閑章:家族でどくろでプール

第50話:プールへ行こう!



「プール行こう! プール!」


 アカネが食事中に、突然。


「え?」

「は?」

「なに、いきなり……」


 季節は、確かに、夏。


 時期的には、プールも、あり。



 アカネと雪人は期末試験も終えて、試験の結果が順次返ってくるのを待ってる状態。


 授業も午前中のみで、もう少しすれば、夏休み。


「夏休みになったら、プール行こうよっ!」

 と言う娘に。


「そう言えば、中学生になってからプールって行かなくなったわね」

 母・美里が思い起こす。


 幼い頃は母達と、小学校高学年になるとアカネと雪人の二人で行っていたが。


「それもこれも雪人くんが恥ずかしがるせいでしょ? 今後のための訓練も兼ねて、さ?」

 アカネが真意を伝える。


「……いいけど」

 雪人は若干、乗り気ではないが。

 

「あぁ、そっかぁ。プールなら、雪人もぉ、女装、できないもんねぇ」

 雪枝がその事実に気付く。


「そうそう。そういう意味で、うってつけじゃない?」

 アカネはもう、ノリノリで行く気、満々。


「じゃぁ、お母さん達も夏休みあるからぁ、家族で行きましょうかぁ」

 雪枝も賛成。


「そうね、ウチの会社、お盆とは別に七月末に連休入れてるし、丁度いいわね!」

 美里も大賛成。


「そうと決まれば、水着、買いに行くわよっ!」

 ノリノリのアカネに、雪人が。


「いってらっしゃい」

 と、返すと。


 バンバン、と雪人の背中を叩きながら、アカネは。


「何言ってんの、一緒に行くよ! 雪人くんの水着も買うよ!」

「えー……」

 マイナステンションの雪人とは異なり、母達は。


「私達も、水着新調しましょう、ね。雪枝さん!」

「そぉねぇ、しばらく着てないしぃ、最新のが、欲しいところねぇ」

 アカネの乗り気に乗じる。


「それか、ウチのブランドでも水着扱ってみる?」

「んー……考えても、良いかもぉ?」

 さらに仕事の話にまで、発展。


 ちょっと待て、と雪人は思う。


 水着……カタログ……写真……モデル……。


「それは止めといた方がいいと思うよ」

 と、ちょっと強めに進言。


「どぉしてぇ?」

 息子の意見に問い返す。理由は? と。


「ほら、水着って、普通の洋服と違って、材質も違うし、製法って言うか縫製も違うでしょ? だから、難しいよ、きっと」

 雪人は、とりあえず頭に浮かんだ知識でそれっぽく答える。


「なるほど。さすが雪人くん。よく解ってるわね」

「その辺りぃ、きちんとメリットデメリット調べてぇ、企画してみるのはぁ、アリかもねぇ……」


 母さん!


 突っ込みたいところではあるが。


 アルバイトで水着とか言われたら、それは断ろう、と密かに心に誓う雪人。



 とかなんとか盛り上がる団らんを経て。


 アカネと雪人の子供カップルは、早速、平日午後にショッピングモールへ。


 雪枝と美里の母カップルは、次の休みの日に買いに行こう、と言う事に。



 なりましたが?




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る