①君の味方ー膨らむ未来
園芸部の3人と顧問の加藤は、ホームセンターの隣にあるマックへ来ていた。
加藤はぶつぶついいながらも、人数分のハンバーガーとポテトとコーラを注文してくれた。
1階は混んでいたので、2階へと上がり窓側の席に座る。
時刻は午後5時を過ぎていて、店内は学校帰りの学生や会社員様々だ。
「とりあえず、コーラで乾杯するか」
加藤が紙コップを手にする。
「香取さんが園芸同好会に入部してくれたおかげに部に昇格が叶った。ありがとう。」
牧野部長がお礼を言葉にする。
「いや、そんなお礼なんて」
私は慌てて両手を前に出してブンブンと振った。
「俺も部長も香取さんが園芸部に入ってくれて良かったと思ってるよ。」
瑠衣も笑みを浮かべて部長に同調した。
「そーゆうこった」
加藤がヘラリと笑う。
私は紙コップを持って言葉にした。
「これからもよろしくお願いします。」
奈歩の言葉に3人は視線を合わして言葉を揃えた。
『乾杯』
周囲をキョロキョロ見てる奈歩に瑠衣は尋ねる。
「香取さんマック初めて?」
ハンバーガーをパクっと食べる。
「いや、昔お姉ちゃんと来た時以来かな。」
奈歩のお姉ちゃんの言葉に加藤は瞳が揺らいだが3人は気がつかない。
「実は僕ははじめて」
ポテトを食べながら手をあげた。
「え、」
私が驚くと先生が代わりに答える。
「牧野は元引きこもりだからな」
あっけらかんと言う加藤に牧野が顔を赤くして反論した。
「先生そんな堂々と言わないで!」
むうと膨らむ。
(そっか皆いろいろあるんだな。)
「月島君はマックはよく来る?」
「中学の時によく加恋に連れて来られたな。」
眉間に皺を寄せてるけど声に刺がない。
宮沢さんと何でも言いあえる間なんだなと思うと少し羨ましく思えた。
「加恋のことごめん。今まで課題押し付けられてたし、変なあだ名をつけられて嫌な思いをさせてるだろう」
頭を下げる月島君に私は慌てて首を振った。
「私は別に」
「変なあだ名って?」
部長の質問に私は答える。
「....地味子です」
牧野は反論する。
「香取さん自然体で明るい笑顔だし、地味に見えないけどな。」
「嫌なら言い返せ。私の名前は香取奈歩ってな。」
「香取さんの名前って奈歩なの?」
目を丸くしてる部長を疑問に思いながらコクリと頷く。
「先生言い返せない人もいますよ。」
瑠衣は突っ込む。
その言葉で加藤は考えこむ。
「いざって時は俺が助け船だしてやるよ」
「俺も」
生存も部長も月島君も優しい表情で私を見る。
スマホ画面とにらめっこしてたら気がつかなかったことだ。
頬を赤く染めて「はい」と頷く。
◇◇◇
ハンバーガーとフライドポテトを食べ終わる頃
「種はいつ植えますか?」
瑠衣が牧野に尋ねる。
部長はスマホで天気予報を検索した。
「晴天だし今度の火曜日にしようか」
「そうですね」
二人の会話を聞いている奈歩
「香取さん、園芸部は学校の花壇の手入れもあるから詳しくはまた教えるよ」
ニコっと笑う月島君
「ありがとう」
私は笑みを浮かべる。
(朝顔の種が花開くのいつだろう。夏休みくらいかな?)
水やりに夏休みの学校にも行かないといけないな。
私はそれが楽しみになってるのをどこかで感じていた。
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