第44話:放課後デート風のお買い物
週末、明けて、月曜日。
普段通り、通勤の母達と通学の子等。
いってきます、いってらっしゃい気を付けての応酬も済ませ。
残念ながら、いってきますのちゅーは、ナシ。
何故なら、雪人は、学校へはきちんと男子の制服なので。
まだ、女装して女性化していないと、心理的敷居が、ある。
そんな夫婦(仮)の、学生生活はと言えば。
「ねー、アカネっち、帰りゲーセン、寄ってかない?」
と、お昼休みに友達から声をかけられたり。
学校でも、雪人とアカネがイチャイチャするのは変わらないが、四六時中とまではいかず。
それぞれ、互いに友達も居ない訳ではない。
「ごめーん、今日は用事があるー」
「えー、また旦那と夫婦デート?」
「んーまー、そんなトコ~」
「たまにはコッチも付き合えよ~」
「わかってるー」
などなど。
二人の関係は周りにも知れ渡っているので。
ある程度は許容してもらえているのは、幸い。
そして、放課後は。
昨夜の、約束の通り。
二人手を取り、腕を組み。
遠回りになるが、そのまま駅前のショッピングモールへ。
「とりあえず、部屋着とパジャマだねー」
「うん。もうあんまり貯金が無いから、できれば安いめので……」
「んじゃ、定番のヨニクロにしますかー」
と、目的の店舗へ。
ただ。
「よくよく考えてみたら、部屋着って、男女あんまり変わらないかしら?」
「……盲点だったかも?」
「いっそ、キャミ&ホットパンツ?」
「夏だし、ホットパンツは良いとして、上は、せめてTシャツかな……」
先のゴスロリのような完璧女子風でなくても、それなりに女子っぽければ。女子っぽい……
「……あ」
「どしたの?」
雪人が、何かに気付く。
「……上げ底の下着も必要か……」
「あー、それ。わたしが新しいのいくつか買って、わたしのお古、使えば?」
「それ、ナイスアイディア」
「パットはどうするの?」
「ぬいぐるみの要領で、作るつもり」
「相変わらず、器用な旦那様……」
「うむ」
などと。
結局、ぴちっとしたホットパンツではなく、ゆったりしたショートパンツと、Tシャツ。パジャマも兼用にするって事で、柄違いを三着程で着回しすることに。
ランジェリーショップでアカネ用のブラも購入。
ただし、さすがに、男子学生の姿でランジェリーショップは尻込み。
アカネに任せる。
それから、手芸ショップでパット作成用の素材も物色。
裁縫も出来る、雪人。
実は、アカネの母である美里の直伝。
目的の物を仕入れて、帰宅。
早速。
ちゃちゃっと、パットも自作して。
アカネからお古のブラも頂戴して。
「……どうかな?」
ウィッグはショートボブで、ナチュラルな、黒。
「ん! ぐっ!」
相変わらず、自分よりも可愛いのがちょっとシャクに触る部分も無きにしもアカネ。
だがそこはぐっと堪えて。
美しいものを愛でるのも、幸多く。
「じゃあ、改めて。おかえり」
の。
ちゅっ
「ん。ただいま」
の
ちゅっ
「おかえり」
の
ちゅっ
「ただいま」
の
「いや、終わらないから、これ……」
「えー……」
さて、晩御飯の支度、しようか?
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