終業式で

「瑠偉に誘われたって本当?」

加恋が興味津々だ。

昨日、電話がかかってきた。終業式の日に2人だけで会いたいって。

「うん」

コクリと頷く。

「美久、わかってるわね」

加恋の視線にニヤリと笑みを浮かべる。

「もちろん」

2人のやりとりに私はキョロキョロするばかりだ。

終業式は明日である。

「奈歩、会うのは午後からよね」

加恋の言葉にコクリと頷いた。

「その前に私の家に寄れるかしら?」


瑠偉は奈歩が加恋と美久と話してるのを穏やかな表情で見つめていた。

◇◇◇


翌日

終業式 担任の加藤先生から通知表をもらう奈歩

(全教科オール3も逆に珍しいよね)

私は思わず苦笑した。

クラスの男子の声が聞こえてくる。

「月島、オール5かよ。顔もよくて頭もいいとか、モテモテだろうよ」

月島君は穏やかに返事をする。

「そんなことないよ」

「今日は学校終わったら、カラオケに行かないか?」

「今日はパス、大事な人との約束があるから」

その会話が聞こえて私は思わず頬が熱くなる。

すると、鞄に閉まっているスマホがピロリンと鳴った。

(ライン?....月島君から)


『午後2時佐々木公園でいい?』

私はうんと入力して送信ボタンをタップした。


◇◇◇

下校時間

部長が水やりをしている。

私に気が付いて声をかけた。

「明日ね。奈歩ちゃん」

「はい」

夏休みの学校に行くようになるなんて、当時の私だったら考えられなかったな。

そんなことを考えて思わず笑みを浮かべた。


◇◇◇

帰宅をしてお昼を食べたあと、私は加恋の自宅へと向かった。

到着すると加恋と美久は待ちかねたとばかりに、私を部屋へと連れていく。

「え?え?」

鏡の前に座った私はキョロキョロしてしまう。

「任せたわよ。美久」

加恋の声かけに美久はニヤリと笑う。

「OK」

私は髪をピンであげられてチークをぬられ、マスカラやリップをつけられていく。

鏡を見てると、地味な顔立ちの私がお姫様になった心地がした。

美久がメイクをしてる間、加恋は自分のクローゼットから奈歩に似合いそうな服を探した。

「これでいいわね」

白のレースのついたワンピースを手渡した。


「お姫様になったみたい。あ、ありがとう。2人とも」

「いいのよ。そのワンピースはあげるわ」

加恋は笑みを浮かべる。

「借りを返しただけだから」

2人の言葉に私は笑顔を向けた。

◇◇◇

午後1時55分

佐々木公園に到着すると、月島君はすでに待ち合わせ場所にいた。

彼は白と赤のチェックに青のジーンズ

「月島君、お待たせ」

私が声をかけると彼は目を丸くする。

「.....」

「どうしたの?」

「かわいいよ。香取さん」

あまりにも、さらっと言われて顔が赤くなった。私は照れ隠しに提案する。

「とりあえずショッピングでもしようか?」

私の問いに月島君は微笑む。

「そうしよう」


終業式の日。

私は忘れられない1日となった。






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