第22話 開眼・三田楓と【代償】
『メインクエストをクリアしました!』
『メインクエスト:西部の没落』
『達成条件1:西部の領地を奪う 3/3』
『達成条件2:三田楓を倒す 1/1』
『達成条件3:???』
『達成条件4:???』
『SSRスキル【美化】を獲得しました!』
【美化】
顔の造形を美化する。
「はぁ、はぁ……」
や、やった……
やったぞ……!
ついに……!
「手に入れたぞー!!」
イケメンになれるスキルを手に入れた!!
『メインクエストが開始しました!』
「やったぜ! ついに!!」
やっぱり、あったんだ!
イケメンになれるスキル……!
「ああ……! クエスト最こ──」
俺がそう、目を閉じた瞬間だった。
「──グハッ!?」
突如顔面に、強烈な衝撃を受け、俺は尻もちをついた。
『アドレナリンの持続時間が155秒残っています』
「な、なんだ……!?」
俺は、先程まで俺がいた場所を見て……驚きのあまり固まった。
「え……!?」
そこにいたのは──
『達成条件3:──
「み、三田……!?」
「──神楽!!」
今倒した、三田だったからだ。
『達成条件3:開眼した三田楓を倒す 0/1』
『三田楓の決意が満ちました!』
『三田楓が開眼します!』
開眼……!?
肋骨を確実に砕いたはずなのに立ち上がった三田は、凄まじい目つきでこちらを睨み、向かってくる。
「ぐぅ!?」
「“ここ”は渡さない……!」
「ガハッ!」
(まずい、速すぎる……!)
「──うちの居場所だ!!」
息がしずらい。
【アドレナリン】が続いているから痛みは感じないが、息苦しさは消えない。
(ダメだ──!)
『メインクエストに失敗又は辞退すると全ての能力値とスキルは永久に失われます』
【観察眼】……!
『
『162cm』『60kg』
『力 B+(1up!)
俊敏 S−(1up!)
知力 B
耐久力 C+(1up!)』
『
『175cm』『58kg』
『力 C−
俊敏 C−
知力 D−
耐久力 D 』
おい……
なんだ、これは!?
『決意に満ちた相手が開眼し、立ち上がることがあります!』
『開眼した相手は能力値が上昇することがあります!』
能力値S。
初めて見るランクだ。
「誰にも渡さない!」
「ゴハッ……!?」
(これが……能力値S……!)
全く避けられない……!
『メインクエストに失敗又は辞退すると全ての能力値とスキルは永久に失われます』
クソ……うるせぇな……!!
『アルマーダを使用します』
「っ! グハッ!?」
(当たらない……!)
三田は俺の蹴りを容易く避けると、カウンターキックを繰り出した。
「私の西部から……出ていけ!」
三田はそう言って、後ろ蹴りを放つ──
(……はぁ)
俺はそれを見て、ため息を吐いた。
「クソ……これだけは使いたくなかったのに……」
三田の後ろ蹴りが、俺を穿った──
「──!?」
──かに思えた。
スキル合成クエストの時、合成して出来たSSRスキル。
【代償】
知力を含む全能力値を永続的に1段階下げ、一時的に全能力値を5段階上げる。また、スキルのクールタイムを解消する(使い切り)
(持続時間:10分)
『代償を使用します』
『
『175cm』『58kg』
『力 C− →D+
俊敏 C− →D+
知力 D− →E+
耐久力 D →D-』
ああ……クソ。
スキルが全能力値というのは、知力以外のことを指すのだが……代償は知力まで永続的に下がると書いているから、使いたくなかったんだ。
『リカバリーを使用します』
「──畜生が!!」
「ッ!?」
突然速さを増した俺の掌が、三田を突き飛ばす。
『
『175cm』『58kg』
『力 D+ →B(5up!)
俊敏 D+ →B(5up!)
知力 E+
耐久力 D− →C+(5up!)』
(こいつ……どっからまたそんな力が……!)
