第七章:道筋を見出した家族
第85話:同意書
アカネが、美里と話した内容をかいつまんで雪枝に伝える。
雪人が法について勘違いしているかもしれないとの推察。
「なるほどぉ。未成年だからぁ、
言われてみれば、確かに。
真面目すぎる雪人の、ルールを守る、法を守る、徹底した意識。
「そうそう、だからね、この部分を、こうやって、こうすれば……」
ささっと、スマホのメモ機能に簡単な文章を書いたアカネが提示する、
「同意書……か」
「同意書、ね……」
母二人、感嘆する。
アカネの提示した案は、すなわち、同意書。
「不同意だと犯罪になるけど、本人同士の同意があれば全く問題無い訳でしょ?」
うんうん、と納得する母たち。
「口約束だと
うんうん、うんうん、と、さらに納得する母達。
「じゃあ、ちょっと書類、作ってみようか?」
母達がノートパソコンと液晶モニタをリビングに準備。
言い争っていた部分は、同一の、新たな方角へと舵を取り、有耶無耶に。
母達は、あーだ、こーだ、と言いながら、カタカタカタ、と、作業を経て。
「こんな感じ、かしら?」
と、液晶モニタをアカネの方に向けて映し出す。
――――――――――――――――――――
同 意 書
年 月 日
<氏 名> <生年月日>
甲 : 年 月 日
乙 : 年 月 日
丙壱: 年 月 日
丙弐: 年 月 日
記
1.甲と乙は同意の下に丙壱または丙弐との合意の上で特定の行為を行うものとする。
1.甲と乙が特定の行為を行う場合は都度別表(1)の原紙を複写したものに双方署名し、実施する特定の行為の開始の予定日時と内容を記入したものを『行為予定表』として申告し丙壱または丙弐のいずれかまたは両方の署名を得ること。
1.特定の行為終了後に実施した特定の行為の内容と日時を『行為予定表』に記録し『行為完了報告書』として丙壱または丙弐のいずれかまたは両方に報告し署名を得ること。
1.特定の行為の内容は別表(1)に定める。
1.別表(1)の行為の内容について必要が生じた場合、甲・乙・丙壱・丙弐の全員の合意に基づいて追記を行うものとする。
1.本同意書の内容の改定については、甲・乙・丙壱・丙弐全員の合意の下に行うものとする。
以上
――――――――――――――――――――
「はぁ……ある意味、えげつないよね、これ……?」
モニタに映る文字を読み、アカネが嘆息しつつ
「そうかしらぁ?」
雪枝は自信満々?
「わたしも書いてて、えげつないなとは、思った……」
美里も、アカネと同じような、意見。
「ん? なんだ、これ……?」
アカネが違和感に気付く。
「この、ちっちゃーい文字は……?」
モニタに接近して、小さい文字を読むアカネ。
『1.丙壱ならびに丙弐は乙の合意の下、甲と乙の特定の行為を見学または行為に参加できるものとする。』
「…………お母さん?」
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