第1話 友達

 私―――――雨下霞あましたかすみは高校二年生になった今、日々に絶望している。


 何で私、生きてんだろう・・・・・?


 狭い部屋から雨を降らす赤い雲を見上げて、意味のないことを考えた。


 何も知らなければずっと楽しくて、幸せな毎日が送れたかもしれないのに、この目のせいだ。


△▼△▼


 今日は高校生になり、初めての登校日。

  

 おばあちゃんが病気で入院してることもあり、一人暮らしを始めた。

 私の高校生活は毎日休む暇もないくらいに大変なものになるだろう。

  

 学校に通いながらバイトで生活費を稼いで、勉強しないといけないからだ。

 

 学校の校門を通り、校舎の中に入った。下駄箱で靴を履き替え、自分の教室に向かった。

 廊下を歩いてる時、コソコソと話しながら歩く女子二人がこっちを見て、ニヤニヤと笑みを浮かべるのが見えた。


 教室に着くと、黒板に自由席と書いてあったので、窓際の真ん中辺りの席に座った。


 ここの席なら、授業もちゃんと耳に入るし、気分転換に景色も見れるいい席。 


 教室の中には、同じ同級生の子たちが机に座り大人しく授業が始まるのを待っている。

 一人、色んな子に話し掛け回ってる子がいる。

 

 私には来ないといいな。人と話すの苦手だから。


 私は机の上に筆箱と数学の参考書を置いて、ひたすら書き込んだ。

 何かやってれば話しかけて来ないだろう。

 こんなんだから今まで友達ができなかったんだろう。


 しばらくしすると、ついに私の前にもその子がやってきた。


「ねーねー、何してるの?」


「勉強してる・・・・」

 優しく話しかけてきた子に対して、見向きもせず冷たく返す。


「何で勉強してるの?」

「勉強しないといけないから」

「何でしないといけないの?」

 何で私、好きじゃない勉強してるんだろう?

 

「勉強すれば将来役に立つから」

 考えても答えが見つからなかったけど、ふと思いついた答えを言う。


「へー将来のために勉強してるのかぁー・・・・・・すごいね、君は将来何になりたいの?」


 私、将来のことなんて何にも考えてない・・・・。

 てか、何でそんな事聞いてくるんだろ?

 勉強に集中できないし、話無視したらどこかに行くかな?


―――――一分後

「ねーねー」

「・・・・・・・・」

 まだ話かけてくる・・・・。


――――さらに一分後

「ねーねー無視しないでよー!」

「・・・・・・」

 ねーって言った回数だけイライラが蓄積されていく。

 二分我慢したがそろそろ限界。

 持っていた鉛筆を思いっきり机ドンッと置いて、顔を向ける。


 その瞬間、その子は嬉しそうに言う。


「やっとこっち向いた」


 その子は口角を上げて、笑顔で言った後、優しい笑顔でこっちを見る。


 さっきまであんなにうるさかったのに人格が入れ替わったみたい、怖ッ・・・。

 でもその優しい声と優しい笑顔は、私の苛立った感情を消した。


 身長は私より少し高く、綺麗に伸びた黒髪はサラサラしていて、胸は大きいのにスタイルはすらっとして、滑らかな白い肌に、顔は整っていて誰が見ても見とれてしまうくらいの美人さんだ、そしてこの子には私と同じ青いオーラが見えた。


「怒ってる?」

「うるさいせいで勉強に集中できなかったんだよ」

 残った怒りを込めて言う。


「ごめん、ごめん許して!」

「別にもういいよ・・・・」

 必死で謝ってきたので、小さい声で返事をした。

 その子は私の横の席の机に腰を掛けて、何故か喜びを顔にみなぎらせてこっちを見ている。

 

「何で嬉しそうなの?」

「だってクラスの女子に話しかけても無視したりするんだもん!だけど君は反応してくれたから嬉しい!」

「そうなんだ・・・・」


 私がこの子に反応したから嬉しいのかな?この子ならコミュ力とかもあるし、色んな子と仲良くできると思うんだけど、それとも、ここのクラスが学科だから勉強熱心な子しかいないのかな?


「私、日坂麗華ひさかれいかっていうの、麗華って呼んで!」

「れいか?」

 麗華はニコニコで自己紹介して、私はぎこちなく麗華の名前を呼んだ。


「そうそう!あなたは?」

「私は雨下霞・・・・」

「じゃーあ、霞ね!」

 私はぎこちなく自己紹介して、麗華はニコニコで私の名前を呼んだ。

 家族以外に名前を呼んでもらったのは、初めてかも・・・・。


 小学生の時も、中学生の時も友達が一人もできなかったから、名前で呼んでもらうの嬉しいかも。


 自己紹介が終わるとなぜか麗華はぼーっとした顔で私を見つて、口を開く。


「霞の目ってなんか・・・・・」


 まただ、自分でもわっかてる、変とか、きもいとか、言われるけど別になりたくてこの目になってるわけじゃないのに・・・・・。


 私の目は、青く特殊な瞳の形をしている。

 最初はこんな目ではなかった。こんな、目の形になったことに気づいたのは、お婆ちゃんの家に引き取られた日、鏡を見た時に初めて気づいた。


 みんな私の目を見て、気味が悪いと思っているのだろう。

 私もこの目が好きではない。みんなと同じような目の形のままだったら、友達の一人や二人はできていたかもしらない。

 

 でも、麗香は私の目を見て今まで言われてきた言葉とは違う言葉を紡いだ。

 

「綺麗だね!」

「え?」

 そのセリフに驚きを隠せなかった。


「どうしたの?」

「だって今この目を・・・・綺麗だって言ったから」

 この目を綺麗って言った人初めて・・・・。


「綺麗だから、綺麗だねって言ったんだよ」


 多分、そのセリフに嘘はない、私がそう思いたいだけかもだけど、嬉しい。


「あーもしかして霞って自分に自信ないでしょ」

「だって今まで目が変とか言われてたから・・・」

「大丈夫だよ、霞は自分が思っている以上に可愛いから!」


 なんでそんなセリフ恥ずかし気もなくいえるのかな・・・・でも嬉しい。


「ありがとう!」

 少し自分に自信が持てる気がした・・・・。


「泣くほど嬉しかった?」

「うん・・・・」

「泣いてないじゃん!」

 麗華は泣いてない私にツッコミを入れたが、実際私はそれぐらい嬉しかった。


 この日、人生初めての友達ができた。


 放課後は、バイトもあったけど、ない日は麗華と一緒に服を選んだり、パフェとかクレープとかほかにも色々食べ歩きしたり、休みの日はプールや遊園地とかに行って遊んだりして毎日が初めてや、驚きで楽しくなった。


 麗華はからかってきたりとかするけど私にとって太陽みたいな存在になった。

 暗い私を照らしてくれる太陽それが麗華。


 けど、私と麗香の関係はある日、突然壊れた。

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