先輩の役に立ちたくって!』
『おぉう……よし、次は本気で行くからな!』
『! はい! まだまだ
んで、なんとか倒したんだ。
才能開花によって、凛のステータスイカれてるからなまじで。
クソ強かった。
【リカバリー】無かったら今頃全身ボロボロだぞ。
……ああ。涼人は……まぁまぁ強い元北部の幹部とやり合って何とか勝っていた。
No.2とはいえ、ほぼお飾りのようなものだ。涼人は別にクエストがあるわけでも不良なわけでもないのに、俺に付き合ってくれてるだけ。
こうやって戦ってもらうことさえ、罪悪感がある。
(それでも、涼人は後輩のために戦うって言ってるけど……)
涼人は幹部では唯一、一年の田村達等後輩と仲がいい。
……この前、配下たちとカラオケ行ったって聞いたぞ。
(……喧嘩する理由、涼人にもあるんだな)
『ふう……こんなもんか?』
『うっ……いてて……白井、やっぱりつえぇなぁ……』
あと珀にも挑んでいたけど、一瞬で負けてた。
『まぁ……あいつ、まじで強いからな。ほら、立てるか?』
『……ああ』
何だか、妙な胸騒ぎがするというか、不安だけど……
まぁ、今は考えてる暇はないな。
「さて……これで幹部の強化は完了、と」
凛の強化は……
(……今は、置いとこう)
凛は既にほぼカンストに近い最強状態だ。
これ以上強くするのは、ピンチに陥ってからでいい。
『
『才能開花!』
『167cm』『63kg』
『力 C+ →B+(3up!)
俊敏 D →C(3up!)
知力 D
耐久力 B− →A−(3up!)』
『専用スキル:【クラヴマガ】』
『
『162cm』『60kg』
『力 B+ →A+(3up!)
俊敏 S− →SS−(3up!)
知力 B
耐久力 C+ →B+(3up!)』
『
『181cm』『78kg』
『力 S
俊敏 A−
知力 C
耐久力 S』
『
『175cm』『58kg』
『力 S− →SS−(3up!)
俊敏 B+ →A+(3up!)
知力 E+
耐久力 B− →A−(3up!)』
春蘭高校(北区)
No.1
No.2
No.3
No.4
No.5
No.6
…………
〜〜〜〜〜
「はっ!!」
「んっ!」
『出鼻を使用します』
『返し胴を使用します』
「──胴!!」
「うわっ!?」
「そこまで! 神楽の勝ち!」
育成クエストをクリアしてから、数日が過ぎた。
あれからは特に何も無く、平穏な日々を過ごしている。
初めて入った部活の剣道部でも、未だ負け無しだ。
「神楽くん……お疲れ」
「!! あ、ありがと!」
……まぁ、滝川さんとは1回もやったことないけど。
俺の強さは全部スキル頼りだから、当然手加減なんか出来ないし、滝川さんに痛い思いさせてしまうかもしれないから怖くて打ち合いは頼めない。
一応、他の部員や綾香なんかには、防具あるし大丈夫だってと言われてるけど……最近力の能力値も上がってきてるしな。
(あとそれと、今は滝川さんに教えてもらえるだけで十分だし)
構えもまだ真似してるところだけどまだまだなくらいだし……面や小手とか、てんでダメだからな。
「……でも、あんなに上手いのに不思議だね。面が出来ないのは」
「や、ほら、俺弱かったからさ? 出鼻で隙作らなきゃ勝てなかったんだけど、出鼻から面だと力が入り切らなかった時弾かれるから胴だけ練習したんだ」
……まぁ、それっぽいこと並べて言い訳しといた。
「──先輩!」
「んっ? ……あっ」
そんなことを考えながら練習していると、件の綾香が近寄ってくる。
『
『151cm』『47kg』
『力 C
俊敏 C+
知力 B−
耐久力 D』
綾香は、剣道部の副部長で、滝川さんのことを“お姉様”と呼んで慕っている一年生だ。
「先輩〜……なんか、お姉様と距離近くないですか!?」
「えっ!? いや、そんなに……」
「離れて下さい! そうだ、勝負しましょう! ほら、こっち!」
「うぉっ!? お、お、ちょ……!」
綾香は近づいてくると、強引に俺の腕を掴んで、俺を滝川さんから遠ざける。
「先輩……付きまとうのもいい加減にしてください!」
「付きまとってる訳じゃねぇだろ!?」
綾香に連れられて、俺は渋々試合場に上がった。
『サブクエストが開始しました!』
その音に、俺はクエストウィンドウを見て……驚愕に目を見開いた。
(はぁっ!?)
「今日こそ、打ち倒して見せますから!」
いや……それは、嘘だろ?
んなこと有り得んのか!?
そこに書かれていたのは──
『サブクエスト:ツンデレな後輩』
『梨綾香の好感度をあげる −20/0』
『報酬:梨綾香がヒロイン候補に追加』
──────────
戦力の強化を完了し、滝川さんと部活を楽しむ仁。
そこに現れたクエストには、前代未聞の報酬が表記されていて……!?
次回!『新たなヒロイン候補』
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