第105話:完遂アカネ、目覚めた雪人の中の……




 『セイなる夜クリスマス


 には、まだ少し。


 陽もまだ高い内ではあるが、アカネとユキちゃんはリビングのソファに再集合。


 練習レッスン、あるのみ。


 A・B・Cで言えば、まだBの段階ではあるが。


 Bの中にも、様々な段階が。


 その中で。


 アカネたちが、Bの六、七、八、と段階付けした内容を集中的に、練習レッスン


 六からの最終段階で、七になるか、八になるか。


 七ができるよう、練習中。


 これは、アカネに技術テクニックが要求されるが。


 もちろん、雪人の協力も必須で、タイミングを上手く合わせる必要が、ある。


「よぉし、今度こそわっ」


 と、意気込んでの午後第一弾。


 しかし、タイミングが合わず、失敗に終わる。


「むぅ……意外と難しい……」


「そ、そうだね……」


 第一弾の後、反省会。


 タイミングの合わせ方について、意見交換して。


 最終的には。


「合図の後、いち、にの、さん、、ぐらいのタイミングがいいな」


「ん……そういう感じになるように心がけてみる……」


 と、認識あわせを済ませて。



 しかし、そればかり、と言う訳にも行かず。



 ひと通りの家事に宿題、買い出しも含めて済ませて、夕刻。


 午後の第二弾。


 本日で言うと、第三弾。



「でわ……いち、にの、さん、、ね?」


「うん、わかった」


 ソファに座るユキの前にひざまずくアカネ。


「あれ? 雪人くん、穿き替えた?」

「う、うん……お風呂掃除の時に……」

「しかも、なんかすっごい可愛い……こんなの持ってたっけ?」

「あぁ……いやぁ……実は……通販で……」

「ぶっ……いつの間に……」


 けらけら、と、雰囲気は、穏やかに。


「その可愛いとこからコンニチワしてるけど、ね」

「うぅ……見ないで……」

「まぁ、暗くてよくは見えないけど」


 しかし、ヤっている事は、穏やかではなく。


 三度目の、正直?


 二度ある事は、三度ある?



 昨夜を含めると、すでに四度目、とも言えなくはないが。


 本日、三度目、第三弾は……


「アカネっ……いちっ、にぃっ、さんっ……」


 ユキちゃんの合図。手も使って、アカネの頭を、ぽん、ぽん、ぽん、と。


「んっ!」


 ぽんっ!


「はいっ!」


「んんっ!」


 アカネが、ユキちゃんの雪人の全てを。


 見事に受け止めきって、顔を上げて。


「んふっ」


 にっこりと。


「ぉお……アカネ」


 そして、さらに、見事に、雪人の全てを体内に取り込み切る、アカネ。


「んは……やったぁ、できたぁ」


「お、おぉ……」


「ちゃんとできたよ、雪人くんっ」


 目的を完遂したアカネが、ユキちゃんに飛びついて、抱き着いて。


 ユキちゃんも、アカネを抱きとめて。


「アカネ……アカネ……」


 自分の一部が、アカネの中に取り込まれ、アカネの一部となった、その状況に。


「アカネっ……アカネっ……アカネぇっ!」


 ユキちゃんの中に眠っていた、雪人が。


 雪人の中に眠っていた、もうひとりの雪人が。




 目覚める?




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