大嫌いなこの世界を変えるために ‐変わりたい私は暗闇の中で光を見る。
フォッツ
1章 始まりの出会い
第1話 友達
私は生まれた時から魔力の量が少なかった。
子供の時は、まだ知らなかった。
―――この世界は、魔力の量がすべてだということに。
そんなこと気にせず親は私を愛してくれた。そんなお母さんと、お父さんが大好きだった。
でも、大好きなお母さんも、お父さんも魔物に私の目の前で殺された。
その時から私には、この青い変な目がついた。
この目は今まで見てた景色を変えた。
人や物からオーラが見えるようになった、青、赤、緑この三色の色が見えるようになった。
白かった雲は天気によって色が変わる、晴の日は青、曇りの日は緑、雨の日は赤になった。
親を殺した魔物のオーラの色は赤くて大きくて怖かった。
そして私は青だった・・・・。
▽▲▽▲
私―――――
何で私、生きてんだろう・・・・・?
狭い部屋の中で、雨が降ってる外を窓越しで見ながらそう思った。
入学当初は、勉強とバイトで大変だったけど、楽しかったのに・・・・・・。
△▼△▼
「ねーねー、何してるの?」
突然、クラスの女子が話かけてくる。
「勉強してる・・・・」
優しく話しかけてきた子に対して、見向きもせず冷たく返す。
「何で勉強してるの?」
「勉強しないといけないから」
「何でしないといけないの?」
何で私、好きじゃない勉強してるんだろう?
「勉強すれば将来役に立つから」
考えても答えが見つからなかったけど、ふと思いついた答えを言う。
「へー将来のために勉強してるのかぁー・・・・・・すごいね、君は将来何になりたいの?」
私、将来のことなんて何にも考えてない・・・・。
てか、何でそんな事聞いてくるんだろ?
勉強に集中できないし、話無視したらどこかに行くかな?
―――――一分後
「ねーねー」
「・・・・・・・・」
まだ話かけてくる・・・・。
――――さらに一分後
「ねーねー無視しないでよー!」
「・・・・・・」
ねーって言った回数だけイライラが蓄積されていく。
二分我慢したがそろそろ限界。
持っていた鉛筆を思いっきり机に置いて、顔を向ける。
その瞬間、その子は嬉しそうに言う。
「やっとこっち向いた」
その子は口角を上げて、笑顔で言った後、優しい笑顔でこっちを見る。
さっきまであんなにうるさかったのに人格が入れ替わったみたい、怖ッ・・・。
でもその優しい声と優しい笑顔は、私の苛立った感情を消した。
その子は身長は私より少し高く、綺麗に伸びた黒髪はサラサラしていて、胸は大きいのにスタイルはすらっとして、滑らかな白い肌に、顔は整っていて誰が見ても見とれてしまうくらいの美人さんだ、そしてこの子には私と同じ青いオーラを纏っていた。
「怒ってる?」
「うるさいせいで勉強に集中できなかったんだよ」
残った怒りを込めて言う。
「ごめん、ごめん許して!」
「別にもういいよ・・・・」
必死で謝ってきたので、小さい声で返事をした。
その子は私の横の席の机に腰を掛けて、何故か喜びを顔にみなぎらせてこっちを見ている。
「何で嬉しそうなの?」
「だってクラスの女子に話しかけても無視したりするんだもん!だけど君は反応してくれたから嬉しい」
「そうなんだ・・・・」
私がこの子に反応したから嬉しいのかな?この子ならコミュ力とかもあるし、色んな子と仲良くできると思うんだけど、それとも、ここのクラスが学科だから勉強熱心な子しかいないのかな?
