第13話 君に伝えていいですか?

咲樹の笑った顔が好き。


ムードメーカーで、うるさくて、少し馬鹿で。


だけど周りには人一倍気を配るくらい繊細で。


咲樹を好きになってから周りなんて見れなくて。


常に咲樹の事考えちゃったり。


咲樹が他の子と仲良くしてるのを傍目に見てたけど、実はめちゃくちゃ嫉妬しちゃってたり。


咲樹と話せなかったその日は、あんまり気分が上がらなかったり。


咲樹と仲良くなればなるほど自分の気持ちが大きくなるけど、この気持ちは将来永劫言うことはないんだろうなって思ってた。


けどいつの間にか抑えられなくなっていた自分がいたの。


どうしたら私を好きになってくれるんだろう。


どうしたら振り向いてくれるかな。


そんなことばっかり考えて。


けど叶わない恋に少し疲れて、少し自分なりに距離を置いてみたけど...咲樹には敵わないみたい。


いつでも私の所に飛んできて、誰も気づかないような少しの変化にも気づいちゃって。


ずっと咲樹と一緒にいたいなって、気付いたらそう思ってたの。



ーいつの日か、君に伝えられる日を私はずっと待ってたんだ。




ー咲樹のことが大好きです。







私が言い終わる頃には、咲樹の目は涙でいっぱいだった。


「最近避けてたのは、咲樹が好きな人がいるって、なのに私が勝手に気持ち押し付けて迷惑かけたくなかったからだよ。」


私は更衣室で聞くよりも前に咲樹に好きな人がいると知っていた。風の噂だけど。


私は言葉を続けた。


「あの時私の腰の怪我、心配してくれてありがとう。咲樹にはたくさん助けられた。こんな勝手に好きになって、勝手に迷惑かけちゃったけど……」




「……迷惑だなんて、思ってない。」


私が苦笑いしながらそう言うと咲樹が嗚咽混じりにそう言った。


「……え?」


私は理解が出来なくて、一言だけそう言った。


すると咲樹がゆっくり口を開いて



ーうちも翠が好きだった。と一言言った。



驚きで言葉が出ない私をよそに、咲樹は言葉を続けた。


「気付いたら好きになってた。翠はなんでも我慢するからいつでも気にかけとかなきゃって思って。

いつの間にかずっと目で追ってて、翠はほんとにクールで、一見怖そうに見えるかもしれないけど。話しかけると笑顔で返事してくれて、私以外にも笑顔で話してるの見てめっちゃ妬いてた。」


私は驚きで言葉が出ない。


「ずっと伝えたかった。言いたかった。

夏休み中に絶対言ってやるって思ってはいたけど、全然心の準備出来ないし、翠見るだけで心臓バクバクで。」


そして咲樹は深呼吸して言葉を続けた。


「私も翠が好き。翠がいなきゃ生きてけない。」


そう言って私に抱きついてきた。


2人とも涙でぐちゃぐちゃだった。


「……咲樹」


「…どーしたの?」


「……大好き」


「うちのが好きだな!」




そして2人で夕日が沈んで行くのを横目に夏の終わりを見届けた。







ー夏休みも終わりを迎える。


憂鬱な気分とは裏腹に、私達の心は晴れ晴れとしていた。

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