第4話

「制服の私、可愛いかな?」


久しぶりの制服に身を通して、鏡の前でクルクルと回ってみる。


みんなは私のことを可愛いと言ってくれるけど、可愛いと思って欲しい人からは、いまいち本当に思ってくれているのか分からない。


最近、モデルさんがやっていた萌え袖というものをやってみようかな。


袖を軽く握って顔の前まで持ってきてみた。


「あざとすぎる……」


これでは本当にワトソンが好きみたいだ。いや、好きなんだけど、多分。


これじゃ、彼のことを落としにいってますー、って世間の人々に言ってるようなものでは?


「こうやってあざとくなれないから、私はいつまでも……」


どうでもよくは無いが、世間体はつまらないことで悩んでいると、時計の針はもうすごい角度になっていた。


急いで下に降りる。そこには私のことを待ちくたびれたかのようなワトソンがいた。


「制服ってさやっぱりカチッとしてて嫌いなんだよね」


私は絶対に言われるわけないとわかっているのに、制服が似合っていないと言われた時の予防線を張ってしまう。


「そうか?俺は可愛いと思うぞ?その服を着れるのも三年間だけだしな」


可愛い。ワトソンにとってはただのお世辞に過ぎないのだろうが、私にとっては飛んでしまいたくなるくらい嬉しかった。


それがバレないように話をそらす。


「私には歳を取らない設定が……」

「ない」

「そんなぁ……」


たわいのない会話を楽しんでいる時に、ふとワトソンに目をやるといつもより2倍増しでかっこよく見えた。


やはり髪の毛をセットしている。本気で彼女を作りにいっているのね……。かっこいいワトソンを見れた嬉しさ半分、焦り半分。


「はぁ...なんでワックスをつけちゃうのかな。これだから空気読めない男ランキング一位は」

「なんだ?ダメだったのか?」


どうせ鈍いワトソンは気づかない。


それが君のモテない理由だって言ってやりたいけど、それを言ったら、もう歯止めが効かなくなる。それだけは避けねば。


「逆!ほら、学校行く!」


逆。かっこいいと素直に言えない私の悪あがきである。何、高校生にもなってこんなことをしているのだろう……。うぅ……。


そして私は今、重要な任務を背負わされている。泥棒猫の見張りである。バカな女は私の助手のワトソンに手を出そうと、目を光らせている。


それを牽制しているのだ。学校に着くまでは警戒を緩められない。こんなことをしなくても、彼の男らしい手を掴めたら。腕に掴まれたら……。


そんなことを思いながら、ワトソンに目をやると目を細くして。クスリと笑った。


///尊い……!///


私は思考過程した。


◆◆

次回親友登場。

星が欲しい。








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