第80話:教本の内容を分類してみる



 アカネ、それに母達からの贈り物。


 余計なお世話。有難迷惑。要らぬお節介。


 とは、言えず。


 母達には、母達の、思惑もあり。


 ただ、苦手は、苦手。


 どうにか、上手い具合に、飲み込む方法は、無いものか?


 雪人が考えた、手段。



 パソコンを起動し、表計算ソフトを立ち上げる。


「縦軸に、A・B・Cと、その明細を入れて、と」


 ぶつぶつ、とパソコンに向かって独り語りつつ。


「横軸に、作品名を入れて……こんな感じ、かな?」


―――――――――――――――――――

    作|作 作 作

    品|品 品 品

カテゴリ名|1 2 3

―――――――――――――――――――

A-軽  |? 〇

 -中  |? 〇

 -深  |? 〇

B-軽  |?

 -山  |?

 -谷  |?

 -渓  |?

 -口  |?

C-01 |〇

 -02 |

 -03 |〇

 ・・・ |・

 -48 |

D-1  |〇

 -2  |〇

―――――――――――――――――――


「ん。各作品でどんなパターンがよく使われているかプロットして、後で分析して、優先順位を検討すればいいかな……あ、そうだ」


 栄えある、最初の一列目の、作品は。


「あの本の一巻、アカネが持ったままだったな。回収してこよう」


 コントロール+Sを押して、ファイルを一旦保存して、席を立ち。


 自室を出て、向いのアカネの部屋をノックする。


「アカネ、ちょっといい?」


 返事が無い。


「アカネ?」


「…………」


 部屋の内部。ぼそぼそっと、何やら、気配は、ある。


「アカネ、入っていい?」


「…………ぁ…………ぃぃょぉ……」


 かすかながら、反応があったので。


「入るよ」


 言いながら、ドアを開けて、部屋の中を覗くと。


「ぇ?」


「え!? 雪人、くん!? なんでっ!?」


「い、いや、いいよって返事があったから……」


 アカネは、お布団の中で、就寝中? だった模様。


 クーラーの効いた室内で、布団を被って、寝ていた?


 ただ……。


「あ……」


 サメちゃんの抱きマクラを下敷きに。


 その上に覆いかぶさるように、寝ていたアカネ。


 枕元には、開かれたままの、文庫本。


 幸いにも。


 掛け布団に覆われていて、姿は見えないのだが。


「……ごめん、お休み中、だった?」

「あー、うん、まー、うん……で、何の用かなっ?」


 寝ていたにしては、汗ばんでいて、顔も上気している。


「例の本の一巻が欲しくて」

「あー、それなら、机の棚に」


 布団の中から手だけ出して机を指させす。


「あ、これこれ。これ、もらってくよ?」

「はいはい、どうぞ、どうぞ」


 机の棚から目的の本を取り上げるのだが。


 布団の脇、足元に。


 あまり直視できない布切れが、散乱しているのが目に入ってしまう。


 落ちている布と、布団の中のアカネの状態を関連付けて想像するに。


「…………」


 取り急ぎ、本の回収を済ませて。


「ごめんね、に」

「あはは。いいよいいよー」


 アカネにとっては、あまり良くはなかったりするが。


 暑かったのでクーラーを効かせると今度は寒くなったので布団を被っていて、正解。


「じゃ、


「はぁい、また夜ごはんに、ねー」



 アカネの部屋を出て、自室に戻る雪人。


 回収した一巻と、手元の二巻三巻をならべて。


 内容を確認しながら、パソコンにデータを入力して行くが。


「さっきの、アカネ……あれって、やっぱり……」


 本の内容で、先程のアカネの状況に類似するシーンがあった。


「項目、一個追加しないと……」



―――――――――――――――――――

    作|作 作 作

    品|品 品 品

カテゴリ名|1 2 3

―――――――――――――――――――

A-軽  |〇 〇

 -中  |? 〇

 -深  |? 〇

B-  |  

 -軽  |?

 -山  |?

 -谷  |?

 -渓  |?

 -口  |?

C-01 |〇

 -02 |

 -03 |〇

 ・・・ |・

 -48 |

D-1  |〇

 -2  |〇

―――――――――――――――――――



「そうか……サメの抱きマクラは、使んだ……なるほど……」


 なにかを納得、会得した、雪人。




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