第2話
美少女探偵の部屋からボフッボフッ、と枕を叩く音がする。
華奢な体をベットに這わせて小さい頃にワトソンから貰ったクマのぬいぐるみを抱きながら、高そうな枕を叩いているのである。
そんなことをしているとは台パン……枕パンをしているとは思えない程の綺麗な顔つきに、青い瞳。そしてなびかせる白い髪。
アニメから飛び出してきたかのような彼女は世界中の男を落とせるほどの魅力があった。
はずだったのだが……。
『これはまずいことになったぁぁあ!!』
その一心で枕を叩いているのである。私がなんで学校に行きたくないかなんてひとつしか理由がない。
・ワトソンがほかの女の目に止まること
だから世界中を飛び回って、私の世話だけをさせてきたというのに……。
裏目に出ちゃったよぉ。私は自然とくまちゃんを握る腕の力を強くしてしまう。これはまずいと思って、緩めるのだが……。
ピロンッ!っと高い音を上げて鳴くスマートフォン。そこには私の高校の友達からのラインだった。山ほどのLINEが来ている。
例えば……。
『おかえり、シャルちゃん!長旅お疲れ様!シャルちゃんが学校に来るならワトソンくんもくるよねー!会えるの楽しみにしとくね』
さっき届いたLINEだ。これならどっちに会いたいのか、分からないじゃない。どうせ、ワトソンなんだろうけど。
そんなLINEを見て、またくまちゃんを圧迫死させそうになる。
また通知がなった。またしょうもないLINEかと思ったら親友からだった。
飛びつくようにして、またスマートフォンを握る。かわいい、かわいい私の親友。
『シャール!とりあえず遊ぼ』
その言葉と共に、うさぎのスタンプが送られてきた。私の親友のクランちゃんだ。
『遊びたいー!学校で予定決めよー』
私はテンポよく返信をした。彼女は高校生になったとき初めて声をかけてくれたのだ。
世間でも少し有名になっていてクラスから浮き気味だった私に声をかけてくれて……。
いやいや、思い出に浸っている暇は無い。まずはワトソンの依頼をどうにかしないと。
まぁ私は一か八かで告白したら、即答で振られたんですけどねー。100%脈ナシ。
本当にどうすれば……。学校に行かせたら、モテるし!いっその事、あの顔に落書きするか。身長は膝を逆に曲げて……。
そんなことを思っていると、膝を逆に曲げねばならない男からお呼び出しの声がかかった。
「シャール!学校に行きますよー」
や、やばい!なんにも用意してない!私は大急ぎで制服をクローゼットから取りだした。
「はぁ……。行きたくない」
◆◆
久しぶりの投稿にも関わらず見てくれてありがとうございます!!
甲子園1位とるために星を……笑
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