第82話:婦々喧嘩は娘も食えない



「ちょちょちょっと、雪枝さん雪枝さん、アカネに見られちゃったわよっ!」


 雪枝の上で、美里が少し混乱。


「あら、いいじゃなぁい。女同士なんだしぃ」


 相変わらず、おっとりな、雪枝は、特に気にしていない模様。


「いやいや、確かに、女同士ではあるけど、母娘おやこだしっ」


「んー、でも、コレ、ビデオに撮ろうとしてたしぃ」


「え? ウソ?」


「んん?」


「まさか、雪枝さん、こういうところまで、撮るつもりだったの?」


「そぅよぉ?」


 美里は、そっと雪枝の上から離れ、座って、シーツを纏って身体を隠す。


「さすがに、それはやりすぎでしょ? その前段階でもギブアップしたのに」


 雪枝も倣って、その場に起き上がって、美里のシーツの半分を纏う。


「でもぉ、それくらい、しないとぉ」


「絶対、やりすぎ、ですよ」


 シーツを抱え、その上から腕組みをして、雪枝を攻める。


「だいたい、雪枝さんはですね……」


 懇々こんこんと、雪枝を諭す。


「ぇー……美里の言う事もぉ、わかる、けどぉ。強くするところは、しないといつまで経ってもぉ……」


「いや、だからですね!」


「むー、美里ぉ?」



 お互い、引かず。


 話し合いながら、着衣を身に着けてゆく。


 一通り、着終えると。


「ちょっと、よく考えてみてくださいっ!」


 美里は、そう言って部屋を出てしまう。


「美里……」


 残された雪枝は、呆然と。


 ベッドに腰掛けて。


 美里の言葉を思い返す。


 自分の考えと、美里の考え。


 仕事に於いても、ここまでの差異を生じた事は、今まで、なかったのに。


 ぱたん。


 そのままベッドに横になり、そっと目を閉じ、思考。




 寝室を出た美里は。


 そのまま、アカネの部屋へ。


「アカネっ、ちょっとお邪魔するわよっ!」


「え? え? お母さん!?」


 さっきの今ではありながら。


 ノックの返事もそこそこに、入り込む。


 幸い。


 さっきの今であるからこそ。


 アカネも、ごくごく、普通の状態で。


「どうしたの!?」


 一体、何があったのか、と。


 美里が、アカネに、半ば、愚痴のように。


 雪枝の事を話す。


 母達の話を聞いたアカネは。


「あー、まあ、雪枝ママの言う事も、わからなくはないけど……ちょっと強引すぎるかなぁ、とは思うね」


「でしょー!?」


 まだ少し興奮気味に、鼻息も荒い、美里。


「んー、でも、今の雪人くんのペースだと、この先、不安も多いのは確かね」


 アカネ的には、どちらの意見も一理あり。


 いずれの想いも、共存……いや、混在、している。


 ある意味、一番、苦労をしているのは、アカネ自身なのだから。


 押し、引き、の、加減。


 押し過ぎても、引き過ぎても。



 雪枝の言うように、強引に?



 いや、でも、雪人を傷つけないように、慎重に?



「多分だけど……」



 アカネが自論を展開する。



 前に。



「それはそうと、お母さん達がケンカなんて、珍しいわね?」


「そうかも……」


「夫婦喧嘩……夫じゃないから、婦婦喧嘩?」





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※※※※※※※※※※※※※

※  休載のお知らせ  ※

※※※※※※※※※※※※※



ラストに向けて、少し練りたかったりするので、一時的に休載させていただきます!


数週間? ぐらいでいけるとは思いますが、一応、無期限で!

(いつまでに仕上げるって自信が無いので・・・)


復帰しましたらば、また、よろしくお願いいたします!





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