第12話 君に伝えたい


「この前のホラゲ超怖くて!いや絶対言わなきゃって思ってて今見つけたから来ちゃった!」


部活の後、みんなで帰っていると突然私の同志であるクラスメイトに話しかけられた。


「やっぱ最新作だもん…超怖かった〜」


私はそう答えた。


「いやほんとに。ごめん、部活のメンバーと一緒だったのに。もう帰っちゃった?」


「ん〜どうだろう。でもチャリ通だから結局すぐ別れるし別に大丈夫だよ。」


と、私を心配してくれてるクラスメイトにそう返事をした。


「そう?じゃあ俺も帰りだし一緒に帰る?」


一瞬咲樹が頭によぎったけど私はすぐに切り替えて「いいよ」と言おうとした。


その時だった。



「翠は!うちと帰る予定だったんで!」


私の腕をがっちり捕まえた咲樹の姿がそこにあった。


「あっそうだったんだ!翠もごめんな。約束あったのに。じゃ、また感想送るわ!」


そう言って私のクラスメイトは帰って行った。


……できれば帰らないで欲しかった。


私は咲樹をみて


「咲樹?どうしたの?穂乃果達は?」


と言尋ねると一言、


「先帰ったよ」とだけ言った。


私はここで意を決して


「咲樹、私咲樹に話ある。時間ちょうだい。」


そう言うと、咲樹は


「奇遇だね。うちもあったから来た。場所移そっか」


と言って学校内のベンチに移動した。




少し遠くでソフトボール部がまだ部活をやってるのか、声が聞こえてくる。


私が心の準備をしてる間に咲樹が私に質問してきた。


「さっきの男子と仲良いよね」


「そうかな。まあ、共通の趣味あるからかな…」


そう答えると咲樹は突然「好きなの?」と訪ねてきた。


咲樹の迷惑をかけないようにするならここで嘘をつくべきだろう。


そう思った私は


「そう……って言ったら?」


とだけ返した。


すると急に咲樹が静かになってしまい、長い沈黙が訪れた。


私はそんな沈黙を打破するために必死に言葉を並べた。


「咲樹も好きな人いるって言ってたね!咲樹が好きになる人なんでどんな人なの?今度教えてよ」


と問いかけても、咲樹からは何も返答は無い。


私がもう一度咲樹に問いかけようとした時




ー「じゃあ、あの時の好きって何?」


と咲樹が一言だけ呟いた?


咲樹が言葉を続ける。


「あの時なんで好きって言ったの?どういう意味だった?うち全く理解できなくて、毎日翠の事しか頭にないし、でも翠は何も無かったように接するからどうしようか分からなかった。

ねえ、ほんとにさっきの男子が好きなの?」


咲樹が泣きそうになりながら私に問いただせる姿をみて私は目を見開いた。


やがて肩の力が抜けたようにふっと笑ってしまった。


「?翠?なんで笑うの」


咲樹が困惑している姿を見ながら私はこう答えた。



ー咲樹が可愛くて仕方ないからだよ。と


私よりも目を見開いた咲樹に私は笑顔でこう言った。





「君に伝えていいですか?」

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