第87話:別表(1)(2)(3)



 同意書を作成した、その翌日。


 雪人も交えて。


 未来への、糸口を模索するため。



 家族会議。



 雪人とアカネ、母達の意識、考え方のすり合わせ。



「先ずは、ざっとでいいから、このページを読んでみて」


 美里が代表で、雪人にノートパソコンの画面を外部モニタに表示させる。


 さらにページのスクロールを雪人自身が行えるよう、外付けのマウスを雪人に渡す。


「これは……」


 とある弁護士のホームページの、一部。


 雪人への説明のため、母達が用意した資料的なウェブサイトのページ。


 雪人は、マウスでページをスクロールさせながら、その内容を読み進める。


「ふむ……こっちのタブも?」


 一通り読み終えて、雪人が別のタブにも似たようなタイトルが並んでいることに気付く。


「ええ、ひとつだと判断できないでしょうから、いくつか用意したの」


 別のタブをクリックし、読む。


 内容的には最初に読んだものと、ほぼ同じ内容。


 別のタブも然り。全部で四つのタブのページを読み終え、雪人は。


「なるほど……母さん達の言いたい事は、なんとなくわかった」


「さすが、雪人ちゃんね」


「つまり、のボクとアカネが同意があればをしても、罪にならないし、罰せられることも無い、って言いたいんだよね?」


「その通りよ」


 美里の同意に、雪枝も、そしてアカネも頷く。


「でも、同意したかどうかなんて、どうやって……」


「そう来ると思って。こちらをご覧ください」

 

 微妙にお仕事モードの美里が、手元のノートパソコンのキーボードを操作すると、画面が切り替わり、件の『同意書』が表示される。


「同意書、かぁ……」


 さっと目を通す、雪人。


 ふむふむ、と、句読点の少ない、行間の無い文章を、読む。


「こういうのって、わざと読みにくくするのは何かの嫌がらせなんだろうか?」


 それでも、どうにか読み進め、内容を理解する雪人。


「行動計画書と、行動報告書、ね……なるほど……」


 そして、最後の文章。


「ちょ……何、この最後のは……?」


 さすがに、そこに食いつく。


「いやぁ、不安な時は、先人の知恵に頼れとも言うし。万が一よ、万が一」


 アカネがフォローを入れる。母達が同席する件に関しては、アカネも合意した内容であり、雪人にも合意を求める。


「まあ、いいや。で、別表(1)ってのは?」


「いいのかよぉっ!?」


「別表は下の方にあるわよ」


「なるほど」


 言われた通りに下方向へスクロールすると、二枚目が出て来る。


――――――――――――――――――――

       別 表 (1)

――――――――――――――――――――

     氏名      氏名

行為者:         

承認者:

――――――――――――――――――――

       行 為 計 画

開始予定日時:  年 月 日 時 分~

予定行為:

□着衣  □脱衣

□B01 □B02 □B03 □B04

□B05 □B06 □B07 □B08

□B09 □B10 □B11 □B12

□C:               ※詳細は別表(2)を参照

        ※実施するナンバー(01~48)を列挙        ※詳細は別表(3)を参照


――――――――――――――――――――

     行 為 実 施 報 告

実施日時:    年 月 日 時 分~       

終了日時:    年 月 日 時 分

実施行為:□計画の通り □それ以外(下記)

□着衣  □脱衣

□B01 □B02 □B03 □B04

□B05 □B06 □B07 □B08

□B09 □B10 □B11 □B12

□C:               ※詳細は別表(2)を参照

        ※実施したナンバー(01~48)を列挙        ※詳細は別表(3)を参照


承認者 :

――――――――――――――――――――


 さらに下にスクロールすると、別表(2)のB系列の番号に対応する項目のリストが出て来た。


 少し頭が痛くなってきた、雪人。


 だが、しかし。


 B系列の分類は、図らずも雪人が試作していたリストに近似しているが、母達のリストの方が仔細に渡っている。


 さらにスクロールすると、別表(3)として、C系列の番号に対応するのの『図解』が出てくる。


「ぉうっ!?」


 意識せずにスクロールして突然出て来た図解に驚くが、しかし。


 こちらもまた、雪人が試作していたリストとも合致している。


 目的こそ違えども。


 さすが、母子おやこ

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