第2話 園芸部に
夏休みとはいえ学校は、人の気配がする。
運動部は野球部、テニス部、サッカー部。
体育館ではバスケ部やバド部が活動していた。
奈歩は校庭の花壇に到着した。
園芸部という立て札の場所には、白い朝顔と赤い朝顔が咲いていた。
奈歩はニコっと微笑む。
(良かった。キレイに咲いている)
ロッカーを開けて如雨露を持って、水道場の蛇口をひねる。
朝顔に水をあげている奈歩は園芸部に入部した経緯を思い出す。
◇◇◇
6月の下旬
登校時間
奈歩は学校の花壇には彩り豊かな紫陽花が咲きこぼれていたのを目にする。
(綺麗だなぁ)
にこにこと笑顔になる奈歩
私はスマホで写真を撮る。
(あとでSNSに投稿しよう)
その光景を1階の職員室から担任の加藤が目撃していた。
◇◇◇
「香取、園芸部入らないか?」
担任の加藤先生がメガネをキラリと光らせて勧誘する。
1限目の国語の授業が終わり、教科書やノートを机にしまっていた奈歩に声をかける。
「学校に園芸部ってありましたっけ?」
純粋な疑問だ。
部活紹介でもなかったはずだ。
奈歩の質問に加藤は答えた。
「今は同好会みたいなもんだな。部の承認は3人。2年と1年に1人ずついるがお前が入部してくれたら、3人になって部に昇格するんだ。」
園芸部...花は好きだ。
お姉ちゃんとの思い出が溢れてるから....
10才差の姉の香取奈津
ヘアバントにロングヘアがトレードマーク
美人で優しくて、園芸が趣味の人だった。
私も姉が大好きだった。
でもー...あの日
胸が苦しくなり、きゅっと心臓を抑える。
「無理にとは言わねえよ。だがな。現実にも居場所作っても悪くねえと思うぞ。」
口角をあげる加藤
奈歩は眉間に皺を寄せる。
「!」
キンコンカーンコーンとチャイムが鳴り、
「俺も次の授業があるし、そろそろ行かないとな。
香取、気が向いたら昼休みにミーティングルームにこい。園芸部のミーティングやるからな。」
そう言って教室を出ていく加藤。
2人のやり取りを見ていた瑠偉。その瑠偉に視線を向ける加恋
この日ー...
SNSだけの繋がりでいいと思ってた私の日常が大きく変わろうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます