Sid.83 これがハーレムか

 嬉しそうと言われてもな。嬉しいけど。

 陽奈子さんに今何をしているのか聞かれ、女子二人と勉強中だと言うと。


『行きましょうか?』

「え? でも悪いですよ」

『三人纏めて面倒見ますよ』


 二人を見ると「鼻の下が伸びてる」と鴻池さんが言い「どんな先生なの?」と、掛川さんが興味を抱いていそうな。


「えっと、大丈夫かと」

『遠慮要りません。暇なので伺いますね』

「あ、いや、あの。あ、切れた」


 二人の視線が突き刺さる。鴻池さんは俺が陽奈子さんに気があると分かってる。掛川さんはその辺、良く知らないからか何やら聞きたそうな。

 とりあえず陽奈子さんが来ると伝えると、余計なお世話だと抜かす鴻池さんだ。


「あの、家庭教師の先生来るの?」

「来るそうだ」

「優秀なんだよね」

「そうだな。いろいろ優秀だな」


 勉強教えてもらえるのかなと期待してそうだ。まあ、纏めて面倒見ると言っていたし、俺の手を煩わされないなら頼った方が楽だ。掛川さん、質問が多いんだよ。

 鴻池さんは不服そうだけど、せっかく来てくれて教えてくれるなら、俺としては気持ちはともかく助かる。ついでに嬉しい。


「あ、でも料金とか」

「たぶん要らない」

「なんで?」

「相場の倍以上で請け負ってるから、かなりサービスしてくれてる」


 うちのお金でやりたい放題だ、と文句を言う鴻池さんだけど、週三日分の報酬しか受け取ってない。それ以外は俺を気に入っているから、個人的に面倒見てくれてるだけのことだ。やっぱり付き合うなら陽奈子さんだな。あの爆乳に埋もれてみたいし、同級生がクソ過ぎてメンタルしんどいから、癒して欲しいし。

 この二人だと精神年齢的にも、俺に癒しを与えるのは不可能だな。そこは年上ならではの余裕って奴だ。


「顔がにやけてる」

「うん。常松君の表情、だらしないかも」

「いいんだよ」


 ガキじゃない。大人の女性だ。二人と比べたら雲泥の差があるんだよ。精神的にも物理的にも包み込んでくれるぞ、きっと。あの爆乳で。包み込めるよなあ。巨大だから俺の顔が完全に埋まる。手に余るサイズ感もいい。どんな感触なのか凄く気になるし。間違いなく埋もれた瞬間、極楽浄土だな。昇天したりして。

 あ、いかん。思考が暴走してた。


「いてっ」


 両側から手が伸びてきて足を抓られた。


「佑真君。トリップし過ぎ」

「どこか旅立ってた」

「年増好き」

「どんな人か分かんないけど、常松君の顔見ると」


 鴻池さんを見ると頬を膨らませ不満たらたら。掛川さんも気になるようだ。


「おっぱいに当てられてる。あたしがこんなに想いを寄せてるのに、おっぱいがいいんだ」

「いや、そうじゃなくて」

「お、ってそんなに大きいの?」

「凄いよ。あれ百センチはありそう」


 俺を見る掛川さんが泣きそうだ。まあ分かるけど。ぺったんこだもんなあ。対して陽奈子さんは目を奪われる爆乳だし。

 自分の胸元を見て手を当て「常松君、おっぱい好きなんだ」と悲しげな表情してるし。いやあのな。別にそれだけじゃないんだが。陽奈子さんは特別にでかいから、青少年にとって刺激が強過ぎるだけで、ぺったんこでも魅力を感じないわけじゃない。

 ただなあ、やっぱり年上のアドバンテージはある。


「別に胸だけじゃないぞ」

「でも好きだよね」

「いや、あのな」

「おっぱいと結婚すればいいんだ」


 なんだそれ。

 こんなアホなことを言っている間に、家のインターホンが鳴り階下へ向かうと、後ろから付いてくる二人だ。部屋で待ってろっての。

 玄関のドアを開けると、いやあ、眩しい爆乳だ、じゃなくて陽奈子さんだ。


「こんにちは。後ろに控えてるのはお嬢様と」

「同級生の掛川さんです」

「好かれてますね。佑真君」

「いえ、あのこれは」


 まあ鴻池さんは普段通りに俺に絡み付く。そして掛川さんもまた腕を取り絡み付く。周りから見れば滑稽な状態なのだろう。

 微笑みながら「では少し指導しましょうね」と言って、上がり込む陽奈子さんだけど、掛川さんから驚嘆の声が聞こえてくる。


「あ、あの、あれ、何。凄すぎて」


 視線と驚愕の表情に気付いた陽奈子さんが「重いし視線は集まるし、あればあったで邪魔なんですよ」と言ってる。でもなあ、それ言うとなあ。


「無い人の悩みなんて分かんないですよね」

「あたしはそこまで大きく無いけど、それなりにある」

「鴻池さんも無い人の悩みなんて」

「まあ、落ち着け。俺は胸の有無で惚れるわけじゃない」


 じゃあ今すぐ恋人にして、と言い出す掛川さんだけど、それ違う。


「常松君と付き合えたら、胸は関係無いって思える」

「佑真君は渡さないからね」

「あの、みなさん。お勉強しましょうね」


 玄関先で揉めてないで部屋に、と促すが実に悔しそうな掛川さんだった。物の見事にぺったんこだもんなあ。女性は見た瞬間、サイズがある程度分かっちゃうもんなあ。さすがに凹むか。俺だって周りが巨根だらけだったら、きっと隅っこでいじけるぞ。これってかなりセンシティブな問題だからな。慰めてもなかなか通じないんだよ。

 無いものねだりって奴だし。

 ああ、でも、俺の股間のサイズ的にも、一番相性良さそうのなのは掛川さんかも。

 小さい者同士。


 階段を上がるのだが、真っ先に陽奈子さんを行かせる二人だ。次にどっちが、となって「鴻池さんが」とか「掛川さんが先で」とか。何の争いをしてるんだよ。パンツ見せたいのかよ。見せたいなら見るぞ。手を出すのは憚られるけどな。

 結局「さっき見せたでしょ。次はあたしだから」じゃねえっての。アホだ。掛川さんを先に上がらせ、鴻池さんがスカートを軽くたくし上げ「見てね」と言って階段を上がる。

 見せるためにスカートをたくし上げるなっての。自然に見えるから楽しいんだよ。


 でも見たけどな。ピンクのレース生地だった。透け感があってエロっ。


 部屋に入ると、まあ想定はしていたが狭い。四人も集まるとマジで狭い。

 女子だから男子に比べれば圧迫感は無い、とは言え、それでも俺含め四人だと狭いんだよ。

 缶詰、いや鮨詰め。ついでにハーレム。意識しなかったが、思えばハーレム状態だ。ウハウハって奴か。夏前までは想像もできなかった光景だな。

 ベッドに腰を下ろす陽奈子さんだ。床に座らないのは、各々の視界に入ると一カ所に視線が集中してしまうからな。特に俺。


「各々始めてください。適宜指導しますので」


 気持ちが落ち着いた状態を見計らい、勉強を始めることに。

 足絡める奴が居る。

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