第100話:いざ家族でお風呂
美里とアカネが脱ぎ終えて浴室に入ると、今度は雪枝とユキちゃんが脱衣所に入って待機。
「洗い終わったらぁ、教えて、ねぇ?」
浴室の美里とアカネに声をかける雪枝。
「はぁい、りょぉかぁい」
ほわん、と、浴室のエコーのかかったアカネの声が戻ると、雪枝も服を脱ぎ始める。
「ちょ、母さん、もう脱いじゃうの?」
ユキちゃんは戸惑う。
「そぅよぉ、すぐに入れるよぉにぃ、雪人も、脱いじゃいなさぁい」
「うぐぅ……」
母の脱衣から目を背けつつ。
後ろを向いて、ユキちゃんも、しぶしぶ感満載でノロノロとではあるが。
ユキちゃんの衣を一枚づつ。
ウィッグも外して。
可愛らしい下着も外して。
本来の、雪人に変わる。
腰にタオルを巻いて、待機。
後ろから母の視線を感じるが。
見るな、とも言えず。
母もタオルで隠しているとは言え。
小さなタオルでは隠し切れない部分も、多々。
目のやり場に困るので、後ろを向いたまま。
そしてその母が後ろから。
「緊張ぉ、してるぅ?」
優しく語りかけて、来る。
「そりゃ、まあ……」
様々な思いが去来する、雪人。
そこへ。
「おっけー、終わったよぉ」
元気なアカネの声が浴室から。
アカネと美里の実の
いざ、雪枝と雪人、実の
いざ、と言うか、おずおず、と言うか。
お邪魔しまぁす、と、ばかりに。
「ほらぁ、雪人ぉ、もっと男らしく、堂々とぉ」
ぱんぱん、と、文字通りに、母にお尻を叩かれて。
「はぅうう」
タオルで隠して、手で押さえて目立たぬように。
「いらっしゃぁい」
眼前の浴槽で『にやにや』と笑みを浮かべるアカネと美里がお出迎え。
「さぁ、そこに座ってぇ、洗ってあげるわぁ」
母に促され、バスチェアに腰掛ける、雪人。
シャワーをかけられ、ごしごし、と、母のタオル。
湯舟からその姿を見るアカネが。
「ねぇ、雪人くぅん」
「な、なに?」
母に背を預け、身動きできない雪人が、声だけで答えると。
「タオルで隠してるつもりだろうけど、形状が隠せてないし、もう、タオルも取っちゃいなよ?」
「!?!?」
いきなり、ぶち込まれて、あわてて手で隠すが。
「はぃはぃ、奥様のご要望ですよぉ、ひょぃっと」
無常、母にタオルを奪われ、白日の下にさらされる、雪人。
「ぎゃあ」
それでも手でなんとか隠そうとはするものの。
「隠せてない、隠せてない」
「はみ出してる、はみ出してる」
と、アカネと美里にはやし立てられ。
「ほらほら、もっと、どぅどぅと、見せつけてあげればぁ」
と、母にもはやし立てられ。
「どーせ、この後……」
と、アカネのさらなる解説・説得が続くと。
えぇぃ、もぅっ、そんなに言うならっ! とばかり。
堂々と、手も放し、
「おぉっ!」
「おおおっ!!」
目の当たりにしたアカネと美里の
「あらあらまぁまぁ……ずいぶん立派になってぇ……母さん、ちょっと感動だわぁ……」
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