第98話:『セイなる夜』一次会は無難に
厳密には、『
十二月二十四日。
本来は、と、野暮な話は持ち出さなくてもいいだろう。
現代においては、家族団らんの、お祭り。
今日は。
例年にない、家族団らんの、大祭りを予定。
休日でもあり。
母達も子供達も総出で、みんなで、準備、準備。
飾り付けをしたり。
料理を作ったり。
ケーキを買い出しに行ったり。
夕刻に近付けば。
少しお洒落な衣装にも着替え。
ケーキを中心に、テーブルに並んだ少し豪華な食事の数々を前に。
四人が揃って、並んで。
ぱちり、と、一枚。
記念写真。
「ぐぬぅっ! ユキちゃんが一番美人なのがくやしいぃぃっ!」
「まぁ、まぁ、アカネ、どぅどぅ」
雪人も、ユキちゃんで、と、アカネと母達の懇願で。
ドレスとまではいかずとも。
『
真冬ではあるも、暖房の効いた室内。
春物でも、充分。
「んふっ」
ユキも、まんざらでは、なく。
「さぁさぁ、今日はぁ、とぉっても、大事な日、だからぁ。ねぇ、アカネちゃん?」
ぱんぱん、と、雪枝がアカネに促す。
「アカネ、ほらほら」
美里も、娘のお尻を叩いて。
「んーっ……それでわぁ!」
グラスを片手に。
「今日はっ! とことんっ! ヤるぞぉっ! カンパーイっ!」
「かんぱーいっ!」
「カンパイっ!」
「か、乾杯……」
厳かに、でも、和やかに、
テーブルの脇に置かれた三脚の上のビデオカメラが、その宴を記録する。
今日と言う、記念すべき夜の宴の始まりを。
おいしいね。
これ、誰が作ったんだっけ?
ユキちゃんじゃなかったっけ?
うん、それ、ボクが作った。
こっちのサラダはわたしだよー。
野菜ちぎっただけじゃない?
そうとも言うー。
あはははは。
七面鳥の丸焼きは無いのねー。
あれは面倒だし、高いし、余る……
あはははは。だよねーっ。
この後の『二次会』を控えて、テンションも高く。
ユキとアカネの飲み物はもちろんノンアルコール。
雪枝と美里の母たちも、この後が控えているために、アルコールは控えめのはずなのだけれど。
そろそろ、食事も終えて、ケーキも終えて、皆、お腹いっぱいで、良い時間となる頃。
テンション高めの雪枝が、突然。
「そぉだぁ、せっかくだからぁ、みんなで一緒にお風呂、入りましょぉっ!」
「え?」
「え?」
「えぇっ!?」
<あとがき〜次回予告>
次回は、リアル『セイなる夜』に最終回まで一挙公開(予定)
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