第88話:C系統の一部はB系統に含まれる
「それで、どうかしら?」
「これで、同意を確認できるから、いいよね?」
「うんうん」
女子チーム三名に詰め寄られる、雪人。
相変わらず、たじたじになってしまいそうにもなるが。
「ちょっと考えさせて……」
モニタの中の同意書を上下にスクロールしたり、文字を拡大したりして、内容を再度よく読みながら考える。
事前にスる内容をアカネと確認しあって、母達に申告。
『これから、コレとコレとコレをヤります』
それって、めちゃくちゃ恥ずかしくないか?
Bの上の方はともかく、下の方とか、さらに『これからCのXXします』とか。
やめて?
と、思ってしまう。
「これ、さ。細かい内容まで必要かな?」
そこは、流れでどうにでも、と、雪人が異を唱えるが。
「いやいや、そこが大事なのよ」
美里はそれを否定。
「なんで?」
雪人にしてみれば、素朴な疑問。
「お互いに嫌な事はされたくないでしょ? そこをはっきりしておかないと、こんなはずじゃなかった、ってなってケンカの元になるわよ?」
美里の解説。
なるほど、と、思えなくもない?
「慣れてくればお互いに何をどうしたいか、分かり合えるようにもなるし、ね」
そんなもんなのか。
いや、それも、なんとなく解る気もする。
「それに……」
美里が解説を続ける。
「雪人ちゃんなら、こうやって申告すれば『絶対やらなきゃ』って逃げられなくなるでしょ?」
ある意味、さすが、母。
男心の奥底までは知らねども、息子の性格そのものはある程度把握できている。
真面目な雪人なら。
一度決めた事は、必ず守る、と。
「どっちかって言うと、そっちが狙いかぁ」
賢い雪人もまた、母達の思惑を理解する。
雪人自身も『変わらなければ』との思いの上に、それは。
渡りに、船。
「それに、こうやって記録していけば統計も取れて得意不得意とか分析できるし、そうすれば、苦手なところを訓練したりもできるでしょ?」
その船の船頭さんが、解説を続ける。
「そこまでする!?」
さすがと言うか、何と言うか、さすがキャリアウーマン。副社長。
「わたしも色々リクエストできるしねー」
その娘もまた、ノリノリの乗り気でこの『
「あんまり無茶は言わないでよね……」
雪人も概ねではこのシステムに賛同しかけてはいるようだが?
「あれ?」
画面の内容をスクロールしながらぼんやり眺めていて、ふと、疑問。
「このCの九とか十八とか……二十も。他にも結構、B系統とダブってるね」
「ん? えっと……あ、ほんとだ」
アカネも横から画面を覗き込んで画像を確認。
「本来はぁ、Bも、Cも、一連の流れ、だしねぇ」
黙って聞いていた雪枝が参入。
「女同士だとぉ、出来ないのも、結構、あるしぃ」
「雪枝さんっ!?」
「んふふ。私達もぉ、これ書いてぇ、雪人とアカネちゃんに提出するぅ?」
「…………」
参入したと思えば、また爆弾を投げ込んで来る、雪枝に美里は呆然。
だが。
我が身に置き換えて考えてみれば。
娘と息子に、『これから、こういうエッチします/しました』とお知らせ。
どう考えても。
「……めちゃくちゃ恥ずかしいわね……」
至極当たり前の事に気付く。
「やっぱり、止める?」
雪枝とアカネに問いかける美里。
しかし。
「いや、やろう」
答えたのは、雪人。
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