第18話:お部屋をお引越し
明けて、翌週の週末。
雪人とアカネの部屋を移動し、模様替えを行う。
二人が寝室として使っている部屋を雪人の部屋に。
勉強部屋として使っている部屋をアカネの部屋に。
寝室のダブルベッドは解体してレンタル倉庫へ。
朝から雪人がダブルベッドの解体に勤しむ。
寝具を除けて、マットレスも外し、ベッドの骨組みをバラしていく。
幸い、組み立て説明書がベッドの下の収納スペースに残っていたので、それを見ながら、組み立ての逆順で解体して行く。
雪人がベッドを解体している間、アカネは勉強部屋の雪人の机を片付け。
机の上にある荷物を一旦、床へ降ろし、机の上を空にする。
机と別のキャビネットは移動用のキャスターが着いているので、そのままゴロゴロ移動。
てきぱき、と作業して、小一時間で準備完了。
丁度、そこへ。
「トラック、借りて来たよー」
美里が戻る。
「結構、でかいなぁ……アカネ、そっち持って」
「うぅ……わたし達の、愛の巣がぁああ」
「愛の巣て」
解体したベッドのパーツを雪人とアカネが何度かに分けて一階へ降ろす。
一階では雪枝と美里が軽トラックの荷台へそれを積み込む。
積み込みを終えると。
「じゃぁ、倉庫まで行ってくるねー」
「はぁい、気を付けてねぇ~ ちゅっ」
トラックに乗り込む前、雪枝が美里に、行ってらっしゃいのキス。
「雪人くんも、気を付けてねっ……って、逃げるなああっ!」
キスされまいと、そそくさとトラックに乗り込んでロック。
「美里ママ、行こうっ」
ドンドン
ドアを叩くアカネ。
諦めて、窓越しに、キス。
窓の内側から見ると、かなり間抜けな
運転席の美里は、娘の間抜けな姿を見て言う。
「アホな娘でごめんなさい。こんなんでも貰ってやってもらえる?」
「あはは」
可愛い嫁の、可愛くない姿。
これは、これで。
残った雪枝とアカネの二人で、雪人の机や荷物を移動させる。
「もう、こうなったら開き直って自分の部屋、好きなように改造しちゃる!」
アカネは広くなった元・勉強部屋で宣言。
「美里と雪人が戻ったらぁ、アカネちゃんのクローゼット買いに行きましょうねぇ~」
「うんっ! 雪枝ママ、よろしくねっ!」
ささっと、雪枝が美里に携帯でメッセージを送る。
レンタル倉庫に向かうレンタルトラックの車中。
「雪枝さんからメッセージだわ。雪人ちゃん、ちょっと見てみて」
「えっと、戻ったらトラックで母さんとアカネの二人でクローゼット買い出しに行く、ですって」
「そっか、クローゼットも二人共通で使ってたんだったわね……」
「ボクのクローゼットは、今使ってるのをそのまま使うって事ですね」
「そうなるわねぇ……」
「アカネのやつ、転んでもタダでは起きないな……」
「あははー」
「ボクも何か買ってもらおうかな?」
「ん? いいよー。お母さんが買ってあげよう!」
「はい、考えておきますね」
とは、言ったものの。
特に何も思いつかない雪人。
物欲も、あまり無いのかもしれない。
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