第11話:浴室にて、母、二人




「ふぅ……」


「はふぅ……」


 身体を洗い終え、浴槽でまったりする恋人たち。


 雪枝に背を委ねる、美里。


 雪枝の腕は、美里のお腹側に回され、軽く抱きしめる形になる。


 ぷにぷに


「美里ぉ、ちょっと、太った?」


「ぇー、体重、変わってないわよ?」


「でもぉ」


 ぷにぷに


「事務仕事多いしぃ……ちょっと身体使う現場、行ってみる?」


「ありがたいような、ありがたく無いような……」


 雪枝の経営する会社。


 美里も雪枝の右腕として、会社を切り盛りしている。


「それより、雪人ちゃんよ、雪人ちゃん。雪人ちゃんをどうにかしないと!」


 右腕の美里が雪人を連呼する。


「ん~? 雪人、ねぇ……」


 雪枝は美里を抱きしめてぷにぷにしている。


「そう! 雪人ちゃんをどうにかしないと、いつまでたっても孫の顔が拝めない気がするわよ?」


「それよねぇ……」


 ぷにぷに


「ぷにぷに、やめて……」


 さわさわ


「ん……、それはOK……じゃ、なくてー」


「雪人、ねぇ……ホントぉ、何がいけなかったのかしらぁ?」


「お年頃なのは解るんだけど」


 んー。


 首を傾げる二人。


「一度ぉ、ちゃんと、お話してみるしか、ないかしらねぇ」


「そうね。話をすると言うか、話を聞いてみると言うか」


「聞いても、恥ずかしがっちゃうかしらぁ?」


 さわさわ


「問題は、そこよね。それもあるけど、私達が男の子の事、よく解ってないのもあるかも?」


「ええ、それがあるから、育て方も何か間違っちゃったんじゃないか、って、思っちゃうわよねぇ……」


 さわさわ


「まぁ、過ぎちゃった事は仕方ないとして、これからどうするか、よね」


「うんうん。アカネちゃんも交えて、作戦考えましょぅ」


 さわさわ


「雪人ちゃんが居ない時、か……次、雪人ちゃんのアルバイトの日っていつだっけ?」


「確かぁ、次の日曜日、だったかしらぁ?」


 もみもみ


 雪枝の腕が、お腹から、少し上へ。


「ん、あ、ちょ、雪枝さん!」


「雪人の居ない間に、作戦会議、ねぇ~」


 もみもみ


「いや、だから、ここで『もみもみ』はいかがなものかとー」


「えぇー」


 もみもみ


「んもーっ! のぼせそうだから上がるわよ!」


 ざばっ


 雪枝の拘束を解いて浴槽を出る美里。


「えー」


 後を追う雪枝。


 二人、脱衣所で身体を拭う。


「会議の前にある程度資料作っておかないとだね」


 雪枝の髪にドライヤーをあてながら、美里。


「ええ、取り急ぎ、二人でブレスト、やりましょうかぁ」


 目を閉じ、うっとりと美里のドライヤーに身を委ねる雪枝。


 女社長とその右腕。


「私の髪もお願い、ね」


「はいはぁ~い。まかせてぇ~」


 ドライヤー、交代。




 夢の未来。未来の夢。


 そこへ向けて、雪人改造計画の幕が上がる?






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