「いい加減に……失せろ!!」
三田は脇腹目掛けて、横蹴りを放った。
「──見えた」
「なっ!?」
しかし、俺はそれを、片手で足首を掴み受け止める。
「この……変態!」
三田は反対の足で俺の顔面を蹴り飛ばす。
「何が見えたって!? うちは年中、ズボンだって……の……」
三田の言葉は、最後まで続かなかった。
『アドレナリンの持続時間が30秒残っています』
俺が、蹴りを顔面で受けつつも微動だにしなかったからだ。
『決戦の時間を使用します』
『
『175cm』『58kg』
『力 D+ →B →A+(9up!)
俊敏 D+ →B →A+(9up!)
知力 E+
耐久力 D− →C+(5up!)』
『5』
「きゃ──」
『サマーソルトを使用します』
『サマーソルトがキャンセルされました!』
『4』
俺は三田を地に引きずり倒すと、宙に飛び上がった。
(こいつ、何この力!? さっきまでとは、全然ちが──)
『3』
「ま、待って!!」
『2』
「終わりだァァァァァ!!」
『踵落としを使用します』
『1』
開眼して能力値が上がったとしても、三田の能力値で低いのは耐久力だ。
俺の踵落としが、交差させた腕ごと叩き潰して、三田の腹を穿った。
「カッ……ハッ……!」
『0』
『決戦の時間の持続時間が終了しました』
『達成条件3:開眼した三田楓を倒す 1/1』
『メインクエストをクリアしました!』
「やっ……た……」
……終わった。
『アドレナリンの持続時間が終了しました』
「ヴ……」
やはり、この一斉に襲ってくる痛みには耐えられない。
「ハ……」
それでも、最後に俺が残したのは、笑いだった。
(俺が……やったんだ)
そして俺は、気を失った。
〜〜〜〜〜
「……」
「ヘッドぉぉぉぉ!!」
もはや恒例の景色に、俺は起き上がる。
「うっ……く……流石に今回は、疲れたな……」
(リカバリーを使ってしまったから、この疲労が癒せない)
【代償】でクールタイムを解消したときに使ったから、ダメージはマシな方だが……
「遂に!! 我々は!! 三田を倒し、西部を統一した!!」
「「「うおおおおおおおお!!」」」
「我らがヘッドに、敬礼!!」
「「「お疲れ様でぇぇぇぇぇぇぇす!!」」」
「うわうるさっ!」
俺は田村達から視線を逸らし……あちこち怪我してボロボロになった涼人と、目が合った。
「仁……やったな」
「涼人……」
……どうやら、接戦で赤瀬に勝ったようだ。
才能開花と専用スキルの力は、それだけ大きかったんだな。
「流石だぜ、親友。俺も追いつかねぇとな」
「……それはこっちのセリフだよ、涼人。お前ざ赤瀬を止めてくれたから、出来たんだ」
「仁……」
「俺と戦ってくれて、ありがとな──相棒」
「──! ……おう!!」
俺と涼人、強く握手を交わした。
「しかし、不思議だよな。ちょっと前までは、仁が
……確かに。
俺も
「全く……本当に成せるとは思っていなかったぞ、ボス」
その言葉に振り返ると、そこにはうちの参謀がいた。
「伊達……」
「いつの間にそんなに強くなったんだ? それとも、元々か?」
「伊達も、ありがとな。部下を貸してくれて」
俺の言葉に、伊達はメガネを押し上げ、目を逸らした。
「……今回だけだぞ。それに、ボスの仲間になると言ってしまったからな」
(……照れてる)
いやイケメンの照れ顔なんて誰得なんだよ。
……なんか得そうだな。
『達成条件3:開眼した三田楓を倒す 1/1』
『SSRスキル【アジテーション】を獲得しました!』
お、そうだそうだ、メインクエスト。
今回のスキルは……!?
(
【アジテーション】
10分間耐久力を3段階下げ、力と俊敏を2段階上げる。
(一日に一度使用可能)
お……また一日に一度使えるバフスキルか。
(はぁ……下がったステータス、上げないとな)
俺はため息を吐いて、クエストウィンドウを開き……
(──え?)
思わず、固まった。
──────────
開眼した三田を倒した仁!
現れた最後のクエストは──!?
次回『西部掌握』
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