第99話:二次会の準備



 『セイなる夜クリスマス前夜イヴ』の一次会。食事会。その終わり。


 ぶち込まれた、微笑みの雪枝爆弾。


「せっかくだからぁ、みんなで一緒にお風呂、入りましょぉっ!」


 一瞬、ぽかん、とする雪枝以外の家族一同。


 何、言い出すんだ、と、皆、思う。


 が。


「いや、でも、後の事考えたら、アリ?」


 もうひとりの母、美里は同意。


「あぁ……確かに……アリ、ね?」


 娘のアカネも、ほぼ、同意。


「いやいや、いやいや、いやいや」


 美里とアカネの理解とは異なる、ユキの見解。


「それとこれとは」

「同じでしょ?」


 妻(仮)にさらっと言われると。


「いや、まあ、そう言われたら、確かに、その通りではある……の?」

「うん、だって、そのあとすぐ、もっとすごいコト、するんだよ?」

「そ、それは、そうなんだけど……」


「お風呂からあがったら、そのままできるし」

「いやいや、いやいや……いや? ……そうか……」

「ね? ね? ね? だからぁ……」


 また土下座しかねないアカネの潤んだ瞳に、ユキも、しぶしぶ納得。


「さぁさぁ、後片付けしたらぁ、お風呂、よぉ」


 ここは、家長。雪枝が仕切る。


「はぁい」

「了解~」

「……あ」


 ユキが何かに気付く。


「ん? どうしたの? ユキちゃん?」


「あ、いや……お風呂あがりに、そのままんだったら、ココ、準備しておいた方がいいのかなぁ……なんて?」


 それを聞いた他の女子三名。


「ユキちゃん……実は、一番期待してたりする?」

「うんうん。一番ノリノリかも?」

「さすがぁ、我が子ぉっ!」

 

「いやいや、いやいや……論理的に、効果的効率的に、だね……」


「よぉっし、じゃあ、お風呂の前に、二次会の会場設営だぁっ!」

「ぉーっ!」

「おぉっ、だわぁ」


 バシバシ。


 背中を叩きまくられる、ユキちゃん。


 一次会の後片付けに続いて。


 テーブルを脇へ寄せて、ソファをふたつ、平行に並べる。


「あ、完全に平行にしないで、ずらした方がいいと思うよ」


 美里の提案。


 ソファを向かい合わせに並べて、母カップルと子カップルに分かれて、との配置だが。


「まっすぐだと、真横を向いて確認することになるけど、ずらしておけば、こっちが見やすくなると思うわ」


 と、状況を想定してソファにみる美里。


「じゃあ、この位置で……わたしはこの向きかな?」


 アカネが向い側のソファに


「なるほど、この位置ならお母さん達がよく見えるね」


「でしょ?」


 と、まあ。


 会場準備も終えると。


「お風呂っ、お風呂っ、雪人くんとおっ風呂っ」


 ある種、これもアカネの念願叶う時。


「お母さん達も一緒だけどね?」


「お母さんと一緒に入るのも久しぶりだねぇ」


「でも、四人同時は、狭すぎない?」


 冷静に、ユキちゃんの突っ込み。


「最初に二人入ってぇ、身体を洗い終えたら湯舟に入ってぇ、次の二人がぁ、って感じで、入れ替わりにすればぁ、いけるわよぉ」


 とは、雪枝の提案。


「はいはい! じゃあ、最初はわたしと雪人くん!」


 アカネが挙手して宣言するが。


「だめよぉ。雪人はお母さんと一緒、よぉ?」

「だね。お楽しみは後にとっとかないと」

「えー……」


 母達にダメ出しされる。


「はい、じゃあ、先に行きましょうか、アカネ」

「ぶぅ……」


 ぶぅたれながらも、美里に手をひかれ脱衣所へ向かうアカネ。


 雪枝とユキちゃんは脱衣所前で待機。



 どきどき?





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