第八章:セイなる夜に……
第97話:クリスマスは家族みんなで
期末試験も終わると、もうすぐ『
試験中は、なかなか時間も取れないが。
それでも休日には時間を惜しんで。
急ピッチで、
その訓練で。
もともと、想定していた、母達の見学・参戦。
それは、これまでは一切、果たされず。
時折、母達が希望を出すも、雪人が猛烈に、拒絶。
やむなしに、アカネを通じて、その
そんな雪人が。
訓練を終えて、服を着替えて、一息ついたところで。
「『
と、切り出す。
「ん? なに? なに?」
延期? 中止?
一瞬、アカネに不安がよぎる。
この期に及んで、日和ったか? 臆したか? と。
「えっと……あのね……」
言い淀む、雪人。
「なによ、言いたいことあるなら、はっきり言いなさいよ」
焦れる、アカネ。
「『
「は?」
目が点になる、アカネ。
いきなり何を言い出すか?
アカネ的には『セイなる夜』こそ、二人きりで、甘い夜を、と。
「なんで?」
「……正直、ぶっつけ本番で九と六は、上手くできる自信が無くて……」
「お母さん達の手ほどきが欲しい、と?」
「うん。それに……クリスマスはいつも家族一緒だったし」
言われてみれば。
今年は、雪人くんオオカミ化計画のために色々と変化。
すっかり忘れていたけれど、例年ならば、家族でプチ・パーティ。
二人の母と、二人の子供。
四人が揃って。
わずかに飾り付けもして、少し豪華な食事に、ケーキにシャンパン。
ごく、ごく、一般的な。普通の。
家庭のパーティ。
今年は?
「…………」
状況を、想像してみる、アカネ。
場所は?
お母さん達も一緒なら、リビング?
ソファは二つあるから、平行にならべて……。
それぞれ、お母さんペアと、自分達。
九と六のスタイルで。
ちらちら、と、横目で、お母さん達の姿を確認しつつ、同じように。
もちろん、お母さん達にも自分達の姿は、見られる。
見られてる……。
「…………めちゃくちゃ恥ずかしい、よね……」
雪人もそれくらいは、理解している筈、なのに?
「うん…………それでも……上手くいかなくて、失敗してイヤな思いをするくらいなら……って……」
アカネは、思い至る。
あぁ、そうか、と。
「それだけ、大事なことだって、思ってくれてる……って、事なのね?」
「あー……まぁ……」
その事に気付かれる方が、恥ずかしかった、雪人。
アカネも、
雪人の想いを。
「おっけーおっけーっ! よぉっし! お母さん達にもレッツ相談っ!」
そして、二人の相談を受けた母達も。
最初はアカネと同じように驚いたが。
恥ずかしいとは思ったが。
雪人の想い。
アカネの想い。
家族の想い。
一丸となって。
家族そろって。
だから、母達も。
「ステキなクリスマスになりそうねっ、雪枝さんっ!」
「ええ美里っ。記念にビデオも録りましょぉぉぉっ!」
雪枝の発言に、一瞬、ぽかんとするその他三名。
だが、しかし。
「それはダメっ!」
「それはダメっ!」
「それはやめてぇっ!」
さすがに、猛反発。
ビデオ撮影は、前半の通常パーティのみ、となりましたとさ?
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