第104話:練習練習、練習、あるノみ



 『セイなる夜クリスマス


 いや、夜ではなく。ただの二十五日の日中。


 平日につき、母達は仕事へ出かけた後。


 すでに冬休みに突入している子供達は。


 朝っぱらから、と言うべきかもしれないが。


 昨夜の続き。


 最後をうまく処理できなかった、と、アカネが、リベンジを希望。


 いや、母の美里にそそのかされて?


 再度、ふたりで、練習を、と。


 朝にいち度、午後に二度の予定を提出。


 ちなみに、夜の部は母たちが帰宅次第、その場のノリで別途調整の予定。


 そんなこんなの朝っぱら。


 リビングのソファに座る、


 そのユキちゃんの前に、、アカネ。


「ねぇ、本当にこの格好でスるの?」


「うん、これだと、スカートで隠れて雪人くんから見えないでしょ?」


「みえたらダメなの?」


「だって……恥ずかしいもン……」


 アカネにしては、と、思わなくもないが。


 さすがに、内容が内容だけに、さすがのアカネも、どうやら。


 昨夜のスタイルであれば、互いが互いに見えなかったが。


「そ、それじゃぁ、はじめる、よ?」


「う、うん……」


「お邪魔しまぁ……ぁす……うぁ……もぅ、先っぽ、はみ出してる……」


「実況しなくていいからねっ!?」


「はぁい……ん、でわ、いきますよぉ……」



 昨夜の最後フィニッシュは、結果的にBの八となり、アカネが真っ白に染まる事になったが。


 今日はBの七で、ようにする、練習。


 いくばくかの時間、Bの六をがんばるアカネ。


 しかし、なかなかに、最後フィニッシュを迎えない、ユキちゃんの雪人。


「んむ……しぶとい?」

「ん……もぅ、すぐ……」

「ん、ょ、っし……じゃぁあ……ちゃんと合図してよ?」

「う、うん……」


 息継ぎをしながら、さらにがんばる、アカネ。


 アカネに翻弄される、ユキちゃんの、雪人。


 やがて。。


「あ、アカネっ、もぅっ!」


 ユキちゃんから飛び出した合図と共に、雪人から飛び出したものを。


「んっ!!」


 ユキちゃんの合図を受けたアカネが、雪人を受け止めるが。


 受け止め切れずに、すこし、零してしまう。


「んぷはぁっ、げほっ、げほっ」


 溢れた雪人に咳き込むアカネ。


「だ、大丈夫?」


 おろおろする、ユキちゃん。


「だ、大丈夫、げほげほっ、平気、ごほっ……うぅ……イメージトレーニングだと、上手くできてるんだけどなぁ……」


 こんなこともあろうかと、用意していたものを、ユキちゃんが。


「はい」


 アカネに手渡す。


「ありがと……んぇ……」


 まだまだ。


 始めてで、慣れない事もあり、練習あるのみ?


「んぁ……ふぅ……午後からまた、よろしく、ね?」


 零れた雪人を拭い終え、ひと息ついたアカネは、まだまだヤる気満々で。


「お……お手柔らかに……」


 ユキちゃんの雪人も満更ではない模様で、まだまだ元気に。


 こちらも、まだ慣れない部分はあれども、以前の事を考えれば。


 随分と成長? 進化? したものだと感慨深くもあるが。


 いっそ、完全体のオオカミさんに変化してくれてもいいのに、と、思うアカネ。



 午前の部を終えて、ひと休み。



 ユキちゃんの手作り昼食と、午後のお茶も終えて。



 さて、二十五日クリスマス、午後の部へ……。



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