第2話
彼は店長に「ひとこと挨拶をどうぞ。」と言われた。「今日から入る秋山小太郎(こたろう)です。よろしくお願いします。」そういうと頭を下げた。今日ホールにきているのは10人で、大体はこのいつものメンバーだ。忙しいときはもう少し増えることもあるけど。
みんな口々に「よろしくお願いします。」と答えた。
店長が秋山くんに「アルバイトは初めて?」ときいた。「はい。」「本当は僕がいろいろ教えてあげたいとこなんだけど、今日は忙しいからな・・・。」店長がみんなを見渡す。「佐々木さん、君を教育係に任命する。よろしくね。いま資料持ってくるから。」
教育係・・・。
正直面倒だったが「はい」と答えた。店長は秋山くんに「この人は佐々木風花さん。この中で一番、年が近いんじゃないかな。話も合うとおもうよ。」店長はそういうと交互に私たちを見た。秋山くんは「はい!」と元気よく答えた。私は秋山くんのことを真面目で良い子そうだな、と思った。しかし、年が近いといっても、6歳は離れている。本当に話が合うのだろうか。
「かわいい~」とコソコソ話しているのは同じパートの女性たちだ。彼女たちは(多分)40代後半で、よく3人で集まって世間話をしている。
正直私は秋山くんに対してそこまで興味はなかった。とにかく彼が問題なく普通にやってくれれば良いな~としか思っていなかった。
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