『体重が急に四キロも増えた理由3』

 場所は市子の部屋。まあ私の隣の部屋なのだけれど。

 私と市子は、前にも話したが萌舞恵第二女子寮に住んでいる。

 寮の特徴としては、全個室であり、全室バストイレ付き。

 あとは、ご飯が美味しくて、大浴場なんかもある。だが、それは今回関係はない。

 大事なのは市子の体重計である。


 市子は体重計を操作し、衣服分のマイナス値を表示した。そこには『-4kg』と表示されていた。


 要するに、市子は半年前に買った体重計の初期設定で、全ての体重計から、胸の重さを引いて、ずっとマイナス四キロで計っていた。

 だが、学校の体重計にそんな親切な機能は無いので、普段よりもプラス四キロになったと。

 そのことを勝手に勘違いして、市子は四キロ増えたと認識してしまった。


「胸の重さを引いたのをすっかり忘れていました」


「まず、その胸の重さを引くという発想が何なのよ」


「だって、四キロですよ! 四キロ! そんなものを体重にカウントするのはおかしいとは思いませんか!?」


「だからって自分専用の新しい体重の計測方法を作らないの!」


「いーえ、来年から体重の計測は胸の重さをマイナスすべきです! この案を生徒会に提出します!」


「却下よ」


「酷いです!」


 そんなのは当たり前だ。だって、私の体重は多分変動しないし。

 はぁ……萎めばいいのに。

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