第27話:子供達のショッピング



「お買い物~、お買い物~」


 雪人の腕に、腕を絡ませてルンルン気分のアカネ。


「あ、そうだ」


 雪人が、突然、停止。何やら思いついた模様。


「うぉっと。どしたの? 急に」


「抱き枕もだけど、目覚まし時計があれば、ボクが起こしに行かなくてもいいかな、って」


「ぇー。起こしてくれないのぉ?」


「んー、まぁ、保険?」


「プレゼントしてくれるなら、いいよー、とりあえず、見に行こっか」


 と、言う事で、場所を確認すると、Uターンして一階へ。



 家電系売り場の、時計コーナーへ。


「色々あるねー」


 壁掛け時計から、卓上型の目覚まし時計まで。


「ふむ……アナログかデジタルか。電波式とそうじゃないもの、か……」


 雪人は商品の仕様を確認して行く。


「秒針がスムーズに動いて音がしないタイプと、カチカチ音がするタイプ……」


 並んだ商品を一つ一つ確認。


「見て見て、これ、カワイイよー。これがいいかなー」


 アカネはもちろん、デザインで。


「それは……電波式じゃないから、時刻合わせが面倒で、秒針がカチカチ鳴って夜中うるさいかも」


「ぇー……」


「ふむ……秒針がスムーズのタイプで、かつ、電波式は……」


 ざっと見渡してみて。


「卓上型にはこの組み合わせは存在しない!? 壁掛けのみ!?」


 意外な結論。


「と、なると、電波式のデジタルがいいかな」


「?」


 もちろん、アカネにはちんぷんかんぷん。


「アカネ、ここから、ここ。この中から選んで」


 と、雪人が指示するのは、電波式でデジタル式のもの。


「やだー、可愛くないー」


 駄々っ子アカネ。


「いちいち時刻合わせするの面倒でしょ? それに夜中カチカチはうるさいよ?」


「ぶー……じゃぁ……」


 雪人が示した商品を一通り見てみる。


「これ?」


 アカネが選んだのは、小型で淡いピンク色のもの。


 他の商品は白か黒で、唯一色付きのものがそれだけだった。


「ん。これならシンプルでいいね。値段も安いし、これにしよう」


「はーい」


 商品棚の奥から該当の商品を取り出す。


 色がポイントなので、色は入念に確認。


 雪人はさらに、同じ商品の『白』も取り出す。


「おっけ、じゃあこれを……」


「はい」


 アカネが側にあった店内カゴを雪人に手渡す。


「ありがと」


 時計二個をカゴに入れ、カゴを手に。


「お揃い?」


「うん。色違いで、お揃い。ボクは白ね」


「わーい。お揃い!」


「別のところ、見て周ろうか」


「うん!」


 雪人の腕を取り、ルンルン再開。



 店内をぐるっと周って。


「これ面白そう!」


 とか。


「これ、何だろう?」


 とか。


「あ! これ、テレビでやったヤツだー!」


 などなど。


 見ているだけでも楽しめる。



 そして本題の『抱きマクラ』


「うーーん……、なんかピン、と来ないなー」


「そう? こっちのなんて、抱き心地、よさそうだよ? 柔らかくて」


「柔らかすぎかなぁ……もちょっと固くて、がっしりとして、芯のあるのがいいかなぁ」


「あー……」


 確かに、抱きマクラのふわふわ感と、人肌の抱き心地を比べると。



 結局、ここではアカネのお気に召すモノは見つからず。



 買うものだけ買って、次のお店へ。






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