第47話:今日はおやすみ、ユキちゃん



 コンビニで仕入れた『戦利品』を手に。


 自宅へ帰り着く、ユキ。


 出掛けと同じように。


 静かに玄関を開け閉めすると。


「おかえり、ユキちゃん」


 びくうっ!!


 予想外の、おかえり。


 振り向くと。


 アカネが、仁王立ち。


「たったったっ、ただいまっ」


 勢い、アカネに抱き着いて、キス。


 で、ごまかそうとするも。


「おかえり、ちゅっ。で、何買ってきたの? こんな夜更けに」


 誤魔化しきれなかった。



 灯りを点けず、リビングでの取り調べ。


 コンビニのレジ袋の中身をテーブルに並べて。


「ふむふむ」


 アカネに一通り説明させられる、ユキ。



 説明を聞いたアカネは。


「なるほどなるほど。うんうん。良い傾向じゃない?」


 と、納得してくれた上に、褒められた?


「言ってくれたら、わたしのあげたのに」

「いや、さすがに、それは……」

「なんなら、雪人くんのと、交換で……」

「いやいや、さすがに、それはっ!」


 それから。


は、半分、もらっていい?」

「いいけど? 何に使うの?」


「それはこっちのセリフ、みたいなところもあるけど、同じよ。興味本位。どんなモノか、中身を見てみたいだけー」

「なるほど……」


 と言う訳で、早速、ビニールを破って開封。


 中身を取り出して、半分をアカネがポケットへ。


 残り半分は箱のまま、ユキのレジ袋へ。


「今日はもう遅いから、使のは明日以降にした方がいいわよ?」

「わ、わかってるってば」


 ふわぁあ。


 二人とも、欠伸あくびがシンクロ。


「寝よ寝よー」


 二人で二階へ。母達を起こさぬよう、抜き足差し足。



「じゃ、おやすみ」


 ちゅっ


「おやすみ」


 ちゅっ


 それぞれ、自室に戻る。


 ユキは。



 折角なので、と。


 とりあえず、買って来たも開封して中身を確認。


 普段から、洗濯の際に母達やアカネのを見ているため、新鮮な感動は無いが。


 自分のモノとして入手したは。


 全然、特別なものではなく、コンビニで売っているものなのに。


 何か少し違う。


 思い入れ?


 これから、を我が身の一部とせんが故に?



 とりあえず。


 今日のところは、は仕舞っておいて。


「寝よ、寝よっ!」


 ぱたん。


 ユキのルームウェアに着替えて、ベッドに横たわる。




 空調も効いて、涼しく過ごしやすい筈の部屋。



 外気でちょっと火照った身体。



 外気だけではなく。



 心持ち、芯から火照る身体を。


 そっと自ら抱きしめて。



「あ……ボクも抱きマクラ、買えばよかったか……」



 今更?



 ちょっと、ズれてる、ユキちゃん。


 抱きマクラ替わりに、掛け布団を抱き寄せて。


「ん……」



 とりあえず、今日は。



 おやすみ、ユキちゃん。






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