「私、
「れいか?」
麗華はニコニコで自己紹介して、私はぎこちなく麗華の名前を呼んだ。
「そうそう!あなたは?」
「私は雨下霞・・・・」
「じゃーあ、霞ね!」
私はぎこちなく自己紹介して、麗華はニコニコで私の名前を呼んだ。
家族以外に名前を呼んでもらったのは、初めてかも・・・・。
小学生の時も、中学生の時も友達が一人もできなかったから、名前で呼んでもらうの嬉しいいかも。
自己紹介が終わるとなぜか麗華はぼーっとした顔で私を見つめる。
「霞の目ってなんか・・・・・」
まただ、自分でもわっかてる、変とか、きもいとか、言われるけど別になりたくてこの目になってるわけじゃないのに・・・・・。
「綺麗だね!」
「え?」
私は、そのセリフに驚きを隠せなかった。
「どうしたの?」
「だって今この目を・・・・綺麗だって言ったから」
この目を綺麗って言った人初めて・・・・。
「綺麗だから、綺麗だねって言ったんだよ」
多分、そのセリフに嘘はない、私がそう思いたいだけかもだけど、嬉しい。
「あーもしかして霞って自分に自信ないでしょ」
「だって今まで目が変とか言われてたから・・・」
「大丈夫だよ、霞は自分が思っている以上に可愛いから!」
なんでそんなセリフ恥ずかし気もなくいえるのかな・・・・でも。
「ありがとう!」
少し自分に自信が持てる気がした・・・・。
「泣くほど嬉しかった?」
「うん・・・・」
「泣いてないじゃん!」
麗華は泣いてない私にツッコミを入れたが、実際私はそれぐらい嬉しかった。
この日、人生初めての友達ができた。
放課後は、バイトもあったけど、ない日は麗華と一緒に服を選んだり、パフェとかクレープとかほかにも色々食べ歩きしたり、休みの日はプールや遊園地とかに行って遊んだりして毎日が初めてや、驚きで楽しくなった。
麗華はからかってきたりとかするけど私にとって太陽みたいな存在になった。
暗い私を照らしてくれる太陽それが麗華。
けど、それはある日、突然壊れる。
――――一年がたち学年が上がり高校二年生になった。
学校には、魔法科と学科があり、魔法科は人数が多いいからクラス替えがあったみたいだけど、私たち学科は人数が少なくクラス替えがないので、二年になっても麗華とクラスは一緒だった。
「そういえばさ、うちのクラス転校したりする生徒多くない?」
麗華がクラスを見渡して聞いてきた。
「確かに一年の時、五人くらい転校したよね、クラスの人数がもとから少ないせいでなんか寂しく感じるよね」
「何で転校したりするんだろうね?」
「私も、わからないよ」
本当にどうしてだろう?何か、転校する理由があるのかな?
―――――――次の日、私は風邪をひいて学校を一周間、休んだ。
携帯で麗華はお見舞いに行くと連絡が来たが来なかった・・・・。
「お見舞い行くとか言って一日も来ないことある?」
「ごめん、ごめんいきなり用事が入っていけなかった・・・・」
お見舞いに行かなかっただけならまだいいが連絡すらしてこない。
「何で連絡してこないの?」
少しキレ気味に聞く。
「ごめん、連絡は色々あってできなくて、ごめん・・・・」
「家に麗華が来るの楽しみにしてたからちょっと残念だった・・・・」
「ごめんね、これコンビニで売ってた季節限定のスイーツ上げるから許して」
私のご機嫌を直すためだけに買ってきたであろうスイーツを麗華の手から取る。
「いいよ、風邪ひいた私が言うことじゃないけど連絡すらしてこないから心配しただけだから・・・」
麗華はいつもの笑顔に戻して、口角を上げてからかうように言う。
「霞は可愛いなぁー」
「もう!からかわないでよ・・・・」
恥ずかしくなって顔の温度が上がる。
「そうだ麗華、放課後久しぶりにぶりに遊ぼ!」
「ごめん・・・・今日予定があって遊べない・・・」
思い出したように顔から笑顔が消えて、寂しそうに、辛そうに、小さい声で謝る麗華。
普段、麗華からの遊びの誘いが多いいが、今回は数少ない私が遊びに誘ったのに断られた。
不断なら「珍しい」とか言いながら即答で決定するのに、今回はなぜか迷うように断った。
「全然いいよ、何で麗華が謝るの?予定は仕方ないよ」
「そうだよね!・・・謝る必要ないよね」
そう言って麗華は今まで見たことない笑顔を作る・・・・。
それは笑っているのかわからない笑顔。
その日から麗華とは遊ぶ日が少なくなり、半月もたたずに遊ばなくなる。
最近、麗華に話かけても、いつもなら長く続いた会話がすぐ終わるなぁ。
私のバイトのせいもあるけど、ここ一週間は遊んでないし、会話が続かないせいで話かけなくなっちゃった。
よし、今日は話かけよう。
そんなことを考えていると教室に麗華が入ってくる。
近づいて顔を見ると、いつも綺麗な顔が暗く疲れ切った顔をしていた。
「大丈夫、なんかあった?」
心配して声をかけたが「大丈夫」と言っていつもの笑顔を作った。
でも、私にはいつもの笑顔には見えなかった。
この、笑顔は麗華が無理矢理作っている笑顔だと私は知っている。
最初はわからなかった。けど、最近の麗華を見てればすぐにわかる。
この笑顔は、私に何か隠してる。
「本当に大丈夫?」
「本当に大丈夫だから・・・・心配しないで」
前まではあんなに元気だったのに、今はその面影も見えない。
「そんな顔して大丈夫って言われても説得力がないよ、なんかあるなら話してほしい私たちは友達でしょ?」
「うるさい!・・・・ごめん、でも大丈夫だから・・・」
麗華は突然大きな声で叫んだと思ったら、周りを見て落ち着いてまた「大丈夫」と言う。
「わかった、授業始まるし席戻るね」
問い詰めるのをあきらめて自分の席に戻る。
麗華が大丈夫じゃないのは、わかるけど麗華自身が話してくれないしなぁ、どうしよう?
麗華とは一年間一緒にいたけど、そんな私にも話せないことってなんだろ?
友達ってなんだろう?
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